輸入車
更新日:2020.05.05 / 掲載日:2020.05.05
ALPINE A110S TEST DRIVE【グーワールド コラム/インプレッション】

文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年6月号の内容です)
問い合わせ●アルピーヌコール TEL:0800-1238-110 URL:https://www.alpinecars.com/ja/
もっと速く、もっとダイレクトに。それを求めるのはスポーツカーの宿命なのか。アルピーヌA110に追加されたスポーツモデル、A110Sのことだ。
名門アルピーヌにとって復活の狼煙となったA110は、じつは非常にユニークなスポーツカーである。本格スポーツカーとしての素養を備えながらも、あえて性能を極限まで追求せず、あくまでもロードカーとしての快適性を確保しているのだ。一方で、しかるべき場所でスポーツカーらしく走らせると、アマチュアドライバーにも気持ちよく汗をかかせてくれる一流のエンターテイナーでもある。
今回追加となったA110Sはシリーズ初の高性能モデルで、足まわりはノーマル比でおおよそ1.5倍も固められた「Sportシャシー」を採用。タイヤもワイドかつハイグリップなものを装着。さらにエンジンは高回転域を磨き上げて292馬力(+40馬力)に。最大トルクの発生回転も、2000-5000rpmから2000-6420rpmへと幅広くなった。カーボンルーフの採用で重心位置もさらに低められている。オレンジの差し色が施された内外装も、大人の色気を感じる仕上がりで魅力的だ。
試乗の舞台は筑波サーキット。ノーマルモデルも用意され、比較することができた。
大きく違いを感じたのがリアのスタビリティ。ノーマルではリアがむずむずするような状況でも、A110Sではクルマが前へ前へと進むためアクセルを積極的に踏んでいけるし、より高い次元の一体感を感じられる。高回転域まで使ったときのエンジンフィールもこちらが上で、アクセルを踏むことが楽しい。
ロードカーとして絶妙な味わいのA110か、スポーツカーとしての純度を高めたA110Sか。これほど悩ましい選択もそうそうない。

新車価格帯:899万円~939万円(A110Sのみ)

オレンジのステッチを採用したシート(サベルト製で1脚13.1kgと軽量)やマイクロファイバー素材「ダイナミカ」でクオリティアップを施したインテリアはA110Sの見どころ。
A110Sの顔つきにどこか精悍な印象があるのは、ロゴマークがブラックアウトされているから。スポーティかつクールなテイストがこのクルマの持ち味だ。
キャリパーは専用カラーのオレンジで鮮やかな印象。ホイールがボディカラーによりコーディネートされるというのも、フレンチブランドらしいこだわり。

カーボンルーフの採用によって重心が下がり、さらにリアのトレッドが10mm広げられたことによって、コーナリングでの振る舞いは大きく安定感を増した。