輸入車
更新日:2021.02.26 / 掲載日:2021.02.26

【試乗レポート 新型ルノー キャプチャー】ひとクラス上の質感を身に着けた都市型SUV

ルノー 新型キャプチャー

ルノー 新型キャプチャー

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」が、第2世代へと進化した。キャプチャーは、ルーテシアから派生したクロスオーバーモデルで、初代となる従来型は、若い世代をターゲットとしたカジュアルクロスオーバーとして送り出された。ところが、日本では、そのキャラクターとは少し異なり、上品なカラーとレザーシートを組み合わせた仕様が好まれ、ルノーの小さな上級車としての支持を得ていた。それだけに総合的な質の向上に注力した新型は、日本のニーズに合致したキャプチャーに生まれ変わったといえるだろう。

新型キャプチャーがフルモデルチェンジで路線変更した理由

新型キャプチャー スタイリング

新型キャプチャー スタイリング

 なぜ、新型はちょっと良いクルマ路線となったのか。その戦略は、昨年、新型へとシフトしたルーテシア同様、ひとクラス上のクルマからの乗り換えを狙う「Cセグイーター」を狙ったもので、いずれもBセグメントクラスを越えるクルマが目指された。ただ決定的に異なるのが、ボディサイズの概念。ルーテシアが、Bセグらしさを追求すべく、ボディサイズを縮小しながらも、スペース効率を高めることで、ひとクラス上のキャビンやラゲッジスペースの確保を図ったのに対して、キャプチャーは、大胆にもボディサイズを拡大。ルノーによれば、BセグSUVに求められる最適なサイズを追求したという。

 つまり、都市型SUVという価値をより深掘りすることで、既存のBセグの概念を打ち破り、真のCセグイーターが目指されたともいえる。最近、存在感を薄めてしまったCセグハッチには、この手の小型SUVが、厄介なライバルになりつつある。

スタイリングはよりSUVらしく進化

新型キャプチャー スタイリング

新型キャプチャー スタイリング

 そんな新生キャプチャーのスタイリングは、従来型の面影を残しつつも、よりファッショナブルに発展。カジュアル路線の従来型に対して、新型はドレッシーさを重視し、SUVであることも全面に打ち出した。

 そこでSUVらしいスポーティかつアグレッシブな雰囲気を与えつつ、エレガントさも加えている。もちろん、SUVを名乗るからには、頼れる雰囲気も大切。そのメイクアップにひと役買うのが、新ルノーアイコンであるC文字型ランプデザインで、よりワイドでシャープなフロントマスクに仕上げている。サイドビューもよりグラマラスとなったことで、アスリートのような筋肉質さだけでなく、ドレスの放つ優雅さも漂わせる。

 このワイドで伸びやかなスタイリングには、当然サイズアップも貢献した。具体的には、先代比で全長が95mm、全幅が15mm、ホイールベースが35mmも拡大。それでも全長は4230mmなので、取り回し易いサイズは維持している。リアスタイルもC字デザインのテールランプが張り出すように配置されるので、従来の丸目調の穏やかな表情からは劇的に変化し、スポーティな走りを予感させてくれる。

インテリアはシックなイメージでまとめられた

新型キャプチャー インテリア

新型キャプチャー インテリア

 もちろん、インテリアも一新。着せ替えシートのような従来型の遊び心は失われてしまったが、上級車らしいシックなスタイルにまとめられた。

 基本的なデザインは、ルーテシアと共通だが、着座位置が異なるため、シフトレバー位置を最適化すべく、フローティング構造となるセンターコンソールを採用。その電制シフトの下を、新たな小物入れに。上級グレードでは、そこにワイヤレスチャージング機能も備わる。シート形状は、従来型よりもサイドサポートが高まり、座面も15mm拡大。その結果、ホールド性が高まると共に、座面が下半身をしっかりと支えてくれ、座り心地も良くなった。後席は、従来型同様にスライド機構を備え、荷物量に合わせて、ラゲッジスペースを調整可能。SUV風に座面も高くなっているので、後席でも前方視界が良い。またレッグスペースもクラストップレベルを確保し、後席の乗降性や快適性も大きく改善されている。

