新車試乗レポート
更新日:2020.04.03 / 掲載日:2014.10.01
メルセデス・ベンツ GLAクラス 試乗レポート

メルセデスから新型SUV、GLAクラスが登場。最近流行のコンパクトなボディを持ち、よりカジュアルに乗れるのが大きな魅力のポイント。しかし、オンオフ問わない走りも侮れない。
オンもオフも成績優秀実力派の新型SUV

メルセデスの期待の新開発コンパクトSUV、GLAクラスがついに日本上陸を果たした。
344万円のスタートプライスが目を引くGLA180や、360馬力の強心臓を積むGLA45AMGも話題をまくが、投入は1.6L直噴ターボを積むFFの「180」が今秋からで、最強版の「45AMG」は2015年の発売。ということで今回は、GLA250・4マチックの試乗レポートをお届けする。
211馬力/35.7kgmを生む2L直噴ターボと、電制カップリングを核とするオンデマンド式4駆メカのコンビは、すでにCLA250・4マチックでもお馴染みのもの。注目すべきは、わずか1200回転でピークに達し、4000回転までその値をキープする3.5Lクラスなみのトルクで、車重約1.6トンのGLA250をどんな場面でも生き生きと走らせてくれる。
Sモードを選択すれば、7速DCTの変速はより素早く、リズミカルになり、エンジンもレスポンシブかつ力強く変身するから、動力性能にプライオリティを置く人も満足するに違いない。日常はEモードのスムーズ&サイレントな走りを味わい、「ここぞ」の場面では、後輪に積極的に駆動力を配分して旋回能力を高めるSまたはMモードを選択。パドルシフトも駆使してスポーティな走りを堪能するのが、GLA250との正しい付き合い方だと言える。
しかも、スポーティな容姿は伊達ではなく、GLAクラスはシャシーもスポーティな味つけ。約10mmローダウンのスポーツサスとダイレクトステアリング、ドリルドディスク付きフロントブレーキを組み合わせた「スポーツ」は、とくに操縦安定性を重視したサス設定を特徴とする。
初期応答のシャープさ、コーナリングの正確性、そして限界の高さは、どれもSUVの水準を抜くもの。峠で冴え渡るフットワークを楽しませてくれる。でも、高速寄りセッティングの足ゆえに、フラットライド感が明確になるのは80km/hほどから。「スポーツ」はスポーティ派を狙い撃ちにしたモデルと言えそうだ。

「日常の快適性も大切」というバランス派にお薦めなのは、やはり標準サス採用のベースグレード。GLAクラスも最新メルセデスの例に漏れずMOエクステンデッド……つまりランフラットタイヤを履くが、ストローク感のいい足はその硬さをオブラートに包み込むように快適な乗り心地を提供してくれる。「スポーツ」ほどではないが、操縦安定性の実力も優秀だから、万能のコンパクトSUVを求める人に向く。
で、「たまには道なき道も」というアクティブ派に注目してほしいのは、オフロードコンフォートサスを採用する「オフロード」。約30mmロードクリアランスを拡大したのがポイントで、「まさか!?」と思うほどの急傾斜やでこぼこが待ち受けるタフな場面でも、アゴや腹を摺らずに切り抜ける高度な走破性を備えている。
車高を機械式駐車場にも対応する低めの設定としたのは、ライバルとは一線を画するスタイリッシュさや、高度な高速安定性やコーナリング性能、そして優秀なエアロダイナミクス(高速走行の燃費や静粛性の改善に有効)を追求したため。でもGLAクラスは、SUV本来の悪路走破性もおろそかにはしていないのだ。
オフロード試乗では、標準サスも侮れない走破性を備えることを確認した。そこで実感したのは「メルセデスG」のDNA。タフな性能を美しいスタイルで包んだGLAクラスは、いまの時代が求めるコンパクトクロスオーバーのひとつの理想型だ。
文●森野恭行写真●内藤敬仁
問い合わせ メルセデス・コールTEL:0120-190-610
Detail Check
ホイールベースはAクラスと共通だが、全長は140mm、全幅は25mm、全高(ルーフレール含む)は70mm大きい設定。Cd値は0.29だ。
コックピット
コックピット
基本デザインはCLAと共通。だが、天井やアイポイントの設定が高めのため、ムードはグッと開放的だ。「スポーツ」はAMGスポーツステアリングやステンレスペダルを標準採用。GLA250はHDDナビも全車標準。
エンジン
エンジン
オフロード走破性は想像を大きく超えるもの。4マチックとDSR(ダウンヒルスピードレギュレーション)の高度な連携に、タフな走りの秘密がある。
インテリア
インテリア
前後シートはヘッドレスト一体型のスポーティなデザイン。大人4人の乗車にも十分対応する居住空間を有する。AクラスやCLAクラスとの明確な違いは頭上高のゆとりで、高めの目線も居心地のよさに直結する。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
2対1分割の可倒機構を採用する。421Lの容量を最大で1235Lにまで拡大可能。開口段差が小さく、床面がほぼ平らなため、使い勝手は優秀なレベルだ。
主要諸元:メルセデス・ベンツ GLA250 4マチック スポーツ(7速AT)
全長×全幅×全高 | 4455×1805×1495mm |
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ホイールベース | 2700mm |
トレッド前/後 | 1555/1545mm |
車両重量 | 1580kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
最高出力 | 211ps/5500rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1200-4000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/マルチリンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 235/50R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売・発表 2014年5月)
GLA180(7速AT) | 344万円 |
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GLA180 スポーツ(7速AT) | 399万円 |
GLA180 オフロード(7速AT) | 399万円 |
GLA250 4マチック(7速AT) | 459万円 |
GLA250 4マチック スポーツ(7速AT) | 499万円 |
GLA250 4マチック オフロード(7速AT) | 499万円 |
GLA45 AMG 4マチック(7速AT) | 730万2000円 |
Body Color
■ジュピターレッド ■ノーザンライツブラック □カルサイトホワイト ■マウンテングレー ■コスモスブラック ■オリエントブラック ■オリエントブラウン ■ポーラーシルバー ■サウスシーブルー |
LOOK AT IT Gクラスを原点に広がるメルセデスのSUVライン

Gクラスを原点として、M、GL、GLKクラスとモデルを拡充したあと、末っ子のGLAクラスを投入。キャラクターの異なる5つのプレミアムSUVを揃えることが、メルセデスの大きな強みだ。5台を並べたシーンは壮観。成り立ちやメカは異なるが、「G」のDNAは全モデルに継承されている。