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更新日:2021.07.16 / 掲載日:2021.06.22

【試乗レポート アウディ新型A3】着実な進化を感じたフルモデルチェンジ

アウディ新型A3

アウディ新型A3

文●岡本幸一郎 写真●ユニット・コンパス

 プレミアムブランドとしていちはやくこのクラスに名乗りを上げたのが、アウディA3シリーズ。その第4世代となる最新モデルが日本でも発売された。新たなグレード構成は、標準モデルと「advanced」、「S line」とされ、「S3」も同時に発売された。ただし、A3の上級版である「40 TFSI」モデルのみ秋に発売予定となる。今回は日本で売れ筋になるであろう、A3スポーツバックの30TFSIをレポートする。

内外装デザインが激変

タッチ操作を取り入れたインターフェイスにより室内デザインはシンプルかつ先進的イメージとなった

タッチ操作を取り入れたインターフェイスにより室内デザインはシンプルかつ先進的イメージとなった

 スタイリングについて、近年のアウディの他車種ではモデルチェンジでもう少し変わってもよい気がするケースが多いと感じていたが、よりスポーティでダイナミックになった新型A3は、これまでの面影を残しながらも新しさを巧く表現している。

 ボディサイズはadvancedの場合が従来比で全長は+20mmの4345mm、全幅は+30mmの 1815mm、全高は+20mmの1425mmとなる。車内は運転席のポジションを下げたことでヘッドルームが+20mm となったほか、肩や肘まわりの余裕も微妙に増している。積載容量は380~1200リットルとなる。

 センターコンソールを運転席側に向けたアウディの定番であるコックピットデザインとしたインパネも新感覚のシャープな造形とされており、メーターパネルには10.25インチの液晶ディスプレイに各種情報を表示できるオプションのアウディバーチャルコックピットが、となりにインフォテインメント系の10.1 インチのタッチスクリーン式「MIB3」MMIナビゲーションシステムが搭載される。新型A3ではMMIのコントローラーがなくなったのも新しい。時代は変わってタッチパネルのほうがよいという判断がなされたようだ。また、リリースボタンを廃したコンパクトなシフトスイッチによりシンプルな操作が可能となったのも新しい。

30TFSIに48VのMHEVを搭載

新たに採用されたマイルドハイブリッドにより、日常での走行フィールがより上質になった

新たに採用されたマイルドハイブリッドにより、日常での走行フィールがより上質になった

 30TFSIには日本で販売されるプレミアムコンパクトセグメントで初めてベルト駆動式オルタネータースターター(以下「BAS」)とリチウムイオンバッテリーを用いた48Vのマイルドハイブリッドシステム(以下「MHEV」)を組み合わせた110ps、200Nmの1.0リッター直3ターボエンジンが搭載される。

 BASにより加速時にモーターによるアシストが得られるのだが、本格的に走り出す前にちょっと動かしただけでも、よく働いていることが伝わってくる。出足でスッと軽やかに前に進む感覚は、同じ日に試乗したS3よりも上。そのありがたみは一般道をそれほど高くない車速で走っている間ずっと味わえる。

 エントリーグレードである30TFSIについて、エンジンが1.0リッターで3気筒であること、リアサスがトーションビーム式であることに対して、アウディのクオリティを保つことができているのかどうか気がかりに思っていた。ところが、ドライブするとどちらも杞憂であった。

 エンジンは件のMHEVも手伝って性能的にも不満に感じることはなく、3気筒特有の音や振動が見事に抑え込まれていた。回すと3気筒っぽい音は聞こえても、音質が既存の3気筒搭載車のように安っぽくなく、回しても振動があまり増えない。技術の進化には恐れ入る思いである。なお、正確には計測していないが実燃費も感触としてはそこそこよさそうな印象だった。

乗り心地の快適性も十分

乗り心地と快適性に関しては30TFSIでも十分なレベルに達している

乗り心地と快適性に関しては30TFSIでも十分なレベルに達している

 ビーム式のリアサスも正解を知らずに乗ると気づかないほどだ。電子制御ダンパーの設定はないのでドライブモードは選べないが、箱根界隈で走った限りでは多少は路面の凹凸を拾ってコツコツとした印象はあったものの、危惧していたほど突き上げや微振動が気になることもなく、30TFSIのみの印象としては乗り心地の快適性は十分に確保されていた。

 ハンドリングの仕上がりも上々だ。アウディの美徳であるステアリングレスポンスにはさらに磨きがかかり、より一体感が増して自然なフィーリングになったように感じた。

 また、装備面でも30TFSIでもパワーシートやマトリックスヘッドライトが選べることも、念を押しておきたい。そして、今回の1st Editionには、あとで選べないルーフレールやブルーと白の2トーンのシートが与えられることや、その他カーナビや安全系など多くの人が選ぶであろうオプションも付いて、この価格を実現しているのが魅力。この仕様が好みの人には願ってもないチャンスに違いない。

 S3は別格として、40 TFSIが気になるという人は、もちろんもう少し待って確認してから決めたほうが賢明だろうし、A3に3気筒でよいのかという考えも根強いだろうが、ダウンサイジングが歓迎される世の中において、これがA4になると話は別として、A3にはむしろこういう価値観に共感する人も少なくないように思えたほどであった。

執筆者プロフィール:岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

アウディ A3スポーツバック 30TFSI(7速AT・Sトロニック)

■全長×全幅×全高:4345×1815×1450mm
■ホイールベース:2635mm
■車両重量:1320kg
■エンジン:直3DOHCターボ+モーター
■総排気量:999cc
■エンジン最高出力:110ps/5500rpm
■エンジン最大トルク:20.4kgm/2000-3000rpm
■サスペンション前/後:ストラット/トレーリングアーム
■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前後:205/55R16
■新車価格帯:310万円-483万円(A3スポーツバック全グレード)

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グーネットマガジン編集部

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