輸入車
更新日:2020.09.04 / 掲載日:2020.09.04
MCLAREN 620R JAPAN DEBUT【グーワールド コラム/トピックス】

文と写真●大音安弘
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年10月号の内容です)
問い合わせ●マクラーレン・オートモーティブ URL:https://cars.mclaren.com/jp-ja
2020年7月31日、英国スーパースポーツブランド「マクラーレン」は、「スポーツシリーズ」の最新作を日本初披露した。「620R」と名付けられた新型車は、同社のレーシングモデル「570S GT4」の公道仕様に当たるもの。シンプルに言い換えれば、公道走行を可能としたレーシングカーなのだ。
620Rは、ボディ構造などの基本を570S GT4と共有しながらも、公道走行を実現するため、エアロパーツやボディ形状を対人衝突保護など安全性を重視したものに変更。その一方で、GT4のレギュレーションから解き放たれたことで、同じ3.8LV8ツインターボエンジンを搭載しながらも、最高出力は620馬力、最大トルク63.2kgmまで向上させた。これは「スポーツシリーズ」に置いても、最強スペックを誇る。
インテリアは、かなりレーシー。GT4譲りのショルダーが大きく張り出した軽量カーボンファイバーシートや6点式レーシングハーネスが備わる。後は、サーキットでフルに性能を引き出すために、タイヤをスリックに変更してあげればよい。その際にも車体のメカニカルな調整は不要というユーザーフレンドリーな仕様なのだ。交通法規から解き放たれた620Rは、0-100km/h加速が2.9秒、最高速度322km/hという、めくるめくハイスピード領域へとドライバーを誘う。
ベース価格は、3750万円と超高価。しかし、既に限定350台は完売だという。本国での正式発表は昨年12月なので、当然ともいえるが、そもそもこの手の限定車は、お披露目前に完売するのが世の常なのだ。一般的に、新型のスーパーカーの登場と共に多くのウェイティングリストが作成されることになる。ただ本当に特別な1台となると、話はもっと複雑になる。
限定車の場合、発売前の段階で顧客に情報が提示され、時にはプロトタイプを用いた極秘の展示会まで開催される。もちろん、その時点でまず完売だ。ただ、より特別な1台となれば、争奪戦も激化する。そこで、同社の限定車の所有や複数台のスーパーカーの所有などの購入条件が示される。お金だけでなく、顧客として一目置かれる存在でなければ、手を伸ばすことさえできないのだ。
620Rの販売条件等は明かされていないが、選ばれしユーザーのもとに届けられるだろう。それがスーパーカーの世界なのである。

「620Rは、お客様に最高のドライビングエンゲージメントを提供する」とマクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本支社代表の正本嘉宏氏。
自らを自動車メーカーではなく、レーシングコンストラクターと位置付けているマクラーレン。620Rは、レースカーからレギュレーションによる制約を振り解いた、まさに究極のドライビング体験マシンといえる。

オーナードライバーが腕を競い合うジェントルマンレースは世界各国で活況。GT4カテゴリーはその登竜門で、570S GT4は全世界で67勝を記録した。