新車試乗レポート
更新日:2026.03.05 / 掲載日:2026.03.05
【スバル トレイルシーカー】コスパ抜群! たくさん載せて遠くまで走れるワゴン系電気自動車

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、スバル
スバルの電気自動車第2弾であるトレイルシーカーが、2026年4月9日にいよいよ発表されることが明らかになりました。発表に先立ち、トレイルシーカーのプロトタイプモデルを取材することができたので、実車を見て、触れて、走らせた感想を交えて詳細をお伝えします!
日常から非日常まで使い倒せる「Adventure BEV」

ソルテラとトレイルシーカーは兄弟車の関係にありますが、そのキャラクター性は大きく異なります。ソルテラが都会派であるのに対して、トレイルシーカーは自然派。本格的なアウトドアニーズにも応えられるモデルというコンセプトで開発されているのです。
それをとくに表現しているのがデザイン処理で、ソルテラが洗練されたスマートなイメージであるのに対して、トレイルシーカーでは無塗装の樹脂パーツがワイルドな印象を与えます。ボディ前半は部品の多くを共有しているのですが、実車を見た印象としては、まるで違うクルマに感じました。
デザインはステーションワゴンとSUVをクロスオーバーさせた印象で、力強さを使い勝手のよさが上手に表現されています。フロントバンパーは専用デザインで、ドアも下端のガーニッシュにプロテクター的な造形を採用。そしてラダータイプのルーフレールも専用アイテムで、ここでも使い勝手のよさを表現しています。リヤガーニッシュのSUBARUロゴは光るタイプとなっていて、テールランプの意匠と合わせて2代目レガシィへのオマージュを感じました。レオーネからレガシィ、アウトバック、そしてトレイルシーカーへ。電気自動車らしい先進性をもたせながらも、ステーションワゴンの名門らしい機能美あふれるデザインとなっています。
クロスオーバースタイルによる使い勝手に優れたパッケージング

トレイルシーカーはパッケージングにもこだわっています。ボディサイズは、全長4845mm、全幅1860mm、全高1670mmで、アウトバックに近い大きさ。下に数値をまとめていますが、注目は荷質容量で、アウトバックよりも72L大きいスバル最大級のサイズを実現しています。これは電気自動車だから可能になったパッケージングです。
トレイルシーカーのパッケージングをソルテラ、アウトバックと比較
| ソルテラ(D型) | トレイルシーカー | アウトバック(型式BT) | |
| 全長(mm) | 4690 | 4845 | 4870 |
| 全幅(mm) | 1860 | 1860 | 1875 |
| 全高(mm) | 1650 | 1675 | 1675 |
| 前オーバーハング(mm) | 915 | 915 | 1022 |
| ホイールベース(mm) | 2850 | 2850 | 2745 |
| 後オーバーハング(mm) | 925 | 1080 | 1107 |
| タンデムディスタンス(mm) | 925 | 1080 | 1107 |
| 荷室容量(L) | 452 | 633 | 561 |
| 最低地上高(mm) | 210 | 210 | 213 |

実車でラゲッジルームを確認しましたが、ゴルフバッグ4個、あるいはスーツケース4個を余裕で搭載することができました。さらに、荷室にはラゲッジランプやLEDバックドアランプ、各種フック(カーゴアッパー、ショッピング、ロープユーティリティ)が備わっていて、後席を遠隔で倒せるレバーも用意されていて実用性はかなりのもの。スバル車は伝統的に荷室の使い勝手が優秀ですが、電気自動車になってもそのDNAは受け継がれています。


ちなみに、トレイルシーカーはソルテラ同様にトヨタとのアライアンスを受けて開発されたモデルですが、生産は群馬の矢島工場。トヨタとスバルは開発、生産、サプライチェーンなど幅広い分野で協業しながらも、それぞれに独自色のあるモデルとして作られています。ちなみに、トヨタではbZ4Zツーリングとして2026年2月に発売されています。
航続距離は700km級、それでいて加速力はスバル車No.1

電気自動車を語るうえでもっとも注目される航続距離ですが、総電力量74.7kWhのリチウムイオン電池を搭載しパワートレインの効率を高めることで、FFモデルで最大746km(18インチ)、AWDモデルでも最高690km(18インチ)を実現しています。これならば安心してロングドライブにも出かけることができるでしょう。
充電性能も強化されていて、電池を最適な温度に調整するバッテリープレコンディショニング機能を搭載。これを用いて150kW以上の急速充電器を使用した場合、バッテリー残量10%から80%に充電するまでの時間はわずか28分。バッテリーに厳しい冬場でも常温時と変わらない速度での充電を可能としています。
性能も圧倒的です。AWDモデルのシステム最高出力は380馬力で、0-100km/h加速は4.5秒。ソルテラ(D型・AWD)の4.9秒よりも速いのだから驚き。これは後輪用モーターの出力がソルテラよりもパワーアップしているから。性能面でも、現時点においてもっともハイパフォーマンスなスバル車なのです。
冬対策も抜かりなし! 雪道での運転しやすさを実感

雪国に多くのユーザーを持つスバルだけあって、冬季対策にもかなり力が入っています。
最近流行のLEDヘッドライトは、雪が積もると溶けにくい弱点がありますが、トレイルシーカーでは、そもそも雪が堆積しにくい形状としながら、さらに強力な水圧で汚れや雪を落とすヘッドランプウォッシャーを装備。リヤガラスは、デフォッガーを強化しつつさらにリアワイパーを標準装備、巻き上げた雪をこそげ落とします。フロントの六連星エンブレムにヒーターを組み込むことで、雪の付着を防ぎレーダー性能を確保するなど、安全に対するこだわりの強さを感じることができます。

積雪のテストコースでトレイルシーカーのプロトタイプモデルを走らせることができたのですが、ソルテラよりも大きくなったとは思えないくらい運転もしやすくて驚きました。それもそのはずで、最小回転半径は5.6mでソルテラ同等、車重も+20kgから30kgに抑えられています。
AWDモデルの制御技術もさらに進化しています。運転手の操作やタイヤからの情報を用いた制御方式としたことで、車両の姿勢が乱れるや否や安定させるように制御してくれるのです。モーターでタイヤを駆動する電気自動車は、エンジン車とは比べ物にならない速度で反応できるのですが、トレイルシーカーではその制御の判断が早くなる仕組みを取り入れたことで、さらなるハイレベルな安定性とリカバリー性能を実現しているのです。
価格にも期待! メインカーとして使える電気自動車が登場した
トレイルシーカーが魅力的なのは理解できたのですが、大事なのは価格がいくらなのかです。今回の取材では具体的な金額は明らかにされませんでしたが、「ソルテラ+α」であるとのヒントは教えてもらえました。ソルテラはFFモデルが517万円(ET-SS)、AWDモデルのベース仕様が561万円(ET-SS)で上級仕様が605万円(ET-HS)となっています。なお、2026年度の国からの補助金は最大128万円ですので、乗り出し価格は、FFモデルで400万円前半、AWDモデルで400万円半ばからといったイメージでしょうか。
スバルの伝統であるステーションワゴンをSUV的にアレンジしたクロスオーバースタイル、長距離ドライブもOKの航続距離、圧倒的なパフォーマンスと悪路での安心感、そして手頃感のある価格。トレイルシーカーは、電気自動車がいよいよ普及期に入ったと感じさせる完成度でした。これまで電気自動車に不安を感じていたユーザーを振り向かせる力のあるモデルが登場しました。

