新車試乗レポート
更新日:2024.04.20 / 掲載日:2024.04.19

ハイブリッドなのにスポーツカー!? C 63 Sに新世代のAMGを見た

文●工藤貴宏 写真●澤田和久、内藤敬仁

 あの「C63」が4気筒に!

 そんなニュースを聞いて驚いたのは、きっと筆者だけではないでしょう。「C63」といえばメルセデス・ベンツCクラスのAMGモデルに用意される最上の高性能モデルであり、これまでは8気筒がお約束。それが6気筒を飛ばしていきなり4気筒ときたのだから、正直なところ「オマエもかよ」という気持ちになるのも仕方ないところ。二酸化炭素排出量削減(=低燃費化)の要求からくるダウンサイジングの流れは誰にも止められないとはいえ、シリンダーの数が半分になっちゃうなんて。排気量は“わずか2.0L”しかないし。

最高出力は680馬力! F1由来の電気ターボを搭載

C 63 S Eパフォーマンス

 ……と思ったわけですが、最高出力の数字を見て気を取り直しました。スペック表に書かれていた最高出力の数字はなんと680㎰!! 打ち間違いなんかじゃなくて“ろっぴゃくはちじゅう”です。ひと昔前まで日本車の最高出力は“上限280㎰”という暗黙の協定があったけど、スーパーカーでも何でもない超高性能セダンに搭載するパワーユニットの最高出力がその2倍を超えているのだからもう呆れるしかない。さすがC63ですね。

 ポイントはなんといってもモーターを組み合わせていることでしょう。つまりハイブリッドカーであり、エンジン単体の出力は最高476㎰で最大トルクは575Nm。モーターは204㎰で320Nmとなっている。合計で680㎰というわけ。高性能車ながらモーターによるドーピングは、今どきですねぇ。

 それにしても、ターボ付きとはいえ、職人が手組したエンジンとはいえ、いくらなんでも排気量が“たったの2.0L”しかないのに最高出力476㎰は凄すぎませんか? その秘密のひとつがターボチャージャー。なんとモーターを組み合わせた電気ターボとなっているのです。

 電気ターボのメリットは高出力型のターボが苦手とするレスポンスの悪さ(反応の悪さ=ターボラグ)を解消できること。瞬時に反応するモーターでタービンを回すことでその領域でもしっかりとターボを利かせられる特性としつつ、従来の一般的なターボだとレスポンスの悪さを理由に使えなかった超大型タービンを組み合わせてピークパワーを稼いで476㎰を実現できたというわけです。そのあたりは“F1由来のテクノロジー”なのだとか。「F1由来」と聞くだけでなんだかテンション上がりません?

 実はモーターの貢献はそんなエンジンだけではなく、ハイブリッドとしたこともエンジンのパワーアップと関係があるんです。エンジンが苦手とする低回転域は高出力の駆動用モーターのアシストを得ることを前提とすることで、エンジンの特性を「低速域を犠牲にしてでも、高回転でハイパワーを得る」という方向へもっていけた。モーターと組み合わせることありきのエンジンに仕立てたから実現できた、排気量2.0Lしかないのに驚き476㎰というわけ。そういう意味でも、モーターの意味は大きいのです。

これぞ大人のスポーツセダン

C 63 S Eパフォーマンス

 それにしても、この「メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンス」は佇まいがいい。明らかに高性能モデルだとわかるのがいいですね。普通のCクラスのボディに対して片側で40mmも張り出したフェンダーは筆者のような“好き者”にとってはたまりません。いっぽうでトランクリッドもスポーツカーのように大きくて派手なリヤウイングではなく、小さなリヤスポイラーだけに留めたさりげなさがいいじゃないですか。

C 63 S Eパフォーマンス

ドライバーはスポーツカー気分だが、後席は快適な空間

C 63 S Eパフォーマンス

 インテリアは、前席に関してはスポーツカーと見分けがつかない空間。見るからに強靭で身体をしっかりホールドしてくれるシートなど、とてもCクラスとは思えないコーディネートです。いっぽうでリヤシートはそんなスポーツカー風味は影を潜め、快適なサルーンの仕立てそのもの。少なくとも、後席に座る人から「窮屈」とか「快適じゃない」いうクレームがつくことはないでしょう。

