新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2015.03.19
BMW X6 試乗レポート(2015.03.19)

レベルアップが著しい速いSUVの現在形
1999年にX5をリリースしたBMWは、いま考えるとSUVの先駆者といえる。カイエンやトゥアレグ、XC90よりも前にそれを開発した。そんなこともあり、独自の進化を遂げる。たとえばそれがX6。SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と名付けられたそれは通常のSUVとは明らかにカタチが違う。
そのX6の2世代目が登場した。先代が人気だったのは一目瞭然。そのスタイリングはほとんど変わらず、中身をうまい具合にアップデートさせた。ちなみに、このシリーズがヒットしているのはX4の登場でも察せられる。X6がヒットしなければ、当然X4のプロジェクトは生まれなかった。
では、新型はどう進化したのか。まずはフロントマスクが新世代となった。また、ボディパネルにはエアフラップコントロールやエアロカーテンを装着。空気抵抗値を下げ、燃費を稼いでいる。Cd値0.32は立派。背が高くなろうとこの辺にこだわるのがBMWである。
電子デバイスも充実した。この分野は日進月歩だけに、新型車は必然的にてんこ盛りとなる。具体的には、ヘッドアップディスプレイのフルカラー化やナイトビジョンが人間だけでなく動物をマーキングしたり、パークアシストやアラウンドビューモニターなどが挙げられる。走行面では車線逸脱警報や衝突回避・被害軽減ブレーキだ。もはや十分すぎるドライブアシストである。

グレードは3L直6ツインスクロールターボの35iと4.4L V8ツインターボの50iとなる。ともに秀逸なユニットであるのは言わずもがな。2トンを軽く超えるボディを力強く走らすのだから驚きしかない。とくにV8の加速は感動モノ。青信号からのロケットスタートはスポーツカーオーナーも舌を巻く世界だ。8速あるトランスミッションをひとつひとつ上までしっかり回せば、向こうの景色が一瞬で目の前に迫ってくる。また、そのときのサウンドも絶妙。暴力的なエキゾーストノートで脳天からやられてしまう。
ここで特筆したい電子デバイスを思い出した。xDrive50i Mスポーツに標準装備されるダイナミックパフォーマンスコントロールだ。これはアメリカで試乗したとき定常旋回で体感したが、クルマを高速域でコントロールしてくれるありがたい装備。4WDシステムのxDriveと連動して、左右の駆動力を最適化しアンダーステアを消してくれる。質量が大きく慣性モーメントがクルマの挙動に大きく関係してくるX6だけに、効果は大。ダイナミックな走りができるのと同時に、安全性も高まる。まさに全方位でアップデートされたX6。残念なのは日本仕様にディーゼルエンジン車がないことだけだろう。こういった性格の持ち主だからこそ必要に感じられる。低燃費でロングドライブを楽しめるのだからあると嬉しい。それにご承知のとおりBMW製ディーゼルはまんまスポーティである。
X6はほかのBMW製SUV同様アメリカから輸入される。つくられるのはサウスカロライナ州シュパルタンバーグのプラント。ここでX3、X4、X5、X6をラインオフする。しかも工場は現在拡張中ということだから、今後さらに生産量は上がることだろう。
価格は直6エンジン搭載の35iのスタンダードで898万円から。コレ1台でロングドライブからワインディングのスポーティな走りまでこなせるという意味ではバリューは高い。それに4WDであることも鑑みれば、まさに万能とも言えそうだ。
文●九島辰也 写真●澤田和久
問い合わせ BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
Detail Check

インパクトの強かった初代と比べると、よりエレガントになったボディライン。まとまり感と洗練さが印象的だ。
コックピット
コックピット
X6のダッシュパネルはほかのモデルとデザインを統一する。ラウンドする形状もそうだし、横長ワイドモニターの位置もそうだ。ただしこのセンターコンソールの太さはすごい。力強さ満載だ。
インテリア
インテリア
前席はサイドホールドされるバケットタイプが装備される。試乗車はツートンで色分けされていた。リヤシートは3名乗車。ヘッドクリアランスにも不都合はない。大人4人乗りツアラーとしては完璧。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
リヤにバルクヘッドがなく自由に使えるトランクルーム。シートを畳めばかなりの長尺物まで積める。開口部もご覧のとおりの大きさを誇る。
エンジン
エンジン
日本仕様はガソリンエンジンのみの2タイプ。V8はともかく、直6ターボもかなり力強い走りを見せた。
タイヤ
タイヤ
ホイールは35iのスタンダードが19インチのほかすべて20インチ。ライトアロイの軽量タイプを採用。
主要諸元:BMW X6 xDrive50i(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4925×1990×1700mm |
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ホイールベース | 2935mm |
トレッド前/後 | 1655/1670mm |
車両重量 | 2270kg |
エンジン | V8DOHCターボ |
総排気量 | 4394cc |
最高出力 | 450ps/5500rpm |
最大トルク | 66.3kg m/2000-4500rpm |
サスペンション前/後 | ダブルウィッシュボーン/インテグラル・アーム |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 275/40R20・315/35R20 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年8月7日)
X6 xDrive35i(8速AT) | 898万円 |
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X6 xDrive35i Mスポーツ(8速AT) | 975万円 |
X6 xDrive50i(8速AT) | 1185万円 |
X6 xDrive50i Mスポーツ(8速AT) | 1285万円 |
Body Color
■ブラック・サファイア ■グレイシャー・シルバー ■スパークリング・ストーム・ブリリアント・エフェクト ■フラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト ※ほか6色。 |
走りのポテンシャルはさらにレベルアップしている
ダイナミックなスポーティさを前面に押し出した初代と比べると、一見優雅さや快適さをイメージさせられる新型X6。ゆったりとしたクルージングも得意だが、進化した駆動系や洗練された足さばきで、ドライバーの意のままにスポーティモデルとしてのパフォーマンスも存分に発揮する。