新車試乗レポート
更新日:2025.09.04 / 掲載日:2025.09.04
新型プレリュード、爽快さの鍵は 「S+シフト」にあり!【九島辰也】【ホンダ】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
話題のプレリュードをようやく走らせることができた。これまで何度もその姿を拝んできたが、ステアリングを握るのは初めてである。場所は登録前なのでクローズドコース。その意味では周りを気にせずインプレッションに集中することのできる環境と言える。
シビック タイプRをベースによりツアラーよりのキャラクターに

ではまずはスペックだが、パワーソースは2モーターハイブリッドシステムとなる。エンジンは2リッター直4直噴式アトキンソンサイクルで、それに2モーター内蔵式CVTが組み合わされる。バッテリーはリチウムイオンで、それをリアシート下に収納する。
プラットフォームはシビックと共有するが、2ドアクーペという開口部の少ない剛性の高いボディを得ているのは走りにメリットがある。しかも、そこにタイプRのパーツとノウハウを注入しているのだから見逃せない。シャシーはタイプRをベースにそれをグランドツアラー向けに仕上げたそうだ。つまり、ハンドリングよりも乗り心地に振っている。具体的に言えば、シビックとタイプRの中間を狙ったセッティングだ。バネレートなどを変え日常使いに配慮した味付けにした。
とはいえ、タイプRのウリでもあるデュアルアクシスストラットサスペンションを採用するなど抜かりはない。アームやナックルはまんまそれ。さらに言えば、ブレンボ製大容量ブレーキ(キャリパー、ローター)もタイプRと同じだ。

ドライバーとクルマがシンクロする新メカニズムを採用

そんなプレリュードの目玉は「S+(エスプラス)シフト」の存在。開発陣はこのクルマを楽しんでもらうために新たな仕掛けを持ち出した。これは何かというと、ドライバーとクルマを シンクロナイズ(Synchronize)させるもの。つまり、クルマの動きをドライバーによりよく感じてもらうモードだ。
開発陣はそれを「体感」、「聴覚」、「視覚」で表現することでドライバーの満足度を満たそうと考えた。「体感」は加減速のレスポンスと変速フィール、「聴覚」はエンジンサウンドとアクティブサウンドコントロール、「視覚」はタコメーターとGメーター、それとシフトインジケーターだ。
間違えてはいけないは、これはドライブモードではないこと。あくまでもドライブフィールを立体的にドライバーに伝える装備で、スポーツモードを意味してはいない。ドライブモードはちゃんと別にあって、そこに「スポーツ」、「GT」、「コンフォート」が用意されている。デフォルトは「GT」と考えていいだろう。この表現が適切かどうかはわからないが彼らはそう表記した。個人的に思うが、ここはHONDAのロゴを使った「H」モードにした方がいいと思う。デフォルトとなる推奨モードであればなおさらだ。英国のとあるブランドは「スポーツ」と「コンフォート」の中間を自らのブランドのロゴを用いて表示している。

それはともかく、実際に走らせた印象だが、走りは総体的にホンダらしかった。ハンドリングは軽快で、スイスイ向きを変える。ボディが硬い分足はしなやかに路面を駆り、リアが追従する感じ。ロールの抑え方は自然で、無理やりな感じはしなかった。特に「S+シフト」は気持ちがいい。エンジンサウンドとともにクルマを操っているのを強く感じる。擬似的にCVTを8速ATにしているようだが、見事な仕上がりだ。ブリッピング音まで聞こえるのだからこの上ない。
なので、「S+シフト」にしておけばドライブモードはなんでも楽しい。「GT」でもそうだし、「コンフォート」でもOK。ロール角度が深くなるなど全体的に緩くなる分操り感は強くなる。
細かい話だが、コーナーによってはアジャイルハンドリングアシストが効いているのかもしれない。これは前輪の内側にブレーキをかけて旋回力をアップするというものだが、プレリュードではその制御域を拡大している。それによりドライバーが意図するよりも素早く鼻先はイン側に向いてくれるのだ。システムはヨーレートセンサーと連動している。
ロングドライブも試してみたい

ということで、プレリュードはカッコだけでなく、かなりファンな乗り物であることはわかった。ドライビングポジションも良かったし、いい印象だ。次は少し長距離に出てみたい。シビックとタイプRの中間にセッティングされた足はいろんなシーンでかなりおもしろそうに思える。
