新車試乗レポート
更新日:2025.07.21 / 掲載日:2025.07.21
次期エルグランドにも! 新世代e-POWER先取りチェック!
「新世代e-POWER」その実力を先取りチェック!
日産が誇る電動パワートレーン「e-POWER」が、待望の第3世代へ進化する。すでに国内初搭載は次期エルグランドと発表されているが、それに先んじて欧州で先行搭載されるキャシュカイに乗る機会に恵まれた。現行モデルで好評の滑らかな加速と静粛性をさらに凌駕するという新世代e-POWERは、一体どのような走りを披露してくれるのだろうか?
●文:川島茂夫 ●写真:日産自動車株式会社
次期エルグランドに搭載予定

力感や運転感覚は新旧で明らかに異なる
今回、先駆けて試乗できたキャシュカイの第3世代e-POWERは、第2世代にあたるノートやセレナ、エクストレイルに続くシステムだ。
第3世代の特徴を一言で纏めるならば、第2世代のコンセプトを受け継ぎ拡大したもの。具体的には高速長距離を中心とした燃費改善を主目的に開発されていることが特徴になる。
エンジンは3気筒の1.5ℓターボだが、エクストレイルの可変圧縮比を採用した高負荷対応型に対して、第3世代では大量EGRや強タンブル流吸気、小抵抗の大型ターボなどを採用することで、高効率域の拡大と非効率域の不使用により、発電に特化したユニットにしている。
EGRやタンブル流などは、近年のエンジン設計開発における基本的なトレンドであり、特に目新しいものではないが、第3世代e-POWERエンジンの斬新さは、発電という単一の目的に特化するために、それ以外の性能を大胆に割り切った点にある。例えばピストンヘッドを上死点まで強いタンブル流を維持する形状にするなど発電前提で高効率化に徹底した設計が施されている。
例えば、タンブル流の減衰を最小限に抑えるために球形に近づけた燃焼室形状を採用すると、ドライバビリティや最高出力面で不利になるが、発電効率向上という面では有効な手法。この考え方は、エンジンは直接タイヤを駆動せず、あくまで発電に徹するe-POWERならではの設計思想といえるだろう。
キャシュカイで試乗した印象では、メリハリが強めな小気味の良いドライブフィールが際立つ第2世代と比べると、第3世代は加速の繋がりが滑らかで、意図した加速や速度のコントロールがしやすい。全体的に穏やかで、ゆったりともいえるが、力強さは十分。
さらに興味深いのはエンジン稼働の頻度だ。予想以上に頻繁にエンジンは停止するうえ、停止時間も長め。短時間で効率よく充電できている。さらにエンジン稼働時のエンジン音も静かだ。
急加速時や高負荷走行時における絶対的な動力性能自体には大きな差はないが、操りやすさやコントロール性の違いで、第3世代の方が好みと感じるユーザーも多いはずだ。
この第3世代は国内市場では次期エルグランドへの搭載が予定されているが、燃費だけでなく優れた静粛性や洗練されたドライバビリティはエルグランドに似合っている。次期モデルの競争力が大きく向上するのは間違いないだろう。




豪州への投入が決まった本格オフローダーの動きも見逃せない

日産の本格オフローダー「パトロール(旧サファリ)」の最新モデル(7代目)の試乗会が日本で開催された。試乗車は中東仕様の3.5ℓ直噴ターボ/9速ATを搭載。フレーム付きシャシーながら、約2.8tの車重を感じさせない滑らかな加速と、オフローダーらしからぬ乗用車的なフットワークが印象的。高い走破性も期待できるため、プレミアムSUVとしての魅力も十分だ。
右ハンドルのオーストラリアへの展開は決定済みだが、日本国内に関しても含みを持たせている。試乗した印象は「国内展開は大いにアリ」なだけに、今後の動きに注目したい一台だ。