新車試乗レポート
更新日:2025.10.15 / 掲載日:2025.10.15
【ルーテシア】マイナーチェンジで完成度が大幅にアップ!【竹岡 圭】

文●竹岡 圭 写真●ユニット・コンパス
常に新しいことにチャレンジするフレンチコンパクト

1990年にルノーサンクの後継車として登場したのがクリオ1。そして、ルノースポールが手掛けるRSモデルが登場したクリオ2。ユーロNCAPをコンパクトハッチバックとして初獲得したクリオ3。デザインがガラリと変わり「サイクルオブライフ」という人生のライフステージにクルマを当てはめるという、新しい試みがなされたクリオ4。そしてF1由来の革新的なパワートレイン、E-TECH HVモデルが登場したクリオ5と、常に新しいステージにチャンレジをし続け、世界で累計1600万台販売という数字を誇るのが、ルノーの量販車種であるクリオ。
ちなみにフランスではクリオと呼ばれているこのクルマが、日本でのルーテシアとなります。そしてそのマイナーチェンジを受けた5代目が、日本に導入されました。
改良新型はハイブリッドだけで勝負!

今回はグッと的を絞り「走りを極めたフルHV」がテーマとなっています。グレードは、上質なスポーツを掲げる「エスプリアルピーヌ」1本。パワートレインもフルHV E-TECHひとつとなりました。
そして、もうひとつかなりイメージが変わったのがフロントマスク。アサーティブなデザインということですが、このアサーティブというのは、強い主張を持つとか、際立つという意味。ルーテシアでは、あくまで周りと調和しながら個性を主張するという意味で、このアサーティブが使われているようです。
スポーティーさが強調されたLEDヘッドランプと、色と形でグラデーションを施すことで疾走感を表現したグリル、ルノーのエンブレムであるロザンジュを分割し、反転させてデザイン化したデイライトラインニングランプ。そして下部にはF1ブレードを配するなどし、エスプリアルピーヌの名にふさわしい、スポーツシックな雰囲気にまとめられています。

インテリアは9.3インチのディスプレイ&10インチのメーター、シートは環境に配したTEPレザーとファブリックの組み合わせ、アルミペダルが装着され、いわゆるガリガリすぎないスポーティで、居心地のよい空間になっています。



ダイレクトなのに乗り心地がいい!

さて、運動性能的には、最高出力が3ps向上。車両重量が10kg軽くなり、燃費が0.2km/l良くなって25.4km/lを達成。マイナーチェンジ前も、輸入車燃費ナンバー1だったルーテシアですが、その記録をさらに更新したカタチになりました。
そんな環境性能もそうなのですが、実は特段告知されていないものの、明らかに全体的にブラッシュアップされている感じがするのです。いちばん感じたのは乗り心地の変化で、特に凸凹を乗り越した時などの収まり感が、さらに良くなったように感じました。
元々フルHV E-TECHが持っていた、ダイレクト感もブラッシュアップされた感じで、電動アシスト付きのドッグクラッチによるガタガタ感は少なくなり、モーター音も小さくなり、スムーズさが増していました。
ちなみに、このフルHV E-TECHのドライブモードは、ECO、マイセンス、スポーツで、アクセルオフした時の減速Gが変わるのも特徴で、ECO→マイセンス→スポーツと減速Gが大きくなるのですが、シフトをBモードに入れると、より減速Gが大きくなり、慣れてくるとワンペダルモード感覚で、上手に走るなんていうこともできます。
また、アクセルオンの時の加速Gも、当然のごとくECO→マイセンス→スポーツと大きくなり、人間が加速度を感じると言われる0.25Gに達するのもスポーツがいちばん速いので、アクセルオフした時の減速Gの大きさと合わせて、よりメリハリのある運転ができるというわけです。今回エスプリアルピーヌというグレードに1本化されたことにより、そのスポーティさがより似合うようになった気がします。
熟成に熟成を重ねた懐の深い1台

本国ではすでに次のクリオ6が発表されたりもしていますが、熟成に熟成を重ねたクリオ5のマイナーチェンジモデルはさすがと言ったところで、よりスポーティにもマイルドにもドライバーの気分に合わせて表情を変えられる懐の深い1台に仕上がったと言っていいでしょう。