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更新日:2021.11.19 / 掲載日:2021.11.19
GMのEV工場「ファクトリーゼロ」が落成 ハマーEVを製造へ

ゼネラルモーターズ(以下GM)は現地時間の11月17日、ミシガン州に完成したEV組立工場「ファクトリーゼロ」の落成式を行った。グランドオープンを祝い、ジョー・バイデンアメリカ合衆国大統領も出席してイベントが行われた。
GMは22億ドルを投じて、EVのトラックやSUVを製造するため既存の工場を全面改修した。同工場では、GMCハマーEV SUVなどの生産が開始される。
GMのビジョンが込められた「ファクトリーゼロ」
GMの会長兼CEOであるメアリー・バーラ氏は、「GMの米国での製造に関する専門知識は、私たちのオール電化の未来を実現するための鍵となります」と述べた。「この日は、GMの全チームにとって記念すべき日です。私たちは、お客様に最高品質の電気自動車をお届けするために、最先端の技術を用いてファクトリーゼロを再構築しました」。
「ファクトリーゼロ」という名称は、「事故ゼロ、排出ガスゼロ、渋滞ゼロの世界」の実現という、GMのビジョンを表して名付けられた。同施設では、2022年モデルのGMCハマーEVピックアップ、2024年モデルのGMCハマーEV SUV、シボレー・シルバラードEVなどが製造される。工場のフル稼働時には、2,200人以上の従業員が雇用される。
GMのEV製品戦略 ウルティウム・プラットフォーム

ファクトリーゼロのすべてのEVは、GMのEV製品戦略の中心である「ウルティウム・プラットフォーム」上で製造される。ウルティウム・プラットフォームには、共通の車両アーキテクチャーと、バッテリーセル、モジュール、ドライブユニット、EVモーターなどが含まれるEV工場の基本。GMは、このプラットフォームを通じて、機械、工具、組立工程の共通化と合理化を図る考え。この取り組みにより、設備投資を抑え、組立工場の効率性を高めることが可能になるという。
EV製造の本格化に向けコスト削減とスピードアップ
GMは、ファクトリーゼロをEV製造用に改修したが、その資金は工場を建設する場合の3分の2で済み、今後のGMの施設改修のモデルとなった。電気自動車への移行を進めるGMは、既存の製造施設を改築することで、2030年までに最大150億ドルのコスト削減をねらう。この金額は、同社の製造施設の100%が電気自動車の生産に移行した場合、200億ドルから300億ドルに上るとみられる。
資金面でのメリットに加え、EV製造のために既存の施設を刷新する時間の節約にもなる。立ち上げと生産開始を早めることで、新しいEVをより早く製造販売することが可能となる。GMC ハマーEVピックアップは、今秋よりファクトリーゼロで先行生産が開始され、最初の車両は年内に納車予定。
GMはすでに、電気自動車および自律走行車に350億ドルを投資しており、2025年までに30以上のEVモデルを導入する予定だという。
持続可能性へ配慮した工場

ファクトリーゼロでは工場の改装中にも環境への配慮が行われ、施設から出たほとんどの材料を再利用またはリサイクルした。たとえば、工場の古い床に使われていた砕石コンクリートは施設周辺の仮設道路に再利用された。
また、雨水を使用することで排水コストを削減し、飲料水のコストを相殺。処理された雨水は、冷却塔や工場の消火システムに使用されるという。敷地内には、30キロワットのソーラーカーポートと516キロワットの地上設置型太陽光発電アレイが設置されている。