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更新日:2021.08.04 / 掲載日:2021.08.04
「アウディ RS 3」ニュルブルクリンクでコンパクトクラスのラップタイムレコード新記録樹立

アウディRS3セダン
アウディは現地時間8月3日、「アウディ RS 3 セダン」が、ニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(北コース)で、コンパクトクラスのラップタイムレコードの新記録を樹立したと発表した。記録は、これまでのタイムを4秒64上回る7分40秒748。ステアリングを握ったのは、レーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク スティップラー。
「すべてがかみ合った」記録達成の日

レーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク スティップラー
「グリーンヘル」(緑の地獄)と呼ばれる過酷なコースでの記録達成には、リヤアクスルのトルクを完全に可変配分できるトルクスプリッターが大きく貢献した。トルクスプリッターは、アウディの量産モデルとしては初めてRS 3に採用されている。
アウディ RS 3テクニカルプロジェクトリーダーのマーヴィン シュウェッターは、レコードタイムが掲示板に表示された時、次のようにコメントした。「チーム全員を大変誇りに思います!誰もがこの日のために、懸命に作業を続けてきました。私たちが開発を始めたとき、このコンパクトスポーツカーが、ニュルブルクリンク北コースで実際にどの程度のタイムを出せるのか、まったく分かりませんでした。しかし、耐久テストの過程で、私たちは素晴らしいタイムを出して、新記録を樹立できると確信しました」
アイフェル山脈に広がるニュルブルクリンク ノルトシュライフェでのタイムアタックは、理想的な気象条件の中、アウディ Sportレーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク スティップラーがステアリングを握って行われた。記録となるラップタイムを計測する前にチームが行った作業は、ピレリ P Zero “Trofeo R”セミスリックタイヤの空気圧を、サーキットコンディションに合わせて調整することだけ。スティップラーは、次のようにコメントしている。「このような記録を出せるチャンスは、 いつでもあるわけではありません。だからこそ、走行前につねにファインチューニングを実施する必要があるのです。特にタイヤ空気圧に関しては、トルクスプリッターの機能にも影響を及ぼします。そして、私たちのアプローチは成功しました。この日は、すべてがうまくいきました」
セグメント最高レベルの加速と最高速度
この記録達成で主役を演じたのが、新型アウディ RS 3に搭載される伝説的な5気筒ターボエンジンだ。この最新世代のコンパクトスポーツカーでは、2.5 TFSIエンジンのトルクがこれまで以上に高められている。RS 3 SportbackおよびRS 3 Sedanの0~100km/h加速は3.8秒。RSダイナミックパッケージとセラミックブレーキを装着すると、最高速度は290km/hに達する。アウディ RS 3は、加速性能および最高速度においてもクラス最高の数値を誇っている。
敏捷性を最大限に高めるトルクスプリッター

アウディRS3 ニュルブルクリンク ノルトシュライフェにて
ニュルブルクリンク ノルトシュライフェで2回実施された8,000kmの耐久テストでは、テスト段階にもかかわらず、スティップラーはこのコンパクトスポーツカーのコーナリング性能を最適化することに成功した。「大まかに言えば、新型アウディ RS 3は、クリッピングポイントからコーナー出口に向かう際の俊敏性が大幅に向上しています。また、コーナー出口における加速も明らかに改善されています。RSトルクスプリッターにより、アジリティは飛躍的に高まりました」とスティップラーはコメントしている。
この新しいテクノロジーは、左右のリヤホイール間で、駆動トルクを完全に可変配分する。各ドライブシャフトはそれぞれ電子制御式のマルチプレートクラッチがあり、スポーティな走行をすると、システムはコーナー外側の後輪のトルクを増加。それにより、左右駆動輪の推進力に差が生まれ、コーナー進入時の挙動が改善されるとともに、ステアリング操舵角に対する追随性がより正確なものとなる。その結果、特に高速でコーナリングする場合に、最適な安定性と最大の敏捷性が両立する。
サーキット走行用に特別に設計されたRSパフォーマンスモード
トルクスプリッターの特性は、アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステムを介して、用途、路面状況、ドライバーの好みに応じて、さまざまなモードに変更が可能なことだ。トルクスプリッターは、新開発されたRSパフォーマンス ドライビングモードと組み合わせることで、アンダー ステアおよびオーバーステアを最小限に抑え、狙った走行ラインに沿った、ダイナミックでスポーティな走りを実現する。これにより、コーナー出口でより早く加速することが可能になり、ラップ タイムも短縮される。RSパフォーマンスモードを選択すると、今回初めて工場出荷時に装着することが可能になったオプションのピレリP Zero “Trofeo R”セミスリックタイヤに合わせて、エンジンやトランスミッションも制御を最適化。それにより、ニュルブルクリンク北コースでラップタイム 記録を出すための理想的なセットアップとなる。
さらに、RSスポーツサスペンションプラスでは、オプションでアダプティブダンパーコントロールも 装着することが可能。このシステムは、路面条件、運転状況、アウディドライブセレクトで選択されたモードに合わせて、各ショックアブソーバーを連続的かつ個別に調整する。RSパフォーマンスモードには、異なる性質のサーキット用に2つのセットアップが用意されている。1つは、ノルトシュライフェのように起伏の激しいサーキットに適したモード。このモードでは、優れたコーナリング性能を維持しながら、アンジュレーションに対するボディの揺れを柔軟に抑え込む。もう1つは、 ホッケンハイムのようにフラットな路面に適した設定。RS用に調整され、ステアリング操舵角に 応じてギア比を変化させるプログレッシブステアリングは、路面からの情報をダイレクトにドライバーに伝達。ステアリングを切るにつれて、ギア比も小さくなり、ステアリングフィールは非常にダイレクトなものになる。