新車試乗レポート
更新日:2024.12.05 / 掲載日:2024.12.05
《12月上旬発売》新型セレナ “AUTECH SPORTS SPEC” 先行試乗
《12月上旬発売予定!》《走りもルックスも新次元!》
日産の最上級ミニバンといえばエルグランドだが、現行モデルの登場は2010年。稀少なV6エンジンをラインナップしているとはいえ、フラッグシップを名乗るには少し寂しく思える。そんな不満を感じているユーザーにとって、ここで紹介する「セレナ オーテックスポーツスペック」は、相当面白い存在になりそうだ。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
NISSAN 新型セレナ AUTECH SPORTS SPEC
セレナ オーテック スポーツスペック
車両本体価格:438万6800円 ※持込登録
ボディカラー:カスピアンブルー/ダイヤモンドブラック2トーン(有料色8万2500円高)
●主要諸元:2WD・7人乗り 全長×全幅×全高(mm)4810×1725×1865 車両重量(kg)1820 最小回転半径(m)5.8 ●主要装備:専用17インチアルミホイール、MICHELIN PILOT SPORT5、ボディ補強、パフォーマンスダンパー、専用サスペンション、専用パワーステアリング、遮音ガラス等
「走り好き」のために
誕生した上級ミニバン
ファミリーミニバンに採用されている機能や性能は、幅広いユーザーをターゲットにしたもので、少し物足りなさを感じてしまうユーザーもいるだろう。そこで注目してみたいのが、嗜好面を中心に手を加えたカスタマイズ仕様だ。
日産は直系のカスタマイズブランドとしては、オーテックとニスモが有名。オーテックはプレミアム志向、ニスモはモータースポーツを背景とする独自のカスタマイズで、普通では物足りなさを感じているユーザーを上手に取り込んでいる。
今回試乗したのは、オーテックが手がけた「セレナ オーテックスポーツスペック」。このモデルは先代にもラインナップされていて、今回セレナのビッグチェンジに合わせて、現行世代にも投入されることになる。
内外装と装備は先に発売されたオーテックモデルと共通。抑えの利いた煌びやかな外観と、大人の落ち着きを感じさせる内装を特徴とし、ファミリー色が強いセレナに1クラス上のプレミアム感を与えている。そこにカスタマイズされたパワートレーン(e-POWER)とシャシーを組み込んだことが特徴になる。
目玉となるのは、やはり走行性能の向上。チューニングされたe-POWERは、スポーツモード選択時の踏み込み直後の加速の立ち上がりや、中間域の加速力が強化。個人的にはベース車と共通の制御となるエコやスタンダードモードのほうが洗練された印象だが、この味を好む向きも相当数いるだろう。
フットワークも要点のひとつ。俊敏な反応というよりも、適度な穏やかさを併せ持つバランス型の味付けで、コーナー時での急激な変化は少なめ。セッティングは高速安定重視寄りだが、万人に御しやすいミニバンに仕上がっている。
さらに関心したのが、ロードノイズなどの遮音性の高さ。後席への声の通り方もしっかりとしており、家族とのドライブでもありがたさを実感できそうだ。
実際に手を加えた部分を見ていくと、シャシー周りはサスペンションのバネ/ダンパーの変更、タイヤ変更、リヤフレームにパフォーマンスダンパーを装着したほか、サイドガラス板厚アップ等の遮音設計など。それでいて価格は2WDで438万6800円と、ベースとなるセレナ オーテック(419万9800円)に比べて18.7万円高に留まる。ベース車比では46・1万円高になるが、吊るしのセレナに物足りなさを覚えている向きにとっては、検討する価値は大いにあるだろう。