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更新日:2021.06.01 / 掲載日:2021.06.01
ブガッティ、総額2000万ユーロの車両テスト ニュルブルクリンクの最難関コースに挑む
ニュルブルクリンク走行テスト
フランスの高級ブランド、ブガッティが製造するすべてのハイパースポーツカーは、日常的な使用やサーキットでの走行など、どのような条件であっても卓越した品質基準を満たすことが求められる。そのため、ブガッティは、現行モデルや将来の量産モデルを含めて、さまざまなテストコースやサーキットで定期的にテストを行う。ブガッティの開発チームは、年に一度、ニュルブルクリンクの厳しいサーキットに出かける。最近では、4台のモデルと6人のエンジニアが参加した。
それは、チェントディエチ(800万ユーロ)、ディーヴォ(500万ユーロ)、シロン・ピュアスポーツ(300万ユーロ)、シロン・スーパースポーツ300+(350万ユーロ)という、正味の価値が2,000万ユーロ弱にもなる世界で最も高級な車両群だ。
広範なシミュレーションとテストを経て、サーキットでの走行テストドライブへ
ブガッティのシャシーテスト&セットアップ部門の責任者であるラース・フィッシャーは、「お客様のために最高のシャシーセットアップを実現するため、日常的な状況だけでなく、極端な条件下でのテストドライブも行っている」と語る。そしてブガッティは、シロンと、チェントディエチのようなわずか10台の少数生産車とを区別していない。テストドライブ中のエンジニアにとって重要なのは、チェントディエチも同様に、あらゆる状況下で極めて正確に、素早く、完璧に走ることだからだ。
シロンピュアスポーツをノルトシュライフェでテスト
ニュルブルクリンクの北コース、ノルトシュライフェは、世界で最も過酷なサーキットと言われており、特異な地形をしているため理想的なテスト環境となっている。20.832kmの距離に、33の左カーブと40の右カーブ、17%の勾配、300mの標高差が存在する。このサーキットを速いタイムで難なく走り抜ける車両は、完璧にセッティングされているといえる。エンジニアは周回中に車両の全体的な印象を確認し、シロンファミリーのパフォーマンスレンジの中で完璧な差別化を実現できるようにする。テストドライブの後、結果は分析され、実行手順をさらに最適化するために開発チームに伝えられる。
ブガッティのシャシー開発責任者であるヤーチン・シュヴァルベ氏は、「チェントディエチのような少数精鋭のマシンにも、シロンと同じ程度の開発とテストを行っている」と説明する。つまり、テストベンチや試験場での広範なシミュレーションと集中的なテストに続いて、ハンドリング特性と運転挙動をさらに最適化するために、サーキットや道路でのテスト走行が行われるのである。
シロン スーパー スポーツ 300+の場合、開発者は、数週間前に完成したシャシーのシリーズ設定を確認し、検証する。ダイナミクスを追求したロングテールのハイパースポーツカーは、最高速度440km/hを目標に開発された。「シロン・スーパースポーツ300+は、当然ながら、狭いサーキットでも非常に高性能な走りを実現しなければならない」とヤーチン・シュヴァルベは説明する。
開発エンジニアたちは、現行モデルであるディーヴォとシロン・ピュアスポーツのさまざまな特性やハンドリングを、新しいチェントディエチとシロン・スーパースポーツ300+のベンチマークとしている。つまり、ブガッティの幅広い “パフォーマンスのスペクトル “を直接体験し、比較することができるのだ。