新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2014.11.20
BMW X4 試乗レポート

続々と新しいモデルシリーズを誕生させるBMW。活気みなぎるブランドから、ホットなコンパクトSUVが新たにリリースされた。「X4」は、「X6」の持つ優雅さとスポーツ性を凝縮した、とびきり魅力的な1台だ。
続々と新しいモデルシリーズを誕生させるBMW。活気みなぎるブランドから、ホットなコンパクトSUVが新たにリリースされた。「X4」は、「X6」の持つ優雅さとスポーツ性を凝縮した、とびきり魅力的な1台だ。
デザインでも表現される凝縮感極まるXモデル
X5からはじまったBMWのSUVシリーズも、すでに定番となった。その成功後、すぐにX3を出したのが功を奏したのか、SUVのイメージは思いのほか定着している。X5がリリースされた99年当初は、「背の高いBMW?」という疑問符が付いたが、それも完全にぬぐい去られたといっていい。
それに大きく貢献したのがじつはX6ではないだろうか。BMWらしいとも思えるクーペスタイルのSUV(彼らはそれをスポーツ・アクティビティ・クーペからとった頭文字でSACと呼ぶ)が保守的なBMWファンの考えまでも変えさせた。
そして、ついにそのダウンサイジング版が登場。写真のX4だ。X6はかなりかっこいいモデルであるが、その大きさゆえに触手が伸びなかったひともいただろう。それがお手頃サイズになったのだから、BMWファンならずとも気になるだろう。
具体的には全幅こそ1900mm近くあるものの、全長は4700mmを切っている。横から見るとわかるが、リヤのオーバーハングをかなり切り詰めることで、それを実現した。また、全高もX3より36mm低いこともあり、アイポイントは20mm下がる。その意味では、サルーンからの乗り換えに違和感を覚えることもなさそうだ。
ハードウェアは、もちろんX3がベース。フレームおよびパワートレーンのほとんどを共有する。電子デバイスのセッティングを含め、かなりの部分が同じと考えていい。
ただし、X3が20i/20d/28i/35iといった顔ぶれを揃えるのに対し、X4は28i/35iにとどまる。性格上それほど広いマーケットをあてにしていないからだ。グレードも、Xラインパッケージはなく、スタンダードとMスポーツといった装備の違いとなる。
ということで、前段はこれくらいにしインプレッションに移ろう。
試乗したのは28iMスポーツだ。2L直4DOHCターボは245馬力を発揮する。特徴はトルクで、かつての2Lでは考えられない35.7kgmを、なんと1250回転というかなり低い領域から発生させる。まさに踏みはじめた直後に最大トルクを出すといった感覚だ。

そしてそれと組み合わされるのがおなじみの8速AT。シームレスなシフトアップは折り紙付きといっていい。あまりのシフトショックのなさに「CVTだっけ?」と、カタログを疑いたくなるほどだ。といったパワートレーンだけに、いまさら多くを述べるまでもないと思う。6000回転以上まわる2Lユニットはまるで自然吸気のようだし、シフトのレスポンスはまるでレーシングカーだ。走行モードをダイナミックにしてパドルシフトをガンガン使っていると、背の高いクルマであることを忘れてしまう。コーナリング時のフットワークもそう。リヤのふんばりとステアリングに対する応答性、安定した挙動は、そのまま4シリーズでも走らせているようだ。
それでもネガティブポイントがないわけではない。異様に太いステアリンググリップと、後方視界の悪さは少々気になる。前者はハンドリングの軽快感をスポイルさせている気がしてならない。後者は見た目がかっこいいのだから“よし”としよう。
といった感じのX4。とにかく存在感があってスタイリッシュだ。じつに都会的で、オシャレな雰囲気を漂わす。ライバルとの差別化も十分だろう。ボディカラーはホワイトもいいがBMWのホームページにある訴求色のレッドがいい。かなりオシャレな人に思われそうだ。
文●九島辰也 写真●澤田和久
問い合せ BMWカスタマー・インタラクション・センターTEL:0120-269-437
Detail Check
X6にも通じるSAC的スタイリングを持ったX4。かっこいいのはもちろんではあるが、リヤの視認性はその分やや低い。
コックピット
コックピット
イマドキのBMW然としたインパネまわり。センターコンソールのコントローラーでナビやオーディオ、クルマのセッティングなどができる。走行モードの変更はシフトレバーの右側。本文にも記したが、ステアリンググリップが太いのが少々気になる。
インテリア
インテリア
写真は28iのMスポーツ。ホールド性の高いバケットタイプのシートが装着されるのが特徴だ。リヤシートの居住性も見た目より高く、日本人の平均身長を超えても頭が天井に着くことはない。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
リヤのバルクヘッドのないSUVだけに積もうと思えばけっこういける。開口部が広いのも利点だろう。リヤシートは分割可倒式を採用する。
エクステリア
エクステリア
存在感のあるスタイリングはエンブレムを確認しないとX4であることがわからないほどX6と間違われる。
タイヤ
タイヤ
写真はMスポーツの19インチ。この他に20インチの星型アロイもあるが、スタンダードモデルは19だ。
主要諸元:BMW X4 xDrive28i Mスポーツ(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4680×1990×1625mm |
---|---|
ホイールベース | 2810mm |
トレッド前/後 | 1605/1600mm |
車両重量 | 1870kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1997cc |
最高出力 | 245ps/5000rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1250-4800rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/5リンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 245/45R19・275/40R19 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年8月21日)
X4 xDrive28i(8速AT) | 674万円 |
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X4 xDrive28i Mスポーツ(8速AT) | 705万円 |
X4 xDrive35i(8速AT) | 763万円 |
X4 xDrive35i Mスポーツ(8速AT) | 790万円 |
Body Color
■ブラック・サファイア ■ミネラル・シルバー ■メルボルン・レッド ■ディープ・シー・ブルー ■グレイシャー・シルバー ■ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト □ミネラル・ホワイト ■スパークリング・ブラウン □アルピン・ホワイトIII ■ブラック |
オンもオフもBMWらしい頼もしきxDrive

手頃なサイズ感とスタイリッシュなデザインが魅力のX4だが、頼もしい悪路走破性とBMWらしい素直でスポーティな走りのパフォーマンスの融合は特筆に値する。それを支えるのは、先進のインテリジェント4輪駆動システム「xDrive」。いかなる状況でも走りを楽しめるのはXモデルならではだ。