新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2013.09.19
BMW 3シリーズ グランツーリスモ 試乗レポート

好調3シリーズのGTは実力派のニュータイプだ
デビュー以来好調なセールスを記録する3シリーズに新たなモデルが登場した。ハッチバック風のロングホイールベースボディを与えられたグランツーリスモは、思わず「新しいシリーズ」と思ってしまうほど斬新だ。

BMWはたまに不思議なクルマを作る。現行ラインアップでいうとX6や5シリーズGTがそれだ。
ブランドのイメージ的には保守的傾向が強く、決まったカタチのなかの技術革新を追い求めるといった感じだが、今回はそうでもない。
歴史的に見ても1930年代の327や50年代の507、さらにはZ8なんてモデルもあり、マーケットをアッと言わせている。パフォーマンスはもちろん、キャラクターでもインプレッシブなものばかりだ。
そんなおり、今度は3シリーズにグランツーリスモが加わった。ホイールベースを伸ばし、ハッチバック風のトランクリッドを付けたものだ。明らかに違うのはそこ。3ボックスから2ボックスになったことで、リヤのバルクヘッドがなくなっている。それじゃそれがそのままボディ剛性の低下を導いているかといえば、最近は一概にそうともいえない。モノコック構造自体が強固なものになっているし、サイドメンバーなども効率的に使われるからだ。
ではまず、サイズから見てみよう。スリーサイズは全長4825×全幅1830×全高1510mmで、ホイールベースが2920mmとなる。セダン比で、全長が200mm長く、全幅が30mm幅広く、全高が70mm高い。ホイールベースは110mm延長だ。
これはどういう意味かというと、新しいパッケージングの創造を表す。4つのドアのセダン、流れるフォルムのクーペ、ユーティリティのあるツーリングをすべて組み合わせたパッケージングだ。そしてターゲットはまさにそうした新しい価値観を受け入れられる人々。もっとスポーティなスタイリングで荷物がたくさん詰めたらいいのにと考える人へのものだ。先日プロゴルファーをインタビューしたが、そんな理由でSUVに乗っていると言っていた。もしかしたら、彼のような使い方にGTはバッチリハマるのかもしれない。
エンジンは2L直4の184馬力と245馬力が基本形となる。前者が320i、後者が328iだ。そしてもうひとつ3L直6の335iが用意される。306馬力を発揮するユニットは535iに積まれるものと同じだ。
トランスミッションは全グレード8速ATで、MT車はない。ハンドル位置もすべて右という設定。その意味じゃかなり日本のマーケットを睨んだ仕様となる。選択はエンジンと装備の違いだけということになる。
では、3シリーズGTを実際に走らすとどうなのか。
スタートからクルマの動きはスタンダードの3シリーズとは違う。ホイールベースが伸びサイズアップがなされたことで、クラスがひとつ上がったようなしっとりさがある。今度のクーペは「4シリーズ」と呼ばれるが、このクルマも「新たなシリーズか」と思ってしまう。
もちろん、走り出してしばらくすると、じわじわと「らしさ」を発揮する。S字コーナーの足さばきはまんまBMWでロングホイールベースによるネガティブさは感じない。で、次に高速走行でこいつの素晴らしさを知る。このフラットライドは5シリーズに近く、高級感を醸し出していた。その路面を滑るような走りは、えも言われぬ快感だ。
エンジンは184馬力だと少々物足りないかもしれない。クルマの格からして328iの方がしっくりくる。もちろん、予算が見合えば335iがベストマッチ。ただ750万円となると、5シリーズツーリングも気になる。
魅力あふれるグランツーリスモ。マーケットの反応は如何なるものか。
文●九島辰也 写真●GooWORLD
問い合せ BMWカスタマー・インタラクション・センター TEL:0120-269-437
Detail Check
エクステリア

コックピット
コックピット
コクピットはまんま3シリーズのイメージ。太めのステアリングホイールとハンドタイプのサイドブレーキが「らしさ」を醸し出す。スポーティだがエレガントな佇まい。右ハンのみだがドライバーの左足スペースが狭くないのもいい。
エンジン
エンジン
エンジンは、ガソリンのみの3種類。2L直4と3L直6。8速ATとの相性は申し分なく、レスポンスがよいのでスポーティにも走れるし、燃費にこだわった走りもできそうだ。
インテリア
インテリア
特筆したいのはリヤシート。大人3名が座れるスペースが確保される。また、ロングホイールベースによって、足元が広いのも美点。これなら、ショーファードリブン的な使い方も十分できそうだ。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
これが噂のカーゴルーム。リヤシートすべてを倒すとここまで広いスペースが生まれる。数値的には最大1600Lだそうだ。出っ張りがほとんどないのもお見事!である。
主要諸元:BMW 328i グランツーリスモ ラグジュアリー(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4825×1830×1510mm |
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ホイールベース | 2920mm |
トレッド前/後 | 1540/1585mm |
車両重量 | 1690kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 245ps/5000rpm |
最大トルク | 35.7kg m /1250~4800rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/5リンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 225/50R18 |
全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2013年6月)
320i グランツーリスモ(8速AT) | 494万円 |
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320i グランツーリスモ スポーツ/モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 514万円 |
320i グランツーリスモ Mスポーツ(8速AT) | 543万円 |
328i グランツーリスモ(8速AT) | 599万円 |
328i グランツーリスモ スポーツ/モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 619万円 |
328i グランツーリスモ Mスポーツ(8速AT) | 648万円 |
335i グランツーリスモ(8速AT) | 730万円 |
335i グランツーリスモ スポーツ/モダン/ラグジュアリー(8速AT) | 750万円 |
335i グランツーリスモ Mスポーツ(8速AT) | 776万円 |
Body Color
□アルピンホワイトIII ■ブラックII ■ブラック・サファイア ■カラハリ・ベージュ ■メルボルン・レッド ■グレイシャー・シルバー ■インペリアル・ブルー・ブリリアント・エフェクト □ミネラル・ホワイト ■ミッドナイト・ブルー ■ミネラル・グレー ■リキッド・ブルー |
走りを重視する人のためにMスポーツパッケージを用意
BMWのほかのシリーズと同様、3シリーズGTにも「Mスポーツ」が設定される。力強いルックスのMエアロダイナミクス・パッケージのほか、M社が開発したスポーツサスペンション、パドルシフト付きレザーステアリング、「スポーツプラス」モードが付いたドライビングパフォーマンスコントロールなど、数多くの走りの装備が与えられている。