新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2014.10.16
BMW 4シリーズ グラン クーぺ 試乗レポート

新しく誕生したモデルシリーズ「4シリーズ」。クーペとカブリオレがすでにリリースされているが今回登場するのは、より使い勝手が重視されたとびきりエレガントな注目のモデルだ。
新しく誕生したモデルシリーズ「4シリーズ」。クーペとカブリオレがすでにリリースされているが今回登場するのは、より使い勝手が重視されたとびきりエレガントな注目のモデルだ。
優雅さを極めた4ドアクーペ
BMWのラインアップ再構築が進む。目を離すと「そんなモデルあったっけ?」となりそうな勢いだ。
2シリーズや4シリーズができたのもそうだし、グランツーリスモといったパッケージングのクルマがそれにあたる。そしてこのグランクーペもそう。6シリーズにのみ許されていたそのなだらかなフォルムが、4シリーズに加わった。
そもそも4シリーズは3シリーズクーペとカブリオレを独立させたもの。基本コンポーネントは共有なので、マーケティング上の区別と言える。だが、独立したラインとなったことで自由度は増したのは事実。こうして“6シリーズアニキ”に習っての展開が行われた。
ということで、生まれた4シリーズグランクーペだが、このクルマのキモは、ずばりディメンションにある。なんとこれだけグラマラスなスタイリングでありながら、サイズは2ドアクーペと同じなのだ。
具体的に言うと、グランクーペのスリーサイズは、全長4640×全幅1825×全高1395mm。クーペとの違いは高さだけで、約20mm上まわる。これはルーフの流れるようなフォルムを形成させるためのものだろう。それとリヤシートがあるのだから当然といえば当然だ。ただ、断っておくと、リヤシートのヘッドレストはそれなり。身長180cmのワタクシが座ると、頭が天井に付いてしまう。なので、そこは使い方次第となるだろう。

さらに驚くのはホイールベースの長さ。なんとここもまた2ドアクーペと同じ2810mm。3シリーズや年初にリリースされたカブリオレとも共通だ。これが意味するところは、運動性能に尽きる。たとえ見た目にこれだけのボリューム感があっても、“らしさ”は変わらない。
なので、今回のテストドライブもまんまBMWしていた。走り出してしばらくすると、4つのドアがついていることを忘れさせる。しかも、このクルマはリヤのバルクヘッドがない。トランクリッドはハッチバッグゲートのように開く。その点からもボディ剛性が若干落ちると思われたが、それも皆無だ。もちろん、サーキットにでも持ち込めば、2ドアクーペとの違いを体感するであろうが、一般道を走っては、なかなかその違いを言葉にするのは難しい。
試乗車は3L直6ターボを積んだ435i。あいかわらずの太いトルクでクルマを前へ押しやる。個人的には、ステアリングホイールがやや太すぎる気がするが、そこは兄弟車と変わらない。高速域に入ると、グイッと握り直して効果がわかる。左右に素早く回すときの操作性や操作感はかなりいい。まぁ、握力の弱い方には少々厳しい気もするが、彼らもそこは譲れない部分でもある。
ワインディングでの挙動や足さばきはほとんどクーペと同じ。リヤドアが増えたとて、ボディは堅牢で一体感は強い。「リヤが一瞬遅れて出てくるような……」感じはない。
ところで今回は走行モードを積極的に“スポーツ”にしてみた。このところ、“EC0 PRO”や“コンフォート”ばかりを試していたので気分を変えて。すると、やはりBMWの真骨頂はここだと実感する。スムーズに吹け上がるエンジン、ギリギリまでシフトアップを待ってくれるギヤのマッピングはさすが。このクルマ本来の性格を鑑みられた。
そんな気持ちにさせるのもグランクーペの魅力のひとつ。4つのドアがあってもセダンとは違って、2ドアクーペ寄りのエモーショナルさを強く醸し出す。「やはりBMWの走りは違う」、そう思わせる1台だ。
文●九島辰也 写真●澤田和久
問い合せ BMWカスタマー・インタラクション・センターTEL:0120-269-437
Detail Check
横からの眺めがこのクルマの特徴。Bピラー以降のルーフラインがそれを物語る。逆に前後の造形は兄弟車とほとんど変わらない。
コックピット
コックピット
ダッシュパネルとセンターコンソールに入る斜めのラインが個性的なインテリア。これは6シリーズグランクーペに習ったデザイン。ここがツートーンになることで、印象は兄弟車とかなり変わる気がする。
エンジン
エンジン
エンジンラインアップはセダンなどと同じ。2L直4のパワー違い2種類と3L直6からなる。
インテリア
インテリア
3シリーズセダンと4シリーズの2ドアクーペのちょうど中間といったキャビンのユーティリティ。リヤシートのヘッドクリアランスはやはり見込めないが、リヤシートの使い勝手は2ドアとは格段の違いがある。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
このクルマの隠れた特徴はここ。ハッチバックのように広大なスペースが確保されるから驚く。
エクステリア
エクステリア
クローム仕上げのキドニーグリルはグレードによって、ブラックバー、クロームバーに分けられる。
タイヤ
タイヤ
17インチから19インチまで用意されるホイール。Mスポーツの軽量アロイホイールが人気となる。
主要諸元:BMW 435i グラン クーペ M Sport(8速AT)
全長×全幅×全高 | 4640×1825×1395mm |
---|---|
ホイールベース | 2810mm |
トレッド前/後 | 1550/1600mm |
車両重量 | 1690kg |
エンジン | 直6DOHCターボ |
総排気量 | 2979cc |
最高出力 | 306ps/5800rpm |
最大トルク | 40.8kg m/1200-5000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/5リンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前・後 | 225/40R19・255/35R19 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年月6月21日)
420i グラン クーペ(8速AT) | 516万円 |
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420i グラン クーペ Luxury(8速AT) | 559万円 |
420i グラン クーペ M Sport(8速スポーツAT) | 557万円 |
420i xDrive グラン クーペ(8速AT) | 547万円 |
420i xDrive グラン クーペ Luxury(8速AT) | 590万円 |
420i xDrive グラン クーペ M Sport(8速スポーツAT) | 588万円 |
428i グラン クーペ(8速スポーツAT) | 627万円 |
428i グラン クーペ Luxury(8速スポーツAT) | 670万円 |
428i グラン クーペ M Sport(8速スポーツAT) | 668万円 |
435i グラン クーペ(8速スポーツAT) | 766万円 |
435i グラン クーペ Luxury(8速スポーツAT) | 787万円 |
435i グラン クーペ M Sport(8速スポーツAT) | 803万円 |
Body Color
■ブラック・サファイア ■グレイシャー・シルバー ■カラハリ・ベージュ ■ミッドナイト・ブルー ■メルボルン・レッド ■ミネラル・グレー ※ほか6色。 |
際立つ個性をアピールし早くも魅力抜群のシリーズに

それまで3シリーズであったクーペとカブリオレをセダンから独立させ、新たなシリーズとして誕生したのが「4シリーズ」。ちょうどよいサイズ感に見た目の優美さと高次元のダイナミズムを兼ね備え、早くも熱い注目を浴びるモデルシリーズに成長している。三者三様の魅力が際立つのが4シリーズだ。