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更新日:2019.08.22 / 掲載日:2019.07.22

アストンマーティンがハイパーカー「ヴァルハラ」を公開。映画「007」最新作にも登場予定

アストンマーティンが公開した第3のハイパーカー、ヴァルハラ

文と写真●内田俊一

 アストンマーティンジャパンは、アストンマーティン第3のハイパーカー、ヴァルハラを公開した。500台限定生産で、納車開始は2021年10月以降を予定。価格は1億5000万円ほどとなる。

ヴァルハラはヴァルキリーの影響を受けつつより公道走行向けのクルマとして開発

ヴァルハラのデザインは、ヴァルキリーのエッセンスを注入しながらも、より公道向けとした

 アストンマーティンデザインディレクターのマイルス・ナーンバーガー氏によると、ヴァルハラは、「アストンマーティン ヴァルキリーの影響を強く受けてはいるものの、まったく独自のクルマです」という。そして、「我々はヴァルハラを開発するにあたって、アストンマーティンの血統を正当に受け継ぐための熟考を重ね、同時にヴァルキリーのエッセンスをさらに色濃く抽出することに力を注ぎました。そのデザインは、一部のエリアではそれほど過激なものではないものの、それ以外では革新的なデザインを追求し、いくつかのアイデアやコンセプトをさらに進化させているのです」とコメントする。

アストンマーティン ヴァルキリーは公道走行可能でありながらF1マシンに匹敵するハイパフォーマンスの持ち主としてデザインされた(写真:アストンマーティン)

 また、「ヴァルキリーの開発においては、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズと一緒に作業を行ったことで大きな影響を受けていますので、このクルマにも、すべてのアプローチにその影響が反映されています」と説明する。

ヴァルハラはパフォーマンスと共に乗降性など実用性も重視

ヴァルハラは軽量なカーボン構造を採用

 ヴァルハラはヴァルキリー直系のモデルとして、軽量なカーボンファイバー構造をベースに製作。最高のエアロダイナミクスを実現するために、カーボンファイバー製のボディをまとっているそのボディは、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズによって追及されたアクティブエアロダイナミクスとモーフィングエアロサーフェイスを特徴とし、公道走行可能な車両パッケージとしては驚異的なレベルのダウンフォースを発生する予定だ。

大胆な形状を採用したヴァルハラのリヤディフューザー

 また、ヴァルハラはヴァルキリーよりも公道走行に適しており、デザインと機能を極めて高いレベルで融合。トップクラスのパフォーマンスも重要な要素ではあるものの、効率とパッケージングにも同様に重点を置いた開発を行っている。
 ヴァルキリーとヴァルハラの最大の違いはコックピットの大きさ。その理由は利便性と快適性を向上させるというデザインコンセプトを採用したことによるもので、そのためヴァルハラは前方へ開くLMP1スタイルのドアを備えている。ルーフセクションもドアと一緒に稼働するため、乗り降りは容易だ。

ヴァルハラの最高出力は1000馬力が目標

ヴァルハラはV6ターボエンジンをミッドシップに搭載する

 搭載するパワートレインは、バッテリー駆動式のハイブリッドシステムとV型6気筒ターボエンジンが組み合わされ、1000馬力が最高出力の目標とされている。このパワーはF1からフィードバックされた8速デュアルクラッチトランスミッションを介して路面に伝達される。
 この新しいパワーユニットには、画期的なNexcelシーリングオイルシステムが装着されている。このオイルカートリッジはわずか90秒以内に交換することが可能で、そのオイルは後に精製されて再利用される。このシステムはサーキット専用モデルのアストンマーティンヴァルカンに初めて搭載されたものだ。なおヴァルハラはNexcelシステムを搭載した公道走行可能な世界初のクルマになるという。

ヴァルハラのエアロダイナミクスは、最先端の航空宇宙技術を採用することでダウンフォースと空気抵抗の低減を両立

ヴァルハラには航空宇宙技術「Flex Foil」を採用

 ヴァルハラは次世代航空機のモーフィングテクノロジー(翼全体を滑らかに変形させながら飛行する技術)を応用。「Flex Foil」と名付けたこの技術は、広範囲に及ぶ性能および音響飛行試験を通じてNASAによって検証されており、アストンマーティンは自動車業界でこの最先端の航空宇宙技術を初めて採用するメーカーとなっている。
 システムはエレメント全体の物理的な角度を変えずにヴァルハラのダウンフォースを変化させることを可能にし、ハイパフォーマンス、効率の向上、そして風切音の少ないシームレスなデザインを実現。現代における最先端のアクティブウィングデザインに起因する乱流や、それに伴う空気抵抗の増加も事実上排除されるとのこと。
 車両上部の全体的な形状は、空力的な観点からヴァルキリーとよく似ている。しかし、新しいフロントおよびリヤランプの形状によってヴァルハラ独特のデザインを生み出している。ランプのグラフィックは独自のデザインを採用しているが、その内部は非常に軽量でヴァルキリーの構造を利用。その結果、4つのランプ合計重量はDB11のヘッドランプひとつぶんよりも軽量に仕上がっている。

ヴァルハラのコックピットはドライバーが運転に集中できる環境

ヴァルハラの室内はヴァルキリーよりも空間を広く設計している

 コックピット全体は視覚的な複雑さを排除して、運転に集中できるユニークかつ刺激的でダイナミックな環境を創出。また、大胆で新しいデザインと素材を採用している。これは「APEXエルゴノミクス」と呼ばれ、ドライバーの背中の中心、ステアリングホイール、ペダルを適切に配することで完全に整列。その結果、ドライバーを主体にしたコックピットを生み出すことに成功している。
 ステアリングコラムに取り付けられたディスプレイは、ステアリングホイールのリムによって遮られることのない非常に優れた視認性を提供。インフォテインメントシステムは、最高の効率、操作性、シンプルさと柔軟性を実現するためにユーザーのスマートフォンを利用する「Bring-Your-Own Technology」が採用されている。

  • ドライバーが運転に集中できる「APEXエルゴノミクス」を採用したコックピット

  • ヴァルハラのシートはカーボンを利用したフルバケットタイプ

  • ヴァルハラのスイッチ類

  • ヴァルハラのインテリア

2020年に公開予定の映画「007」最新作にも登場!

「ヴァルハラは究極のハイパフォーマンスロードカーを目指してヴァルキリーよりも公道走行に適した設計になっています」とアストンマーティンジャパンマネージングダイレクターの寺嶋正一氏

 アストンマーティンヴァルハラは、ヴァルキリー、ヴァルキリーAMR Proに次ぐアストンマーティン第3のミッドエンジンハイパーカーとして登場した。アストンマーティンジャパンマネージングダイレクターの寺嶋正一氏はヴァルハラというネーミングについて、「北欧神話において戦士の楽園という意味です。究極のハイパフォーマンスロードカーを目指してヴァルキリーよりも公道走行に適した設計になっています」と説明。
 また、「2020年に公開予定の25作目、007映画にアストンマーティンDB5、V8ヴァンテージとともにこのヴァルハラが起用されることが正式に発表されている。どのような形でこのヴァルハラが映画に登場するかはまだ明らかになっていないが、乞うご期待です」と語った。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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