  • 新型キャプチャー フロントシート

    新型キャプチャー フロントシート

  • 新型キャプチャー リアシート

    新型キャプチャー リアシート

  • 新型キャプチャー ラゲッジルーム

    新型キャプチャー ラゲッジルーム

  • 後席をもっとも前にスライドし、ラゲッジボードを下側に設置した状態

    後席をもっとも前にスライドし、ラゲッジボードを下側に設置した状態

  • 後席を前倒ししてラゲッジルームをもっとも大きくした状態

    後席を前倒ししてラゲッジルームをもっとも大きくした状態

パワートレインは従来モデルより大幅にパワーアップ

新型キャプチャー メカニズム

新型キャプチャー メカニズム

 メカニズムにも触れておくと、基本的には新型ルーテシアを踏襲。プラットフォームには、最新の小型車向け「CMF-B」を採用。パワートレインも、本国のラインアップの中でもパワフルなガソリンエンジンである1.3L直列4気筒ターボを搭載し、7速DCTを組み合わせる。ただルーテシアとはエンジンスペックが異なり、最高出力が+23馬力の154馬力、最大トルクが+30Nmの270Nmまで向上。いうまでもなく従来型の1.2L直列4気筒ターボよりもかなり高性能だ。

街中では小まわりが効き、高速では安定している新型キャプチャーの走り

新型キャプチャー ステアリング

新型キャプチャー ステアリング

 操作系で特徴的となるのが、ステアリング。ボディサイズ拡大によるBセグらしい俊敏さを失わぬように、電動パワーステアリングのギア比が10%ほどルーテシアよりもクイックに設定されており、ステアリングの切り始めの応答性が高い。なので、小まわり性も効く。しかしながら、低速時などのステアリング操作では、やや動きが過敏に感じるシーンも……。慣れるまでは、後輪が内側に入りすぎないように、操舵に注意が必要だろう。

 もちろん、巡行時は、欧州車らしい高い直進安定性を見せる。もちろん、ステアリングからのインフォメーションも良いため、高速時の車線変更なども不安を感じさせないのでご安心を。またパワー自体は向上しているが、アクセルや変速制御は、ルーテシアと比べるとマイルド。パワーが上がった分、スポーティというキャラではなく、実用性の高さを狙ったセッティングのようだ。個人的には、ステアリングのギア比のクイックさと乗り味の硬さが気になった。この点は、BセグSUVらしさともいえるが、もっとSUVらしいおおらかさを与えても良かったと思う。

グレードによる装備差も少なく、標準グレードでも満足感が高い

試乗車は新型キャプチャー インテンス テックパック

試乗車は新型キャプチャー インテンス テックパック

 新型キャプチャーの質の高さは、装備の充実ぶりにも表れる。スマートフォン接続可能なインフォメーションシステムでは、スマホナビアプリが活用可能で、BOSE社と共同開発のサウンドシステムも奢られる。またこれまで弱点であった先進の安全運転支援機能も、ひととおりのものが備わるようになった。グレードによる装備差は限定的で、標準車となる「インテンス」でも十分満足できる内容だ。最上級の「インテンス テックパック」は、レザーシート、ワイヤレスチャージング、車線中央維持支援を行うステアリングアシストなど限定的な差だ。これらが不要ならば、20万円も価格が抑えられる。それだけに299万円のインテンスは、お得感が高い。

洒落た雰囲気と装備の充実度を鑑みれば、輸入車エントリーとしても、キャプチャーは魅力的に映る。ただ先にも述べたが、味わいの面では、質の追求にもう一歩踏み込んでも欲しい。それが実現すれば、よりキャプチャーの魅力が際立つはずだ。

ルノー キャプチャー インテンス テックパック

■全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm
■ホイールベース:2640mm
■トレッド前/後:1555/1540mm
■車両重量:1310kg
■エンジン:直4DOHCターボ
■総排気量:1333cc
■最高出力:154ps/5500rpm
■最大トルク:27.5kgm/1800rpm
■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
■ブレーキ前/後:Vディスク/ドラム
■タイヤ前後:215/55R18

ルノー キャプチャーのカタログ情報はこちら

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