新車試乗レポート
更新日:2018.11.14 / 掲載日:2014.04.17

プジョー 2008 試乗レポート(2014年04月)

プジョー 2008

あらゆるボディサイズで登場するモデルの多くがSUVスタイルのクロスオーバーとなる今日。しかし、プジョーから登場したこの「2008」は、ライバルたちとはひと味違う大人の雰囲気だ。

都会的な洗練さが際立つ魅力的なクロスオーバー

 206や207には「SW」と名乗るモデルがあったが、208を母体とするユーティリティモデルはちょっと趣向が違う。4桁車名を持つことからもわかるように、「コンパクト・アーバンクロスオーバー」をコンセプトとする2008は、スペシャルティ感をより高めている。

 とはいえ、駆動方式はFFのままだから、クロスオーバーといっても走破性やタフさで勝負をするわけではない。ゆえに、「なんちゃってSUV」とナメてかかる人もいるだろうが、じつはBセクメントで4駆を用意するのは日本車ぐらいのもの。

 200mm拡大した全長を活かす余裕あるラゲッジと、高めの目線が生む開放感の高いドライビング感覚だけをとっても、2008には平凡なコンパクトハッチにはない魅力がある。いまのブームの火付け役は日産ジュークだが、2008のムードはグッと大人っぽく、クオリティ面でも確実な差をつけている。

 しかし、走りの面では心配な要素もある。ボディの大型化により、208比で車重が50kgほど増しているのに、心臓は82馬力/12.0kg mの3気筒1.2Lだけの設定なのだ。そしてミッションは、最新208でも話題のETG5を組み合わせる。

 でも、心配は杞憂だった。発進の瞬間から、2008の走りは十分に軽やかで、右足に力を込めればストレスなくスピードを高めていく。高速のハイペース走行もなんなくこなし、急勾配で知られる箱根ターンパークもいいペースを維持したまま登り切ってしまったのだから、動力性能は「これで十分」と言える。

プジョー 2008

 特筆すべきは、バランサーシャフトを内蔵する3気筒EB2ユニットの素性のよさ。小排気量のNAエンジンだから、当然中高回転域まで引っ張る場面もあるが、5000回転を超えても3気筒にありがちな荒っぽい振動や騒音とは無縁でいられる。むしろ、独特のビート感や軽快な音色のサウンドが、走りの快感を高める魅力になっているほどだ。

 ETG5はシングルクラッチ式だから、DCTほどの変速のスムーズさや早さは求められないが、自動シフトアップでのつんのめり感も許せる範囲。スタート&ストップ機構の出来もよく、トータルとしてうまくパワートレーンをまとめている。

 エンジンは3気筒、ミッションはAMT、そしてスタート&ストップ機構付きというと、エコに特化したモデルと思うかもしれないが、走りの楽しさも忘れてはいない。それがプジョーらしいところだ。

 走りにこだわる姿勢は、クロスオーバーのネガを感じさせないフットワークにも表現されている。小径ステアリングを切ると、2008はクイックに反応。切り返しの場面でも応答遅れは気にならず、ハイペース走行に至るまで軽快かつ正確なハンドリングを楽しませてくれるのだから、たいしたヤツと言っていい。

 しかも、乗り心地面でもプジョーへの期待を裏切らない。サスは自然なストローク感を特徴とするもので、無粋なゴツつきを遮断し、ヒョコヒョコと落ち着きのない上下動もしっかりと抑え込んでいる。優れた操縦安定性と上質な乗り心地をバランスさせる秘密は、路面をなめるような高い接地性。違和感のない電動パワステの反力設定も褒められる。

 そんな2008のグレードは2タイプ。プレミアムも十分な装備内容だが、上級のシエロはパノラミックガラスルーフやアルカンタラ/テップレザーシート、テップレザーダッシュボードバンドなども標準。フレンチSUVらしいおしゃれさにこだわるなら、お薦めはシエロとなる。

文●森野恭行 写真●内藤敬仁
問い合わせ プジョーコール 0120-840-240

Detail Check

プジョー 2008

208と比較すると、全長が200mm、全高が80mm(ルーフレール含む)大きい。地上高はプラス10mmの150mmで、走破性はほどほど。

  • エクステリア

    プジョー 2008(エクステリア)

  • エクステリア

    キックアップしたルーフラインが目を引く。ルーフレール込みで全高は1550mmで、立体式駐車場に対応するのもうれしい点。

  • コックピット

    プジョー 2008(コックピット)

  • コックピット

    デザインは208に準じたもの。高い位置にあるメーターパネルと小径ステアリングのコンビが、独特のコクピット空間を演出する。造形や色調のセンスのよさに質感の高さが加わり、近年のプジョーの内装はどんどん魅力を増している。

  • インテリア

    プジョー 2008(インテリア)

  • インテリア

    開放的に感じられるのは、高めに設定されたアイポイントがカギ。前席のサポート性も満足のいくものだ。後席は全体的に208より余裕が感じられるが、シートがやや平板なのが惜しい。フォールダウン式可倒の影響が出ているようだ。

  • エンジン

    プジョー 2008(エンジン)

  • エンジン

    208で好評の3気筒1.2Lに、オートメーテッドMTのETG5を組み合わせる。出来は上々だ。

  • ラゲッジスペース

    プジョー 2008(ラゲッジスペース)

  • ラゲッジスペース

    定員乗車で360Lの容量。後席を倒せば荷室フロアは平らになり、容量は1172Lに増大する。

主要諸元:プジョー 2008 シエロ(5速AT・ETG)

全長×全幅×全高4160×1740×1550mm
ホイールベース2540mm
トレッド前/後1480/1485mm
車両重量1160kg
エンジン直3DOHCターボ
総排気量1199cc
最高出力82ps/5750rpm
最大トルク12.0kg m/2750rpm
サスペンション前/後ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後205/55R16

全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2013年11月・2014年2月)

2008 プレミアム(5速AT・ETG)253万円
2008 シエロ(5速AT・ETG)278万円

Body Color

 マカハ・ブラウン プラチナ・グレー ペルラ・ネラ・ブラック
 □ビアンカ・ホワイト □パール・ホワイト カラド・ブルー

デイタイムをアクティブにナイトタイムはエレガントに

プジョー 2008

 ナイトドライブをムーディに演出するアイテムも2008の自慢だ。注目はルーフトリムのLEDイルミで、パノラミックガラスルーフが標準のシエロはブルーのLEDガイド、プレミアムは左右4本のLEDトラックを採用する。ライト点灯に連動するアンビエンスライトとして機能し、ハイセンスなキャビンを一段とファッショナブルな雰囲気に変身させる。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