新車試乗レポート
更新日:2025.09.25 / 掲載日:2025.09.25
新型エクストレイル大研究《先行試乗速報》
NISSAN 新型エクストレイルのすべて
日産の主力モデル、エクストレイルがマイナーチェンジを実施。改良モデルは、内外装の刷新&機能強化に加えて、NISMOモデルを含めたラインナップ強化が図られるなど、その商品力を大きく高めてきている。ここでは新型で注目すべきポイントを解説する。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久/日産自動車
新型エクストレイル・試乗インプレ

カスタム車の走りはさらに1ランクアップ
エクストレイルの4WDモデル「e-4ORCE」の走りは、ミドルSUVの頂点に君臨している。ペダル操作に忠実な駆動トルクは、急な踏み込みでも唐突な加速を避け、滑らかな立ち上がりを見せるし、揺れ返しを抑えつつ、しなやかな路面追従性と優れた収束感を両立したフットワークは流石と唸らせてくれるほど。前後のモーターを巧みに制御することで、余裕あるドライビングを実現している。
この卓越した基本性能は、標準モデルでも十分に味わうことができるのだが、さらなる運転の楽しさやスポーティな走行フィールを追求しているのが、カスタムモデルのオーテックSSとニスモだ。
この2モデルは、サスペンションのスプリングやダンパーは共通とされるが、試乗時の印象は大きく異なっている。オーテックSSは、初期の回頭反応を鋭くすることで、軽快感やシャープな切れ味感を強めているが、それに対してニスモは、初期回頭はあえて控えめにすることで、ライントレース性を高めている。
簡単にいうと、オーテックSSは、ワインディングなどで「操る手応え」を重視したタイプ。ニスモは、初見のコーナーでも安心してクリアできる、高速ツーリングに適したタイプになる。乗り心地に関しては、ニスモの方が硬めで重厚な印象が強くなる。
パワートレーンの制御は、オーテックSS、ニスモともに共通だが、ドライブモードをスポーツモードにすると、標準車よりも初期トルクの立ち上げ感が強めで、人によっては扱いづらさを感じるかもしれない。両モデルともオートモードの走りが、最も素直で洗練されていてオススメだ。
エクストレイルの本質を変えることなく、スポーティな走りを加味したカスタムモデルは、標準車に対して割高になるが、それに見合う価値がある存在だ。


新型エクストレイル・結論

魅力的なカスタムモデルの投入は大正解
現行型からe-POWERのみとなり、ミドルSUVの中でもプレミアムキャラが強まっているが、今回のマイナーチェンジでは、NMCのカスタムモデルを強化するなど、さらなる上を貪欲に狙ってきている印象だ。
特にオーテックSSとニスモの導入は、オンロード性能とキャビン内装の質を求めるユーザーにとって、かなり刺さる内容となっており、レクサスNXなどひとつ上のクラスとも対抗できる品揃えになっている。
またアウトドアレジャー志向のユーザーに向けて、北米で人気のロッククリークを展開するなど、嗜好の選択肢を広げてきたことも見逃せないポイントだ。
今回のマイナーチェンジで、標準モデルだと20万円前後、カスタムモデルはそれ以上の値上げとなってしまったが、SUVに個性を求めるユーザーにとっては、新エクストレイルは見逃せない選択になるはずだ。


