輸入車
更新日:2020.12.09 / 掲載日:2020.12.09

【試乗レポート アウディ A4】外観の変化はフルチェン級。ドイツ車らしい乗り味も好印象

アウディ A4

アウディ A4

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 アウディのミッドサイズモデル「A4」が、2020年10月にビックマイナーチェンジを受けた。第5世代となる現行型は、2015年に欧州にて発表。翌年の2016年より日本導入が開始された。デビューより5年目を迎えたことで、てこ入れが実施されたわけだ。しかし、基本的な構造こそ同じだが、エクステリアは全面刷新。前後のフェイスリフトはもちろんのこと、フェンダーのブリスター化やドアパネルのデザイン変更まで行う徹底ぶり。ビジュアルでは、フルモデルチェンジに近い進化を遂げている。

 少し時間を戻して2016年登場の前期型を振り返ると、新モジュラープラットフォーム「MLB evo」を採用し、大幅な進化を遂げたA4は、まさに驚きの出来栄えであった。恐ろしく静粛性が高く、乗り味もフラットで滑らか。これ以上、何を望むという完璧さであった。その一方で、ドイツ車らしい硬質な味が失われたことに若干の寂しさを覚えたのも事実。もちろん、究極を目指したA4に対して失礼な話なのだが、A4は完璧主義者になっていくのだろうと感じていた。

ビジュアルはフルモデルチェンジに近い

エクステリアはフルモデルチェンジ並に変更された

エクステリアはフルモデルチェンジ並に変更された

 最新型のエクステリアは、先進的なアウディに相応しいデジタルテイストの強いもの。新たなLEDランプに象徴されるシャープな顔つきとなった。サイドビューはフェンダーを拡大し、サイドのキャラクターラインが弱められたことで、逆にすっきり。リヤテールは、LEDランプの幅広化とメッキモールの追加でワイド感が増した。Sラインは、エアロとハニカムメッシュグリルが新しさを強調するが、プレーンなA4は意外とシックにも映る。

インフォテインメントは最新版「MIB3」にアップデート

10.1インチのタッチスクリーンを採用する「MIB3」

10.1インチのタッチスクリーンを採用する「MIB3」

 インテリアは基本的には従来型を踏襲し、要所に磨きが掛けられた。最大の進化は、インフォテインメントシステムだ。最新の「MIB3」にバージョンアップし、ダッシュボードセンターのスクリーンが、10.1インチに拡大。タッチスクリーン化された。もちろん、各部の質感の高さはそのままだ。

  • A4 フロントシート

    A4 フロントシート

  • A4 リヤシート

    A4 リヤシート

  • A4 ラゲッジルーム

    A4 ラゲッジルーム

マイルドハイブリッド化で洗練と環境性能を両立

A4セダン 35 TFSI アドバンス

A4セダン 35 TFSI アドバンス

 試乗車は、量販グレードとなるA4セダン 35 TFSI アドバンス。スタンダードの35 TFSIに、先進の安全運転支援機能をはじめ、バーチャルコクピット、3ゾーンエアコン、流れるウィンカー、電動調整式フロントシートなどを追加した充実仕様となる。

 パワーユニットは、従来型同様の縦置き2.0L直列4気筒DOHCターボだが、性能はダイエット。最高出力が-40馬力となる150馬力、最大トルクが-5.1kgmの27.5kgmとなった。しかし、武器も加わった。それが12Vリチウムイオンバッテリーとベルト駆動式オルタネータースターターを組み合わせたマイルドハイブリッドである。12Vのシステムということから分かるように、エンジン始動性の向上とエネルギー回生が目的で、モーターアシストは行われない。これに7速DCTを組み合わせたFF車となる。

 スペックダウンしたとはいえ、大切なのは走りの印象だ。マイルドハイブリッド化の恩恵はすぐわかる。ベルトドライブのエンジンスターターが、再始動時の不快な振動と音から乗員を開放するからだ。大きく異なるのは足のフィーリングで、従来型と比べ、硬質となった。これはスポーツサスペンションが標準化されたためと思われるが、高いボディ剛性の恩恵もあり、入力をしっかりと受けとめるので不快さはない。むしろ懐かしいドイツ車らしいフィーリングに感じられる。高速道路に連れ出してみたが、パワーダウンどころかむしろ走りの軽快さを強く感じた。これはエンジン性能の変化により常用回転域が広がったことで、エンジンレスポンスが良くなったからだろう。もちろん、燃費対策は万全だ。高速域ではアクセルオフで、エンジンオフのコースティングモードに切り替える。滑走感がないのも好印象だし、再始動時にはベルトドライブスターターの恩恵で瞬時に立ち上がるため、ドライバーにも違和感はない。

質実剛健なベースグレードの魅力が光る

ベーシックなFFモデルであってもドイツ車に期待する走りはしっかり味わえる

ベーシックなFFモデルであってもドイツ車に期待する走りはしっかり味わえる

 新型A4は、アウディらしいテクノロジーが強化された一方、味わいは往年のドイツ車らしさが返り咲いたことが印象的だ。高性能な45 TFSI クワトロも試したが、ドイツ車風味は35 TFSIの方が上。4WDが必須条件でなければ、35 TFSIで十分だ。私なら、シブい色の35 TFSI アドバンスを選びたい。余計な装備は望まない方が、質実剛健だった頃のアウディ色は強まる。そんな味わいが新型A4には隠されていると思う。究極の味を目指した先の答えは、原点回帰だったのかもしれない。

アウディ A4セダン 35 TFSI アドバンス

■全長×全幅×全高:4760×1845×1410mm
■ホイールベース:2825mm
■トレッド前/後:1565/1550mm
■車両重量:1530kg
■エンジン:直4DOHCターボ
■総排気量:1984cc
■最高出力:150ps/3900-6000rpm
■最大トルク:27.5kgm/1350-3900rpm
■サスペンション前後:ウィッシュボーン
■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前後:225/50R17

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