新車試乗レポート
更新日:2018.10.31 / 掲載日:2011.12.22

BMW 1シリーズ 試乗レポート(2011年12月)

BMW 1シリーズ

エントリーモデルの領域を超えた上質感

クラス唯一の後輪駆動を採用する1シリーズが7年ぶりにフルモデルチェンジを行なった自慢の走りはもちろんのこと、快適性や居住性そして内外装品質と、その進化は全方位にわたる

BMW 1シリーズ

 自動車メーカーとしてのスケールを拡大させるべく、プレミアムブランドであるBMWが小型車セグメントに本格的に参入したのが、初代1シリーズを発表した2004年。専用に開発され、独立したモデルとして登場した初代1シリーズは、BMWの期待どおり6年間で100万台を突破するヒット作となった。

 7年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型は、クラス唯一の後輪駆動と約50対50の前後重量配分による優れた走行性能はそのままに、各要素をブラッシュアップして登場した。そのねらいは、初代で獲得したファンをキープしながら、より幅広くユーザーを取り込もうというもので、事実そのための方策は念入りだ。

 7シリーズとの共通性を連想させる丸みを帯びたボディは、サイズも従来モデルと比較して長さ95mm、幅15mm、高さ40mm、さらにホイールベースを30mmそれぞれ拡大。前席に大柄なドライバーがポジションをとっても、後席足元には余裕がある。FF方式を採用するライバルと比べて劣勢だったリヤシートの居住性が改善されたことは大きなニュース。

 さらに、インテリアも最新のBMWテイストで仕立てられ、シートに座った際の印象は、エントリーモデルであることを感じさせない。全モデルに8.8インチワイドディスプレイとiDriveを標準装備としたことも、多く機能を備えながらも、洗練されたデザインを実現した要因だ。

 メカニズムについては、「効率」と「パワー」を両立させるエフィシェントダイナミクスの設計思想により、環境性能を大幅に強化した。 エンジンは、同じグループ内ではMINIに使われている直噴1.6L 4気筒ターボを縦置きにして搭載する。116iと120iの出力の違いはマネージメントによるもので、メカニズム的には共通。トランスミッションはクラス初の8速ATとなる。

 さらに、アイドリングストップ機構、ブレーキ・エネルギー回生システム、電動パワーステアリング、そしてエンジンレスポンスやシフトタイミングに加えてエアコンの制御を行なう「ECO PROモード」など、さまざまな環境技術を採用。全モデルで、「平成22年度燃費基準+25%」および「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」を達成して、エコカー減税対象モデルの認定を受けている。

 質感が高まったのは内外装だけではない。走り出してすぐわかるのが、乗り心地の進化だ。先代モデルでは段差を乗り越える際に衝撃を素直に伝えていたが、新型の最新ランフラットタイヤとサスペンションの組み合わせは、衝撃の角をきれいに丸めてくれる。初代がコンパクトカーらしいさわやかですっきりとした乗り味だったとすれば、新型のそれはしっとりとした上質感を身につけた大人っぽいもの。それでいながらコーナーではBMWブランドに期待する機敏な身のこなしを披露するのだから気持ちがいい。

 新パワートレーンは、116iでも十分なトルクを発揮してくれるが、上級グレードの120iはさらに上手。高回転域までパワー感が続き、あらゆるシーンで余裕をもたらす。

 ターボエンジンと8速ATは静粛性の向上にも貢献していて、新型1シリーズの走りは、もはや3シリーズに近い領域にあると言えるだろう。 初代モデルの弱点を克服しながら、チャームポイントであった走りの楽しさに磨きをかけた新型1シリーズ。その仕上がりは、デビュー時点ですでにかなりのレベルに達しているのは確か。ダウンサイジングが進む時流に乗って、初代同様この新型もヒット作となりそうだ。

文と写真●GooWORLD
問い合せ BMWカスタマー・サポート TEL:0120-55-3578

Detail Check

エクステリア

BMW 1シリーズ エクステリア

前モデルに対してひとまわり大きくなった新型1シリーズ。3サイズは、全長を95mm、全幅を15mm、全高を10mmそれぞれ拡大している。それに伴ってホイールベースも30mm引き延ばされ、後席の足元スペースが拡大した。

  • コックピット

    BMW 1シリーズ コックピット

  • コックピット

    大幅に質感を向上させたインテリア。ドライバーに操作類を向けたレイアウトをとりながら、開放感も演出。大型の8.8インチワイドディスプレイには、BMWが提唱する集中コントロールi-Driveを標準で装備。

  • BMW 1シリーズ コックピット

  • 内部に液晶モニターを内蔵する2眼式メーターは視認性も良好。各種情報をドライバーに提供する。

  • インテリア

    BMW 1シリーズ インテリア

  • インテリア

    モデルチェンジの恩恵をもっとも感じるのが居住空間の改善。後席は足元スペースが先代モデルに比べて明らかに広くなった。また、室内の雰囲気も上質で、プレミアムブランドらしい質感を備えた。

  • BMW 1シリーズ インテリア

  • 上級車種と同様のシフトノブが与えられた8速AT。その右側には運転モード切り替えスイッチが。

  • ラゲッジスペース

    BMW 1シリーズ ラゲッジスペース

  • ラゲッジスペース

    ラゲッジルーム容量は、通常時で360L、後席折りたたみ時には最大で1200Lとなる。

  • BMW 1シリーズ ラゲッジスペース

  • ラゲッジにはフロアに小物を固定するためのネットが付属。内張りカーペット生地で上質感がある。

  • エンジン

    BMW 1シリーズ エンジン

  • エンジン

    1.6Lツインスクロールターボは全域でのパワーと優れた環境性能を両立。120iでもメカは共通。

主要諸元:BMW 116i(8速AT)

全長×全幅×全高4335×1765×1440mm
ホイールベース2690mm
トレッド前/後1520/1555mm
車両重量1400kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1598cc
最高出力136ps/4400~6450rpm
最大トルク22.4kg m/1350~4300rpm
サスペンション前/後ストラット/5リンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後205/55R16

全国メーカー希望小売価格(発表・発売 2011年9月)

116i(8速AT)308万円
116i スポーツ(8速AT)318万円
116i スタイル(8速AT)318万円
120i(8速AT)367万円
120i スポーツ(8速AT)387万円
120i スタイル(8速AT)387万円

Body Color

 ブラック・サファイア ディープ・シー・ブルー グレイシャー・シルバー ミッドナイト・ブルー
 ミネラル・グレー □アルピン・ホワイトIII ブラックII クリムゾン・レッド

BMWの新しい個性化戦略が1シリーズよりスタート

  • BMW 1シリーズ

  • 顧客の求める個性化に対応するため、BMWはこの1シリーズから「デザイン・ライン」という概念を導入。ベーシックモデルに対して、よりキャラクターをはっきりさせた装備とデザインを採用している。スポーティーな内外装の「スポーツ」とカジュアルで現代的なテイストを強めた「スタイル(写真)」を用意。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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