新車試乗レポート
更新日:2018.11.30 / 掲載日:2013.08.22
フォルクスワーゲン ゴルフ 試乗レポート(2013年08月)


凛々しくなったスタイル、より上質になったインテリアを見ただけでもゴルフの進化は明らかだが、さらに衝撃的だったのは・・・走りの質感アップだった。そうした印象は、上級のハイラインで一段と鮮明になる。
ついに上陸を果たしたゴルフVIIには3つのグレードが用意され、トレンドラインとコンフォートラインは105馬力/17.8kgmの1.2L TSI、ハイラインは140馬力/25.5kgmの1.4L TSIというエンジン構成になっている。1.2LはDOHC4バルブ化、1.4Lはアルミブロック化と、どちらも大きな進化を実現した新世代ユニットだ。
肝心の動的パフォーマンスは1.2L TSIでも不満のないレベルにあるが、1.4L TSIの走りは全域でのゆとりを実感させるもので、静粛性に代表される快適度もひとつ上のレベルにある。しかも、1.4L版にはACT(アクティブシリンダーマネージメント)が搭載され、その完成度は「いつ2気筒になったの?」、「あれ、いつの間にか4気筒に戻っている」・・・と、表示を見ないと切り替えがわからないほどスムーズなのだから、エコ指向派やメカ好きでなくても大いに興味をそそられる。
でも、ハイラインの違いはそれだけではない。ゴルフVIIでは、1.2Lはトーションビーム式、1.4Lはマルチリンク式と、リヤサスにグレード差をつけた点を見逃してはいけない。
16インチタイヤを履くコンフォートラインは、ウエットコーナリングでやや頼りない挙動をみせ、荒れた路面ではコツコツ、ヒョコヒョコと落ち着きのない上下動を伝えることがあったが、DCC(電制可変ダンパー)をオプション装着したハイライン(タイヤは17インチ)の走り味は、あらゆる面で「ひとクラス上」を意識させる仕上がりだった。
「コンフォート」モードは、乗り心地のしなやかさや抑制されたロードノイズが印象的で、Eセグメントのサルーンに迫る快適性と安心感を提供する。極上の乗り味は、「ゴルフもここまで来たか!」の感動をもたらすほどのものだ。しかも、「ノーマル」・・・「スポーツ」と切り替えると、サスと操舵感は適度に締まったフィールとなり、スポーティなドライビングにも対応するから懐は深い。
なら、ベストな選択は?プリクラッシュブレーキ標準で249万円と、トレンドラインの設定はとても魅力的だが、アダプティブクルーズコントロールやリヤビューカメラ、16インチタイヤの標準化を考えれば・・・269万円のコンフォートラインの買い得感はより高く思える。
で、299万円までラインを上げれば、ワンランク上質な走りとより充実した装備を持つハイラインに手が届き、14万7000円をプラスすればDCCパッケージの選択が可能なのだから、今度のゴルフはグレード選びで大いに悩みそう。
いずれにしても、VWの新世代モジュール戦略「MQB」のもとで開発された7代目ゴルフは、ファンの期待を超えるほどの高い実力の持ち主であることは間違いない。個人的には、1.2L TSI車のリヤサスを格下げした点に疑問を持つが、そこにはVWなりのバリューフォーマネーの思想が込められているのだろう。
Cセグメントのハッチバック市場は、長年にわたってゴルフが牽引してきたマーケットだが、今後数年はまた、このゴルフVIIがベンチマークとなるのは間違いない。まさに「真打ち登場!」という感じ。とくに、ハイラインのデキは感動のレベルにあり、ゴルフファンだけではなく、今も増加傾向のダウンサイザーの興味も大いに引きつける予感がする。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合せ フォルクスワーゲン カスタマーセンター TEL:0120-993-199
Detail Check
エクステリア

コックピット
コックピット
モダン化を図り、質感を一段と高めたコクピットは魅力的な仕上がり。5.8インチタッチスクリーン採用の次世代オーディオシステム「コンポジションメディア」を標準搭載し、多機能化と直感的操作を両立させた。将来的にはナビも統合する予定。
インテリア
インテリア
ホイールベースを60mm拡大するなどして、より快適なキャビンを実現。シートのかけ心地もよく、大人4人がゆったりくつろげる。また、ハイラインはアルカンターラ採用のスポーツシートを標準装備。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
容量380~1270Lの十分な荷室を確保。6対4分割可倒に加えてアームレストスルー機構も採用し、いろいろな用途に対応。テールゲート開口も大きく、積み降ろしもラクだ。
エンジン
エンジン
ハイラインは1.4L TSI+7速DSGのコンビ。シングルチャージャー式(ターボのみ)で、従来のツインチャージャー式に迫る高性能(140馬力/25.5kgm)を実現したのが見どころ。
主要諸元:フォルクスワーゲン ゴルフTSIハイライン(7速AT・DSG)
全長×全幅×全高 | 4265×1800×1460mm |
---|---|
ホイールベース | 2635mm |
トレッド前/後 | 1535/1510mm |
車両重量 | 1320kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1394cc |
最高出力 | 140ps/4500-6000rpm |
最大トルク | 25.5kg m/1500-3500rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/45R17 |
全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2013年5月・2013年6月)
ゴルフ TSI トレンドライン(7速AT・DSG) | 249万円 |
---|---|
ゴルフ TSI コンフォートライン(7速AT・DSG) | 269万円 |
ゴルフ TSI ハイライン(7速AT・DSG) | 299万円 |
Body Color
■パシフィックブルーメタリック ■トルネードレッド ■タングステンシルバーメタリック ■ナイトブルーメタリック □ピュアホワイト ■ディープブラックパールエフェクト ■リフレックスシルバーメタリック □オリックスホワイト マザーオブパールエフェクト |
事故後の被害軽減を図る効果は抜群!
安全面の注目技術は、標準搭載となるプリクラッシュ&シティエマージェンシー・ブレーキだけではない。マルチコリジョンブレーキシステム(コンパクトクラスでは初)の標準化にも注目。このメカは、衝突や追突時の衝撃をエアバッグのセンサーが感知することにより作動し、自動ブレーキをかけて10km/h以下になるまで減速する。