新車試乗レポート
更新日:2025.09.16 / 掲載日:2025.09.16
新型ルークス実力診断《先行試乗/おすすめグレード》
日産の軽スーパーハイトワゴンがフルモデルチェンジ! その佇まいも装備内容もより先進感&プレミアム感を高めてきた。今回、正式発表を前に先行予約を開始したニューモデルを、クローズドコースで取材することができた。実車に触れてわかったその実力とは?
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
NISSAN 新型ルークス実力診断


新鮮な見た目に負けない走りと機能を備えている
初見での新型の印象はかつての「キューブの血統」だ。スペース効率でもキャビン実用性でも現在のスーパーハイト系ミニが遙か先に行っているのは間違いないが、外観の雰囲気がキューブと共通した移動の空間と時間を楽しむハイトワゴンを思わせる。デザインコンセプトの「かどまる四角」にもキューブに似た印象を受け、さらにサイバー時代のカワイイも感じられる。日産ファミリーの象徴にもなっていた「Vモーション」マスクからの脱却は、外観からもクルマの楽しみ方の変化を予感させ、新しい時代と若い価値観を感じさせる。
フロントマスク以外では前後ピラーの傾斜を小さく、つまりピラーを立たせてキャビン周りのボックス感を強化。この辺りもキューブ的である。またドアやサイドのパネルは下方に向かい一旦絞ってから膨らませるような面の変化を使って立体感を出した造形だ。
上級仕様として定番化しているハイウェイスターは、上下幅を拡大した専用のフロントグリルと全灯LEDのヘッドランプを採用。ちょっと強面な印象があるものの、標準系と同様の先進感やかわいらしさも漂わせている。
前後のピラーの角度を立てているので厳密にはキャビン容量が拡大しているのだが、広々した空間は従来からの魅力であり、目視でのキャビンスペースは現行型と大きな違いはない。冒頭でも述べたように軽自動車規格においてスーパーハイト系のスペース効率は限界に近く、カテゴリー内比較でも大同小異が現状。だからこそ機能的な使い勝手や集う人の趣味嗜好に合った雰囲気が重要になってくる。
外観の変化も衝撃的だったが、インパネも現行型とはまったく異質。乗り込んで先ず目につくのがメーターパネルから助手席前面近くまで続くウルトラワイド・フラットディスプレイ。クリアパネルで覆われた空調操作パネルなども含めてグラスコックピットあるいはサイバー時代の雰囲気が世代の変化を思わせる。機構的にはメーターパネル用7インチとDA/ナビ機能を含めた情報表示のセンター用12・3インチのふたつのディスプレイを一枚のガラスパネルで連続。最終仕様は確定していないが、同設定は上級グレード限定となり、非採用グレードではニッサンコネクトのシンプルナビがOP設定される模様。ラインOPでは同ディスプレイの肝となる連続感もそのままなのだ。
近未来感の演出はデザインの要点だが、小物収納などのキャビンの使い勝手もないがしろにしていない。メーターパネル奧にはリッド付き収納を、助手席前面には棚、引き出し、グローブボックスを設定。もちろんカップホルダーもある。小物収納の使い勝手や容量も着実に進歩している。
機能装備面では車体周辺モニターの充実が見所のひとつ。真上からだけではない立体的な視点や、直近記録映像を基に車体下まで表示するシースルービューなど使用環境に応じて最適な画像を選択できる。狭小な条件下での安心感が一段と高まっている。
走行ハードウェアは現行型の改良型を採用している。高負荷加速では低いギヤ比で引っ張り気味の変速制御など現行型と大きく違わないのだが、走行感覚が穏やかになっている。その中でも一番変化を感じられたのが静粛性だ。
次期モデルの開発ではフロントウインドウにスーパーハイト系初の遮音ガラスを採用したほかにキャビン周りに高機能吸音材や2層遮音シートなどを配して静粛性の向上を図っている。実際に全開加速時を含むエンジン騒音や荒れた路面でのロードノイズ、車外騒音は低く、前後席の会話明瞭度も良好だった。また、後席の車体骨格周りから伝わってくる騒音の少なさも印象的。この辺りはBEVのサクラ開発の知見や技術を基にしたと考えていいだろう。
フットワークは落ち着きを重視したタイプ。サスの動き出しは軽く、ストロークするほどに粘る。ロール等の揺れ返しも抑制されていて高速直進でも定常円旋回でも据わりのいい操舵感を示す。軽乗用相対では高速安定重視型と言えるのだが、刺激的な硬さはなく、後席乗員も寛いでいられる乗り心地でもある。長距離用途向けとまでは言わないが、プロパイロットを始め後側方衝突回避支援などの充実した安全&運転支援機能もあり、タウン&レジャーで懐が深く汎用性の高い走りを示した。
内外装を見ても試乗した印象でも、ニッサン軽の新しい時代の先駆けのように思えた。新しい世代のユーザーのための新しい「軽」といった印象が強い。










オーテックライン
オーテック仕様の「AUTECH LINE」はエンブレムや専用15インチアルミホイール、専用防水シートなどで見た目も機能もアップ。




アクセサリー装着車
ドレスアップから収納・積載関連まで、豊富なディーラーオプションが用意されている。




助手席スライドアップシート
ライフケアビークルは助手席が電動で回転/昇降。アシストグリップも標準装備する。














新型ルークス・おすすめグレード
ハイウェイスター Gターボ プロパイロットエディション

高速走行を得意とするためターボの選択もアリだ
適応用途次第で、タウンユースに限定するならNA仕様で手頃な価格のグレードでいい。ただ、ルークスの走りの特徴となる高速域でもストレスの少ない運転感覚と乗車感覚を活かし長距離用途まで考慮するなら動力性能に余裕のあるターボは必須。現在公表されているグレード展開ではターボはハイウェイスター系最上級グレードのみの設定だ。