新車試乗レポート
更新日:2023.10.11 / 掲載日:2023.10.05

新型レヴォーグ レイバック先行試乗! 優秀ツアラーが魅せる次世代スバルの走り

SUBARU 新型レヴォーグ レイバック全魅力

レヴォーグをクロスオーバーSUV風に仕立てた「レヴォーグ レイバック」。一見ではオフロードの強化を狙ったモデルと思ってしまうが、いざ走ってみると、オンロードでの良質な走りにも驚いてしまう。スバルの中でもトップレベルのツアラーに仕立てられていたのだ。正式発表に先立って、9月上旬に佐渡島で開催された先行試乗の模様をリポートしよう。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

この記事の目次

プロトモデル公道試乗

次世代スバルの走りを体現するプレミアムツアラーが誕生

第四のSUVの投入でラインナップを大強化
 これまで、水平対向エンジンを用いた4WDの可能性を示してきたスバル。現在はオンロードを主戦場とするスポーツモデルと、オフロードでも活躍できるSUVを主力車種として展開している。

 中でも最近とくにその存在感高めているSUV系は、クロストレックとフォレスター、そしてフラッグシップのレガシィ アウトバックの3つのモデルを用意している。サイズ的にはコンパクトサイズ、ミドルサイズ、アッパーミドルサイズと理想的な布陣だが、そこに新たに加わるのが、今回取り上げるレヴォーグ レイバック(以下レイバック)だ。

 車名から分かるとおり、レイバックはレヴォーグの発展型として位置付けられる。いわばレヴォーグXVともいえるモデルであり、仕立てる手法もクロストレックと似ている。車体骨格や基本的な外観デザインはレヴォーグを継承しており、ハイリフト化により悪路対応力を強化し、クロスオーバーSUVとして仕立てられている。

 走行性能に関わるハードウェアの変更点で注目すべきはサスペンションだ。最低地上高はミドルクラスのSUVモデルたちの中でもトップレベルの200㎜を実現しているが、走りの質を維持するためにレヴォーグからサスジオメトリーを変更している。このジオメトリー設計はクロストレックと共通のものでサスを移植したと考えてもいいのだが、ダンパーやバネはレイバック専用に開発されている。

レヴォーグの好バランスをしっかりと継承
 パワートレーンの概要を見る限り、動力性能はレヴォーグと同等と考えていいだろう。この1.8ℓターボと新世代CVTはターボらしい高性能と柔軟なドライバビリティを特徴としている。

 アクセルを全閉からいきなり全開させるような走り方では、さすがに過給ラグも感じられるが、トルクの掛かりを確かめるようなパワーコントロールにはとても素直。マニュアル変速で3000回転前後に維持するようにすると、スポーツドライビングにも馴染みのいい力強いパワーフィールを感じることができる。すでにレヴォーグを乗っているユーザーにすれば今更と思うかもしれないが、今風のターボ車らしい太いトルクを用いて悠々と走らせても、高回転までしっかり回して加速感を楽しむような走りでも、違和感なく上手に捌いてくれる。このツーリングとスポーティを心地よくこなせる優等生ぶりは、レイバックにもしっかりと受け継がれている。

穏やかで安定した乗り味はスバルの中でもナンバー1
 一方、レヴォーグとの違いを実感できるのがフットワークだ。リフトアップしつつも外観はレヴォーグらしく仕立てているが、フットワークには乗り心地重視の方向性がはっきりと感じられる。具体的には、スバルSUVに共通している、オンロード性能を強く意識したハンドリング特性が与えられているのだ。

 高速走行時でも安心して身体をあずけることができる、癖のない操縦特性があり、操舵による回頭性は反応は早いものの、挙動そのものは穏やか。入力初期の回頭反応が少し誇張気味になるレヴォーグとは対象的だ。なお、レヴォーグの電制サス仕様車は、今年の春先に電制ダンパーのソフトウェアをアップデートする「e-tune」がオプションで追加されたが、それで選べるドライブモードのコンフォートの特性に近い感じだ。

 もうひとつ見逃せないのが腰高感を感じさせない挙動だ。サスの動きはしっかりと動くタイプだが、リフトアップすることで重心が高くなったことを感じさせない。大きな横Gを受けるコーナリングやS字コーナーの素早い切り返しでも、しっかりと収束してくれる。それでいて外輪を沈み込ませるようなロール感覚があるため、操る手応えも十分。SUVをほとんど意識しない。快適性も配慮された良質なツアラーの走りだ。

 今回は悪路性能を試すことができなかった。また、後項でも述べるがXモードは採用されていない。しかし、採用されたサスや4WDシステムのポテンシャルを考えるなら、フォレスターやクロストレッグに準ずる踏破性能を持っているのは間違いないだろう。

 レヴォーグが持つ高い基本性能をベースに、SUVらしさを注入したモデル。文字面ではコンセプトが分かりにくいが、乗ってみると狙いと違いは一目瞭然。オールシーズン/オールロードで活躍できる、良質なツアラーなのだ。

応答性に優れるハンドリング感覚と乗り心地の良さを両立。上級プレミアムにふさわしい良質な走りを楽しめることが強み。
パワーユニットは、最高出力177PSを発揮するCB18型1.8ℓターボを搭載。低中速域から自然に盛り上がってくる出力特性は、レイバックのキャラにお似合いだ。
●主要諸元 (Limited EX ※プロトタイプモデルの数値) ●全長×全幅×全高(㎜):4770×1820×1570 ●ホイールベース(㎜):2670 トレッド【前/後】(㎜):1560/1570 ●最低地上高(㎜):200 ●車両重量(㎏):1600 ●パワーユニット:1795㏄水平対向4気筒ターボ(177PS/30.6㎏・m)  ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/55R18
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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