輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2018.10.26

【試乗レポート・メルセデス・ベンツ CLS】妖艶でゴージャスな大人のラグジュアリーカー

CLS 450 4MATIC Sports

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 三世代目となった新型CLS。“アンチ・メルセデス”、つまりそれまでのメルセデスファンではないひとを取り込もうという初代のコンセプトは大当たりし、今日へとバトンを繋いだ。よって、過去もそうであったように、4ドアクーペとしてのフォルムを継承。伝統的なセダンとは一線を画すシルエットは健在となった。
 もちろん、コンセプトを継承しながらも今回もまた中身は見事に進化させている。アンビエントライトの光り方から最新の安全装備まで抜かりはない。エアコン吹き出し口が七色に光るのには驚いた。

 それはさておき、新型でまず目につくのはフロントマスク。つい先日その姿があらわになった新型Aクラスに通じる新世代メルセデスのひとつの特徴だ。Cクラス、Eクラス、Sクラスとは異なるラインの“顔”となる。その目を三角に吊り上げたような顔はどこかサメ似と思いきや、プレゼンテーションでは「フロントはサメをイメージしたデザインでして……」と語られた。なるほど、ボディカラーがシルバーだと確かに“サメ感”はより強くなる。そしてテールランプはSクラスクーペからの流れを汲んだ横長型。クールな2枚目タイプだ。ヘッドライトとしっかり整合性がとれている。

「CLS 450」はガソリンターボにモーターを追加した電動化モデル

 パワートレーンに話を移そう。エンジンは話題のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)搭載3L直6ターボと2L直4ディーゼルターボが用意される。モデル名は前者が「CLS 450 4MATIC Sports」、後者が「CLS 220d Sports」。「CLS450 4MATIC Sports」は48Vのリチウムイオン電池が積まれる。回生エネルギーを蓄えたりモーターを動かすのに使うやつだ。「メルセデス・AMG CLS 53 4MATIC」は後日発表となったためこの日試乗車はなかった。

「CLS 220d」はディーゼルでありながら思いのほか吹け上がりもよい

CLS 220d Sports

 テストドライブは東京から箱根の往路を「CLS 450 4MATIC Sports」で、復路を「CLS 220d Sports」で走るというもの。一般道から高速道路、ワインディングとじつに幅広くクルマの特性を試すことができる設定だ。そしてそのなかでキラリ光ったのがディーゼルユニット搭載の「CLS 220d Sports」である。一般道ではわかりづらいが、思いのほか吹け上がりはよくスポーティな走りが楽しめる。それはドライブモードを標準のコンフォートにしていてもそうで、9Gトロニックがドライバーの意を汲むようにシフトチェンジ。パドル操作なくしてどの領域からも加速してくれるのが楽しい。これがスムーズにできるのがディーゼルのメリットだが、うまく9Gトロニックがコントロールしているといった印象を受けた。

全体的な力感は十分ながら味付けはジェントルな「CLS 450」

CLS 450 4MATIC Sports

 ではガソリンターボの「CLS 450 4MATIC Sports」はどうか。もちろん、367馬力と51.0kgmという絶対的なスペックはスポーティな走りに対して十分で、ターンパイクの上りをグングン加速する。このあたりの力強さに対する頼もしさに不満はない。モーターのアシストがしっかり働いている証拠だ。が、全体的には少々ジェントルに躾けられている気がしなくもない。“450”とか“ターボ”とか“ISG搭載”とか“48V”というワードからくる走りへの期待に対しては少しおとなしく思えた。
 ただ、よくよく考えるとこれは意図的な味付けかもしれない。つまりCLSのポジションが高級車としてそうさせているのではないかと。1000万円を超えるプライスタグを鑑みれば、ジェントルな走りは自然かもしれない。まぁ、その方が上にAMG53シリーズが控えている意味合いも強くなるってもんだろう。
 なので「CLS 450 4MATIC Sports」の乗り心地はどのドライブモードでも快適。19インチながらロングホイールベースの恩恵もありサルーン感を強く醸し出す。エアサスペンションのセッティングはさすがとしか言いようがない。それでいてアジリティがよくコーナリング速度を高く維持できる。箱根のワインディングではステアリングを左右に切るのが楽しくなった。

先進的で上質な雰囲気を醸し出すインテリア

 インテリアでは、まずコクピットの12.3インチの2つのワイドモニターを並べたダッシュパネルが目に入る。横並びで高さを一定にしているのは、ドライバーに必要な情報を視野に入れるためだ。また、ステアリングにナビの操作スイッチを配置。手を離さずに扱えるようにした。このどちらもがメルセデスらしい工夫である。
 シートは、エクスクルーシブパッケージに高級なナッパレザーを採用し上質な雰囲気を醸し出す。しかもフロントシートにはベンチレーターを仕込み、座面のこもった湿気を吸い出し新たな空気を送り込む機構を持たせる。これでロングドライブでも腿の裏側がじっとりすることはない。

大人が満足できる上質でフットワークのいい高級サルーン

 またトランクはデザイン優先のため開口部は広くないが奥行きがありしっかり使える。これもメルセデス流。トランクスルーが40:20:40の割合で細かく倒せるのも凝ったつくりのひとつだ。
 といったのが今回のファーストインプレッション。2台ともフットワークのいい高級サルーンとして仕上がっている。要するにCLSは大人のクルマってこと。デザインは妖艶かつゴージャス。でもって最新のインターフェイスが装備されるのだから文句のつけようがない。


メルセデス・ベンツ CLS 220 d スポーツ(9速AT)


全長×全幅×全高 5000×1895×1430mm
ホイールベース 2940mm
車両重量 1820kg
エンジン 直4DOHCディーゼルターボ
総排気量 1949cc
最高出力 194ps/3800rpm
最大トルク 40.8kgm/1600-2800rpm
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前・後245/40R19・275/635R19

販売価格 799万円~1038万円(全グレード)





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グーネットマガジン編集部

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