新車試乗レポート
更新日:2025.05.27 / 掲載日:2025.05.27

【ポルシェ タイカンターボGT】サーキットで垣間見た実力!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ポルシェ

 今に始まった話ではありませんが、スーパーなクルマをテストドライブする時はとても気を使います。もちろんクルマを壊してはいけませんが、その前にスピードのコントロールを意識しなくてはなりません。慎重にアクセルを踏み込んでも思いのほかスピードが出ていることは多々あります。特にここ数年はモーターが装着されることで、より容易な加速が行えます。

 印象的だったのはメルセデスAMG GT63 S Eパフォーマンスクーペです。このクルマは文字通り、ガソリンエンジンをモーターがアシストします。ベースになるのは4リッターV8ツインターボで、最高出力は450kW(612馬力)、最大トルクは850Nmを発揮します。

 そしてそこにモーターが組み合わされることで、システム総合スペックは最高出力816馬力、最大トルク1420Nmへと跳ね上がります。4桁のトルクなんてそう見ないですよね。背景にはAMGハイパフォーマンスバッテリーと呼ばれるF1チームからフィードバックされた技術があります。バッテリー自体を軽くし、高出力を繰り返し発生できる能力を持っているとか。バッテリーの温度上昇を抑える直接冷却方式が採用されます。

 で、その走りを一般道とワインディング、それと高速道路で試したのですが、加速は「とてつもない!」の一言。高速道路の合流地点でドーンと加速し周りの景色を置き去りにします。すぐにアクセルを戻さないと底なしにスピードアップしていくといった感じです。恐ろしい。やはりこの手のクルマは一般道もそうですが、サーキット試乗の機会をつくって欲しいところです。

 なんて考えていたら、ウルトラスーパーなクルマをサーキットで走らせる機会を得ました。ポルシェタイカンターボGTです。

ポルシェ タイカンターボGT バイザッハパッケージ

 このクルマは昨年3月に日本で予約受注が開始されました。ただ、その前からグローバルで話題になっていたのは確かです。というのもそれまでニュルブルクリンク最速の4ドアセダンだったタイカンターボSスポーツセダンパフォーマンスパッケージの記録を塗り替えたからです。レコードタイムを26秒上まわったのはタイカンターボGT ヴァイザッハパッケージ。タイカンターボGTを軽量化したモデルです。

 タイカンターボGTと同 ヴァイザッハパッケージのローンチコントロール使用時の最高出力は1108馬力に達します。前述したAMG GTはトルクが4桁でしたが、こちらはパワーが4桁になります。最大トルクは1340Nmで、タイカンターボGTの0-100km/h加速は2.3秒、最高速度は290km/hになります。最大航続距離は555kmだそうです。

ポルシェ タイカンターボGT バイザッハパッケージ

 といったウルトラスーパーなクルマを岡山国際サーキットで走らせました。2周弱ですがいい経験をしたと思います。このサーキットは1周にストレートが2本あるので、免許がなくなる心配なくアクセルを踏める機会が3回ありました。もちろん、Gフォースを含め体感加速がとんでもないので、アクセルを戻すタイミングは早めになりますが、躊躇なく踏めることができたのは貴重な体験です。

 そこで感じたのは加速もそうですが、ブレーキパフォーマンスの高さです。標準で装備されるセラミックブレーキは強力で、グイッとパワーを抑え込み、その後のステアリングコントロールに繋げます。昔からポルシェの醍醐味はブレーキと言いますが、再確認した瞬間でした。

 このブレーキシステムはこれまでのポルシェセラミックコンポジットブレーキを最適化したものです。ディスクチャンバーとキャリバーハウジングを再設計し、2kg以上軽量しました。なるほど、それがバネ下の軽量化に繋がり、ブレーキング後のハンドリングにいい影響を与えているのでしょう。加減速だけでなく、ハンドリングの良さが際立ったのはこんなことが関係しているのかもしれません。

ポルシェ タイカンターボGT バイザッハパッケージ

 ということで、ほんの数分の出来事ではありましたが、ウルトラハイパフォーマンスなタイカンターボGTの実力を垣間見ました。このクルマにはポルシェが培ってきたモータースポーツのノウハウがふんだんに注ぎ込まれています。加減速だけでなくハンドリングまで高いレベルで楽しめるBEVとなれば、タイカンターボGTは確実に頭ひとつ抜けているようです。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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