新車試乗レポート
更新日:2024.11.13 / 掲載日:2024.11.13
新型クロストレック[ストロングハイブリッド]《先取り試乗ガイド》
《2025年の主役たちが勢揃い》期待の新型モデル先取り&深掘りガイド
2024年も残すところあと2か月となったが、すでに新車界隈は来年2025年に活躍しそうな新型モデルが注目されている。ぶっちゃけてしまうと、今年よりも来年の方が当たり年! ここではこの先に注目して欲しいクルマたちを紹介しよう。
新パワートレーンの魅力先取り大解剖!
環境&燃費性能と走行性能をさらに上乗せ!
9月に装備向上やカラースキームの変更などを実施したばかりのクロストレック。だがそれだけでは終わらない! 従来のマイルドハイブリッド車(MHEV)に加え、ストロングハイブリッド車(SHEV)が近日登場する。気になるその実力とは!?
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久/(株)SUBARU
SUBARU新型クロストレック[ストロングハイブリッド]

◾️ボディカラー:オアシスブルー
デビュー予定 2024年内
予想価格帯は350万〜370万円
スバルファン以外にもアピールできる出来だ
e-BOXERに新たなバリエーションが追加された。と言っても電動系のシステムは従来のe-BOXERとはまったく別である。既存型はパラレル式を採用し、モーター出力面でもMHEVに近い設計だったが、新型e-BOXERはトヨタの主力システムと同じ遊星ギヤ式動力分割機構を用いたスプリット式を採用。駆動用モーター出力も88kWと本格(ストロング)HEVシステムらしくなった。純電動走行レンジの拡大だけでなく、駆動アシスト量も大幅に増加する。
その性能の一端をスキー場に特設したクローズドコースで試してみた。比較的急勾配の登降坂と泥濘を主としたコースなので、高速の伸びや巡航維持力のチェックはできなかったが、既存型e-BOXERから動力性能を大きく向上させたのは容易に理解できた。
核となるエンジンは2・5ℓ4気筒。SHEVシステム専用に開発されている。既存型より排気量を500㏄増加させているが、最大トルク増は控えめ。高負荷域までクールドEGRを掛けて燃費のスイートスポットの拡大を図っているのが特徴だ。端的に言えば2・5ℓだから速いのではなく、電動アシストの効果が大きいのだ。
アクセル踏み込み直後の駆動力の立ち上がりが鋭い。既存型も俊敏に反応するが電動アシスト量も持続時間も短いので、すぐに並の2ℓの加速性能に戻ってしまう。しかし、ストロング型は直後のダッシュ力を維持して加速。排気量差以上にキレのいい加速性能を維持してくれた。もちろん、モーター出力だけでなく、HEV用バッテリーの容量増の効果でもあり、蓄えた電力を使い切ってしまえばエンジン性能相応の加速力になってしまう。とはいえ一般的には全開近くで延々と加速するような状況はなく、実用性能では大幅なパワーアップと考えていい。
電動アシストは悪路走破性でも効果的だった。雨上がりのせいか試乗コースの一部が水田のような深い泥濘で、土の排出や押し切りのために一瞬大トルクをかけてすぐに抜く等の細かなアクセル操作を必要としたが、新HEVシステムは期待通りに反応してくれた。
なお、4WDシステムは多板クラッチを介して後輪への駆動伝達及び前後輪の同期性を制御する機械式で、締結力を電子制御するタイプ。新HEVシステムとの相性も良く、オン&オフロードの両面での性能アップが期待できる。
HEVのもうひとつの特徴である燃費は、正式発表前なので詳しい数値は不明。開示された情報からの計算値ではWLTCモードでおよそ18〜19㎞/ℓ台となる見当だ。同モードにおける既存型4WD車の数値が15・8㎞/ℓなので、14%くらいの向上が見込める。同クラスのHEVをリードするほどではないにしても、実燃費で20㎞/ℓも可能な領域に入ってきた。
なお、パワートレーン以外にも改良が加えられた。省燃費性能への寄与ではエアコンのコンプレッサーの電動化や電熱ヒーターを採用。また、サス回りも変更が加えられ、ダンパーやアームブッシュの改良や見直しにより操縦感覚における安心感や乗り心地のグレードアップを図っている。
専用の内外装加飾やホイールデザインの採用など、新HEVシステム搭載モデルは既存車種に対して上級設定車として追加されるのは間違いないが、気になるのは価格設定だ。既存のリミテッドが約323万円。1・8ℓターボを搭載しクラスも上になるレイバックが約400万円。上級設定ゆえの装備のランクアップもあり、パワートレーンに関わるコスト等も勘案すればレイバックに近い価格設定の可能性もある。いずれにしても付加価値を求めるスバルファンだけでなく、SUVの新機軸のひとつになりそうな気配濃厚である。



e-BOXERは2タイプに!
ストロングハイブリッドシステムの名称は従来のマイルドハイブリッドと同じく「e-BOXER」。違いはグレード名に反映され、新システム搭載グレードは「S:HEV」を名乗る。


現行型 SUBARU クロストレック

●価格:301万4000〜344万8500円
●発表年月(最新改良):’22年12月(’24年9月)
2ℓエンジン+モーターの「e-BOXER」を全車に搭載し、FFと4WDが選べる。9月にインフォテインメントシステムの使い勝手向上等の改良を実施。