新車試乗レポート
更新日:2025.05.02 / 掲載日:2025.05.02

これぞAMGのPHEVだ! 【E 53 ハイブリッド】【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●澤田和久

 あまりに凄い二面性。

 メルセデス・ベンツEクラスのステーションワゴンをベースとした超高性能モデルである「メルセデスAMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン」のことです。

スーツに身を包んだアスリートのようなワゴン

メルセデス・AMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン(PHEV)

 ひとつめのキャラクターは実用性。誰がどう使っても、その使い勝手の良さに納得できるに違いありません。Eクラスはメルセデス・ベンツのラインナップにおいてCクラスよりも上のポジションであり、車体もキャビンも広い。そのステーションワゴンボディなのだから、荷室がどれだけ広いかに関しては説明するまでもないでしょう。

 荷室フロアの奥行きは後席を倒さなくても1mを優に超え、容量は後席使用時で460L。これは通常のEクラスステーションワゴンの615Lよりも狭いですが、その理由はプラグインハイブリッド化に伴う荷室床下へのバッテリー搭載にあたり床面が高くなっているから。その影響もあり後席を倒した際の床はフラットではなく荷室床部分よりも倒した後席のほうが低くなっていたりもしますが、車中泊する人やキャンプなどで荷室をフル活用するユーザーでなければ気にならない範囲といっていいでしょう。

 快適で実用性の高いステーションワゴンであること。それがメルセデスAMG E53ハイブリッド4MATIC+ステーションワゴンの魅力に他なりません。

 実用性としてもう一つ見逃せないのは、プラグインハイブリッド(PHEV)であるということです。大容量バッテリーを搭載したプラグインハイブリッドとしたことで最大97km(WLTCモード計測値)はエンジンを止めてモーターだけで走行可能。つまり日常生活はガソリンを燃やさず走れるジェントルなエコカーでもあるのです。

 しかし、それらはキャラクターのひとつにすぎません。もう一つの顔、それはスポーツカー顔負けの走りをする超高性能車だということ。いうなれば「スーツを脱いだら一流のアスリート」。そんな一粒で二度おいしいワゴンなのです。

凄まじい加速Gを生み出すエンジン+電気のモンスター

メルセデス・AMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン(PHEV)

 まず動力性能の話をすると、449馬力を発生する3.0リッターの直列6気筒ターボエンジンに163馬力のモーターを組み合わせたシステム出力はなんと585馬力。最大トルクは750Nm。「RACE START」 時はシステム最高出力が 612馬力まで昇華する、とんでもないモンスターです。欧州仕様だと0~100km/h加速は3.9秒、最高速は250km/hなのだとか。

 その鋭い加速感は「速い」というよりは「太い」という表現がいいかも。とにかく速い。速い。速い。凄まじい加速Gを生み出すのです。

 加えて独自の感覚なのは、強力なモーターが後押しすることでアクセルを踏み込むとシフトダウンなしにグイグイ加速し、速度が伸びていくこと。一般的なガソリン車のように伸びがあって高回転で加速するというのではなく、低回転からドン!と加速し、その加速が高回転になるとさらに伸びていくという感じでしょうか。普通のガソリン車では絶対に味わえない感覚ですね。

高性能スポーツカー級の性能と五感を刺激する官能的な味付け

メルセデス・AMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン(PHEV)

 とにかくすさまじい速さ。ダイレクト感のあるトランスミッションも運転する楽しさを引き立ててくれます。

 そのうえで強調したいのは、運動性能も一流だということ。

 車両重量は2430kgと重量級ですが、後輪駆動ベースで必要に応じて前輪へトルクを送る4WDシステム「AMG 4MATIC+」、状況に応じて後進左右のトルク伝達をコントロールする電子制御LSDの「AMGリミテッド・スリップ・デフ」、伸び側と縮み側に独立したバルブを持つ電子制御サスペンションの「AMG RIDE CONTROLサスペンション」、さらに最大2.5度リヤタイヤを曲げる後輪操舵システム(4WS)「リア・アクスルステアリング」など操縦安定性を高める装備はてんこ盛り。その走行感覚は、重さを感じさせることなく気持ちよく曲がって峠道などもスイスイ。ハンドリングもまさに水を得た魚と言っていいでしょう。お世辞抜きに高性能スポーツカーレベルです。

 それにしても、AMGの演出は上手ですね。アクセルを踏み込む際のエンジン回転上昇の鋭いレスポンスと高回転の炸裂感、それに刺激的な音といった官能性の味付けが見事。本格スポーツカーと同等のドライビングエクスペリエンスを得られるのは、単に速いというだけでなく、五感を刺激するエモーショナル性能の作り込みの賜物と言っていいでしょう。

日常的な領域ではEV走行も可能

メルセデス・AMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン(PHEV)

 日常域は実用性が高いパッケージングに加え、プラグインハイブリッドによるエンジンを止めてのジェントルでエコロジーかつ快適な移動ができる。いっぽうでひとたび運転を楽しむステージに入れば、高性能スポーツカー顔負けの早さと刺激でドライバーを楽しませてくれる。その二面性のふり幅の大きさは見事としか言いようがないし、オーナー満足感を高めてくれることでしょう。

 実用的なファミリーカーだけど超高性能で刺激的なスポーツカー。メルセデスAMG E53ハイブリッド4MATIC+ステーションワゴンはそんなクルマです。

1台でクルマ好き夢を叶える多彩な才能の持ち主

メルセデス・AMG E 53 ハイブリッド 4MATIC+ ステーションワゴン(PHEV)

 都市部に生活しているクルマ好きの中には「本当は実用的なファミリーカーとスポーツカーの2台所有が理想だけど、駐車場環境などからそういうわけにはいかない」という人もいることでしょう。メルセデスAMG E53ハイブリッド4MATIC+ステーションワゴンともっともマッチングがいいのは、そんな人かもしれません。もちろんスポーツカー好きのセカンドカーとしても最適だし、「実用性を兼ね備えた激速ワゴンが欲しい」とか「荷物をたくさん積んでロングツーリングすることが多い」という人にもうってつけ。こういうクルマを所有できる人は、素直にうらやましいですね。クルマ好きにとっては、人生を豊かにしてくれる1台といって間違いありません。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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