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更新日:2021.03.16 / 掲載日:2021.03.16

【試乗レポート メルセデス・ベンツ 新型Sクラス】時代が変わっても癒しの走りは不変だった

メルセデス・ベンツ 新型Sクラス

メルセデス・ベンツ 新型Sクラス

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 2020年9月、メルセデス・ベンツ Sクラスのモデルチェンジした姿がお披露目された。7年ぶり(日本での発表は8年ぶり)の変更である。

 ワールドプレミアはオンラインで行われた。昨今のコロナ禍を鑑みての新たな世界基準だ。スタートから驚かされたのは、そのために用意された投資内容。なんと工場から手をつけている。「Factory56」と名付けられたのがそれで、生産効率はこれまでより25%上がることを予想している。目的はまさにそこで、SクラスのみならずSUVまでをも対象にする。内燃機関やプラグインハイブリッド、EVモデルを統合して組み立てるそうだ。彼ららしいスケールの大きな話である。

シンプルかつクリーンなエクステリアデザインは空気抵抗にも優れる

新型Sクラス エクステリア

新型Sクラス エクステリア

 その新型Sクラスだが、今回もこれまでどおりショートホイールベースとロングホイールベースが用意される。どちらも従来型よりサイズアップしており、存在感は増した。ただ特にボディに抑揚がついてグラマラスになったわけではなく、オーセンティックな仕上がりとなる。デザイン的には最近のメルセデスらしく装飾的なラインは排除され、丸みを帯びているのが目に付く。そういえば、新採用のドアハンドルもニュースかも知れない。走行中はピタッとボディに埋め込まれるのでエアロダイナミクスの面でも静粛性の面でも効果を発揮する。当然見た目もスタイリッシュと言うことだ。

新型Sクラス エクステリア

新型Sクラス エクステリア

  • 新型Sクラスのドアハンドルは使用時に自動的に出てくる

    新型Sクラスのドアハンドルは使用時に自動的に出てくる

  • 走行時はドアノブがボディとフラットになり空気抵抗を低減する

    走行時はドアノブがボディとフラットになり空気抵抗を低減する

  • 新型Sクラス タイヤ&ホイール

    新型Sクラス タイヤ&ホイール

インターフェイスを刷新。MBUXも進化した

新型Sクラス インテリア

新型Sクラス インテリア

 新型の特徴はありとあらゆるものが装備されていることだろう。例えば生体認証。個人の好みの設定をそれで呼び起こせられる。しかも、指紋認証だけでなく顔認証もOK。未来的だ。それと音声でコントロールするMBUXはジェスチャーも対応するようになった。さらに、どの座席で発話されたのかも検知し、それぞれの席に関連したコマンドが実行される。ヘッドアップディスプレイもかなり進んだ。ナビの目的地設定に対応して矢印が表示されるのは便利。目線もうまい具合に道路とマッチする。

 リアシートでは後席専用のシートベルト内蔵エアバッグやタブレット型の操作ガジェットが目新しい。エアコン、シート調整、エンタメが操作できるが、個人的にはマッサージパターンがたくさんあることに驚いた。ここも進化か。

  • 12.8インチの有機ELメディアディスプレイを採用

    12.8インチの有機ELメディアディスプレイを採用

  • 新型Sクラス インテリア

    新型Sクラス インテリア

  • リアセンターコンソールには取り外し可能なタブレット型コントローラーを搭載

    リアセンターコンソールには取り外し可能なタブレット型コントローラーを搭載

  • 新型Sクラス フロントシート

    新型Sクラス フロントシート

  • 新型Sクラス リアシート

    新型Sクラス リアシート

5mを超える巨体を感じさせない軽快な走行フィーリング

「S 500 4MATIC」は3L V6ターボエンジンを搭載する

「S 500 4MATIC」は3L V6ターボエンジンを搭載する

 グレードは「S 400 d 4MATIC」と「S 500 4MATIC」のショートとロングがある。すべて4MATICなのでAWD。エンジンは前者が3L直6ディーゼルターボ、後者が3L直6ガソリンターボとISG、48V電気システムを組み合わせている。要するにリチウムイオンバッテリーを搭載するマイルドハイブリッドとなる。

 では、走りの印象に移ろう。試乗車はショートホイールベースの「S 500 4MATIC」だった。プライベートカーとして所有するのであれば選びたいモデルだ。なんたってパワートレーンからしてメルセデスの最新技術がたくさん詰まっている。

 ショートホイールベースと言っても5mを超える全長をしているので見た目の迫力はある。が、走り出すとそれは感じさせず軽快さが前面にでるのが特徴だ。しかも、今回街中でのUターンを試みたがこれが意外なほどスムーズ。と言うのも、後輪操舵システムが逆位相で回転半径を小さくしてくれているからだ。このクルマで5.4m、ロングでも5.5mなのだから驚かされる。これは購入後かなりのメリットとなるであろう。

 スタートからの加速がスムーズなのは当然のこと、アイドリングストップからのリスタートの滑らかさはさすがである。この辺はISGが働いているのだが、このクラスになるとその恩恵は大きい。高級感が一段と増す。乗り心地はドライブモードによって変えられるが、比較的硬く感じられた。デフォルトが“コンフォート”となるのだが、その言葉よりはしっかりした印象。ここはプライベートユースに合わせているのかもしれない。次回はロングホイールベースでその違いを確かめたいところだ。

 今回の試乗は街中スタートの高速道路、箱根のワインディングといろいろなステージを走れたが、どの領域でも快適さは微塵も失われなかった。つねにキャビンはフラットに保たれ、疲れを感じさせない。その中でも得意領域はハイウェイでの高速巡航だろう。車線維持機能が進化したディストロニックは快適そのもの。操作もしやすくかなり頼もしい。ここはメルセデスの最高クラスだけに精神的にも安心だ。

新型Sクラス パワートレイン

新型Sクラス パワートレイン

変わらないメルセデスらしさ

メルセデス・ベンツ 新型Sクラス

メルセデス・ベンツ 新型Sクラス

 と言うのが今回のファーストインプレッション。東京から静岡エリアを寄り道しながら走れたので、感じるものは多かった。そして、メルセデスらしさは不変であることもわかった。それは帰り道の最後の100キロ。撮影を終えた疲れた身体にメルセデスは癒しの走りを与えてくれる。最新技術てんこ盛りのSクラスだが、そこにブレがないのはさすがである。

メルセデス・ベンツ S 500 4MATIC AMGライン、リアコンフォートパッケージ装着車

■全長×全幅×全高:5180×1920×1505mm
■ホイールベース:3105mm
■トレッド前/後:1670/1670mm
■車両重量:2140kg
■エンジン:V6DOHCターボ+モーター
■総排気量:2996cc
■エンジン最高出力:435ps/6100rpm
■エンジン最大トルク:53.0kgm/1800-5800rpm
■モーター最高出力:16kW
■モーター最大トルク:25.5kgm
■サスペンション前/後:4リンク/マルチリンク
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前・後:255/40R20・285/35R20

メルセデス・ベンツ Sクラスのカタログ情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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