輸入車
更新日:2021.04.14 / 掲載日:2021.04.14
【ワールドプレミア シトロエン C5 X】新たなフラッグシップモデルの誕生

シトロエン C5 X
文●大音安弘 写真●シトロエン
シトロエンは、オンラインにて、新たなフラッグシップモデル「シトロエンC5 X」を発表した。
かつてのシトロエンといえば、今やフランチラグジュアリーブランドの名称へと昇格した往年の名車「DS」を始め、「CX」、「XM」、「C6」という個性的な上級サルーンが拘りのオーナーたちを魅了してきた。そのフラッグシップサルーンたちの後継となるのが、この新型車なのだ。その血筋を示すかのように名称には「X」の文字が受け継がれている。
セダン、クーペ、SUVをミックスさせたようなエクステリアデザイン

C5 X エクステリア
そんなC5 Xのスタイリングは、かなりアバンギャルド(前衛的)だ。現在のシトロエンシリーズは、個性を重視したスタイルで人気を博しているが、上級モデルに位置するミッドサイズSUV「C5エアクロスSUV」を含め、ポップさが前面に打ち出されている。しかし、それらとも路線は少々異なる。まだ日本未導入のクロスオーバー「C4」同様に、スペシャルティ路線なのだ。どうもシトロエンのクロスオーバーは、セダン、クーペ、SUVの3要素を組み合わせた特別な存在の様だ。
ボディ形状は、同じワゴンでも、ステーションワゴンよりもスポーティなシューティングブレークと呼びたくなる形状で、それは近代の高級サルーン「シトロエンXM」を彷彿させるものでもある。そのスタイリングでも特徴的なのが、テールゲートで、上下2段式のダブルスポイラー仕様となっている。欧州で求められるGTや高速ツアラーとしての性能を備えることを視覚的にも訴えているのだろう。そのクーペライクなスタイルに、19インチの大径タイヤと最低地上高の拡大によりSUVのエッセンスを加えることで、全く新しいクロスオーバーへと仕立てた。ただC4と異なるのは、同じスポーティでもこちらの方が大人びた表情に仕上げることで、フラッグシップに相応しい品格も感じさせる。
気になるボディサイズは、全長4805mm×全幅1865mm×全高1485mmとDセグメントの中心的なサイズなので、日本のクロスオーバーワゴンだと、レガシィアウトバックにサイズが近い。ただホイールベースは、2785mmとゆとりあるものなので、後席スペースのゆとりもしっかりと確保されていることが伺え、上級モデルらしく後席の快適性にも重きを置いた作り込みが図られたようだ。

C5 X エクステリア
上級志向のインテリア。インフォテインメントシステムも新たなものに

エクステリア同様にシトロエンらしい個性が輝くインテリアも、より上級指向へとシフト。最新モデルラインのユニークデザインとソファのような快適なシートを受け継ぎながら、シックさも大切にする。インフォテインメントシステムも最新式へとアップデートされ、ワイドな12インチサイズのタッチスクリーンを備え、タブレット感覚の操作感と自然言語認識にも対応。より直感的に操作できるシステムへと進化しているようだ。室内の快適性で忘れてならないのが、「魔法の絨毯」と称されるシトロエン伝統の快適な乗り味を受け継いでいること。エンジン車には、「シトロエン・アドバンスト・コンフォート・サスペンション」を採用。さらにプラグインハイブリッド仕様では、制御機能を備えた「シトロエン・アドバンスト・コンフォート・アクティブ・サスペンション」を搭載。これらは、かつてのシトロエンの代名詞でもあった油圧サスペンションの快適さを再現したメカニカルなダンパーである。
C5 X フロントシート
C5 X リアシート
C5 X シート
C5 X インテリアマテリアル
ガソリンエンジン車に加えてプラグインハイブリッド車も用意される

プラグインハイブリッド車も用意される
パワーユニットは、詳細は明かされていないものの、ガソリンエンジン車に加え、プラグインハイブリッド車(PHEV)が用意されるようだ。より環境性能が高いPHEVは、システム出力が225psとパワフル。EVモードでは、50km以上の走行が可能で、しかも最高速度も135km/h以上と高め。これならば日常的な走行を電気だけで賄うこともできる。もちろん、ハイブリットシステムによる高効率な走りも期待できるため、欧州を旅するグランツーリスモとしても魅力的といえそうだ。
欧州では2021年後半発売予定。日本への導入も期待される

ブランドイメージを体現したフラッグシップの導入はブランド価値向上に欠かせない
欧州での発売は、2021年後半の予定。気になる日本への導入は、現時点では未定とされている。ただ新世代デザインとなったシトロエンは、日本でも着実にユーザーを増やしていることに加え、往年のシトロエンファンが好む上級モデルが不在となっている現状では、新たな起爆剤として「C5 X」へ期待する面も大きいだろう。また高級車の存在は、ブランド価値向上のためにも役立つ。それだけに、C5 Xの日本上陸は、割と現実的といえるかもしれない。今はただ新C4シリーズを含め、大人シトロエンとなるクロスオーバーシリーズの導入を楽しみに待つことにしよう。