新車試乗レポート
更新日:2025.12.28 / 掲載日:2025.12.28
超進化! 新型デリカミニ最終評価
人気スーパーハイトワゴン、デリカミニがモデルチェンジ!
気になる走りの実力はどうなのか、公道試乗で結論を出す!
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
※本記事の内容は月刊自家用車2026年1月号制作時点(2025年11月中旬)のものです。
《公道試乗速報》MITSUBISHI 新型デリカミニ最終評価
MITSUBISHI 新型デリカミニ


●全長×全幅×全高(㎜): 3395×1475×1815 ●ホイールベース(㎜):2495 ●最低地上高(㎜):160 ●車両重量(㎏):1050 ●パワートレーン:659㏄直列3気筒DOHCターボ(64PS/10.2㎏・m) ●変速機形式:CVT ●WLTCモード燃料消費率(㎞/ℓ):17.8 ●サスペンション前/後:マクファーソン式/トルクアーム式3リンク ●ブレーキ前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム ●最小回転半径(m):4.5 ●燃料タンク容量:27ℓ(レギュラー) ●タイヤサイズ:160/60R15
超進化! 軽を超えた上質な走りの質感
人気の理由はそのままに、走りも装備も明確に強化
デリカは悪路に強いというイメージをスーパーハイト系ミニに投影したモデルがデリカミニだ。デリカD:5ほどではないが、ミツビシSUV戦略の末っ子という印象。初代はeKクロス スペースの実質的な後継としてeKスペースのモデルライフ途中に追加されたため、2代目となる新型へは2年半の短期間でバトンタッチとなった。
パワートレーンやシャシーの基本構成は踏襲しつつ、エンジン本体や変速制御プログラムの改良、低摺動抵抗型ダンパーの採用など、細かく手が加えられている。これらはeKスペースやルークスと共通する改良だが、足回りの味付けはデリカミニ専用だ。先代同様、4WD車は大径タイヤの採用等で最低地上高を2WD車比10㎜増とし、専用サスチューニングを施す。なお、2WD車の最低地上高はeKスペースと共通である。
4WDシステムは軽乗用で一般的なVCU式だが、トラコンやブレーキ式電子制御LSD等との統合制御で悪路踏破性を向上。アウトランダーを思わせるドライブモードセレクターを採用し、エコ/ノーマル/スポーツ/グラベル/スノーのモードを設定した。スノーモードがスリップを積極的に防止するのに対し、グラベルモードではスリップ抑制の介入を控え目にし、駆動力と操安の両立点を高めるなど、路面環境への最適化が図られている。また、従来型から採用するHDC(自動降坂制御)の作動域も20㎞/hから30㎞/hへ拡大。今回は悪路での試乗はなかったが、本格オフロードは別として、生活四駆を超える性能なのは間違いない。
スーパーハイト系の主用途となるタウンユースやレジャー用途など、オンロード性能も改良している。第一のポイントは動力性能の改善である。従来型は加速性能重視型だったが、新型はゆとりを感じさせる制御に変更。従来型は高負荷領域で低い変速比を多用。性能面では正解だが、体感的な余裕のなさを意識させやすかった。
新型は全開加速でもエンジン回転数を抑え、伸び代を確保するような変速制御となった。平均加速度は若干低下するが、加速の伸びやかさや余力感がレベルアップ。一般に軽乗用は加速度優先の設定となりがちなのに対し、余力感と加速性のバランスが良好だ。
フットワークも魅力のひとつ。山岳ワインディング路でも車体挙動は安定し、ロールを上手に使いながら穏やかで素直なラインコントロール性を示す。回頭とロール、横Gの立ち上がりが滑らかで収束感があり、スーパーハイト系の全高や座面地上高をあまり意識させない。同乗者にもストレスの少ないハンドリングだ。全車速型ACCやLKAの設定もあり、長距離適性も良好である。
フットワークの良さは乗り心地にも表れている。段差乗り越えでは刺激的な突き上げがない。多少車軸周りの揺動を感じるが、リヤにバネ下重量が重い3リンク式リジッドアクスルを採用した割にばたつきも少なく、ゆったりしたストローク感と据わりのよさが相まって、良質な乗り味を示した。
静粛性も優秀。エンジンの静粛性だけでなく、特筆すべきはロードノイズの少なさだ。騒音量が少ないだけでなく、路面による音質の変化も少ない。前後席の会話も通りやすく、コンパクトクラスと比較しても遜色ないレベルだ。
軽乗用としては高額だが、悪路を含めたレジャー用途への適応力や走りの質感を考えれば納得。タウン&レジャー志向のダウンサイザー必見のモデルだ。













