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更新日:2021.10.15 / 掲載日:2021.10.15
ブガッティ チェントディエチ 気温45℃の高温テストをクリア

ブガッティは現地時間の10月14日、チェントディエチのプロトタイプを含む車両群を、アメリカ・アリゾナ州の砂漠地帯において3週間にわたる高温テストを実施したと明らかにした。
ブガッティの8台のハイパースポーツカーが砂漠を疾走

エンジニアたちは複数のモデルを、真夏の過酷な気象条件のアメリカで3週間かけてテストを実施した。このうち、ブガッティ チェントディエチは10台が手作りされ、来年から顧客への納車が開始される予定となっている。
寒冷地でのテスト、高速走行、耐久走行に加えて、ブガッティのすべてのモデルにとって最も重要な開発要素のひとつが暑冷地でのテストだ。アメリカでのテストには27人のエンジニアリングチームが参加した。
アメリカの砂漠は気温が50℃を超えることもあり、人間にも機械にも過酷な環境だが、これは同社の開発プロセスには欠かせないものとなる。「暑く乾燥した砂漠でのテストは、開発プロセスにおいて大きな助けとなります。ブガッティのすべてのモデルは、どんなに気温が高くても完璧に機能しなければならず、たとえ10台しか作らないチェントディエチであっても、テストの手順は同じように過酷なものになります」とブガッティの車両開発部門エンジニアであるシュテファン・シュミット氏は説明する。
カリフォルニアを出発した車両は、太平洋沿いのセントラル・パシフィック・ハイウェイを通り、サンディエゴを経由して、アリゾナまでの800キロを走行。チェントディエチに続き、3台のシロン パースポーツ、4台のシロン スーパースポーツと、合計8台のハイパースポーツカーが到着した。白のチェントディエチを除き、車両はマットブラックのフィルムによって車体が保護されている。

標高2,800メートル、気温は45度に達する環境下で時速320kmで走行

アリゾナ州ツーソンの北に位置するレモン山は、約2,800メートルの高度にもなる。車両は悪路を走行し、低速のストップ&スタートを繰り返し、エアコンを全開にして炎天下に放置し、閉鎖された道路環境で時速320kmで走行する。
ブガッティのエンジニアは、各段階で主要システムを何度もチェックする。車両には200個のセンサーが取り付けられており、そのデータは現場のエンジニアやウォルフスブルクの開発チームに送られる。
ブガッティの車両開発総責任者であるピエール・ロンメルファンガーは、「高温環境下でのテストでは、シャシー、エンジン、トランスミッション、熱管理、電気系統に加え、車両全体に焦点を当てています」と明かした。チームによって、内装部品やボディパーツの熱膨張、外観、感触などのチェックが行われる。
チェントディエチの次なる開発フェーズ

1,176kW/1,600PS/7,000rpmを発揮する強力な8.0リッターW16エンジンを搭載したチェントディエチは、オイルクーラーの近くに追加のエアインテークを設け、エンジン温度を調整している。このような多くの特性をもつチェントディエチは、さらに高いレベルのテストを受けた。
ブガッティのテクニカル・プロジェクト・マネージャーであるアンドレ・カリグ氏は、「チェントディエチの新開発のボディワーク、エアフローの変化、そしてガラス製のエンジンベイカバーは、特に45℃以上の極端な暑さの中では、温度の挙動が大きく異なります」と説明する。実際のドライブでは、エンジニアたちは最新の知見を、シミュレーションモデルや過去の高速走行などのテストデータと比較する。
「テストでは、チェントディエチのための既存のセットアップが、猛暑の中でも最適に機能することが証明されました」とアンドレ・カリグ氏は喜びを語った。
給油所でも駐車場でもこの車列は注目を集め、人々が車のまわりに集まり、写真を撮ったり、質問を受けるなどしたという。「このような好意的な反応で、仕事をしている私たちの足取りも軽くなります」とシュミット氏は微笑む。
炎天下でのテストを成功させたブガッティのエンジニアたちは、今度はヨーロッパで最終的な高速走行と3万キロの耐久テストを行うという。これらのテストが完了し、開発チームの承認が得られれば、いよいよフランスのモルスハイムで10台のチェントディエチの生産が開始される。
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