ラグジュアリーセダンとスポーツカー、二つの顔を持つクルマ

C 63 S Eパフォーマンス

 そんなメルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスに乗って感じたのは「二つの顔」があること。

 ひとつは「快適なセダン」というキャラクター。走行モードを「コンフォート」にすれば、速さはその片鱗だけを見せつつスーッと滑らかに走る。電子制御サスペンションが装着されているから足回りは柔らかくなり、乗り心地も上々。そして排気音も静かで快適性だって高い。ファミリーカーとして全く問題なく活用できることを約束できます。

 いっぽうで走行モードを「スポーツ+」やさらに性能を引き出せる「レース」にすると、快適なセダンから一気にキャラ変して過激なスポーツカーに。まずは挨拶代わりにモーターを組み合わせた680㎰ならではの暴力的な加速がドライバーを楽しませてくれます(公道で許されるのはほんの一瞬だけですが)。アクセルを踏み込んだ時の前へ押し出される力強い感覚は、まるで空母の上で戦闘機が飛び立つときのカタパルトとかロケットのよう(残念ながら筆者はどちらも実際に体験したことはないけれどイメージということで)。

 「ハイブリッドカーだからつまらない運転」。もしかするとそう思っている人もいるかもしれませんが、このクルマには全く当てはまらず、むしろモーター走行を感じるのはモーターだけで走る「エレクトリック」モード時くらいで、ほかの走行モードではモーターを感じないというのが正直な印象。実際には縁の下の力持ちとしてモーターが働いているのですがそれは体感としてはドライバーに伝わらず、ドライバビリティはハイパワーエンジンそのものなんです。

 エンジン回転素の高まりとともに盛り上がりと炸裂感はさすが。4気筒エンジンでこれは凄い!凄すぎる。それを味わうと、もう8気筒とか4気筒とかなんてどうでもよくなってくる。「えっ、本当に4気筒」なんて一瞬でも思った自分を恥じたい気分です。

 そのうえで、ハンドリングもさすがAMG。C63として史上初めて採用された4WDは後輪駆動をベースとして必要に応じて前輪へトルクを送る仕掛けになっていて、これは言うなればスカイラインGT-Rや日産GT-Rに採用されている「アテーサE-TS」と同じ考え。あくまで後輪駆動のハンドリングを大切にしつつ、駆動力を最大限に伝え、スピンも抑えるシステムです。

 ハンドルを切るとスッとクルマが向きを変えグイグイ曲がっていく感覚も圧巻で、峠道を右へ左へとスイスイ走る感覚は車両重量が2160㎏もあるとはとても思えない軽快感。メルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスは走れば走るほど感動できるクルマです。

 ちなみにメルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスはセダンだけでなく、ワゴンボディも選べる。セダンもいいけれど、実用的なワゴンでこの過激っぷりもかなり魅力ですねぇ。

まとめ

 ハイブリッドなんてエコカーでしょ?

 もしかするとそんな人もいるかもしれません。けれど、それは間違った常識。昨今はこのメルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスのようにパワーのためのハイブリッドカーも存在するのです。

 ちなみにメルセデスAMG C63 S Eパフォーマンスはただのハイブリッドカーではなく、プラグインハイブリッドカー。つまりケーブルをつないで外部からバッテリーを充電できます。でも走れる距離はカタログ値でわずか15㎞ほど(燃費基準のボーナスにはならない)だから、一般的なプラグインハイブリッドのように「日常領域ならエンジンを止めて走れますよ。エコでしょ?」ではなく、加速のエネルギーをチャージするためのプラグインと考えるのが正解なんでしょうね。そんなのアリ? アリなんです。

 「たったの4気筒」なんて言ってゴメンなさい。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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