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更新日:2026.07.30 / 掲載日:2026.07.30
メルセデス新世代の幕開けとなる新型CLAのラインアップが完成

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス
メルセデス・ベンツ日本は先般フルモデルチェンジしたCLAの電気自動車、CLA with EQ TechnologyとCLA Shooting Brake with EQ Technologyを発表し、予約の受け付けを開始した。価格は668万円からで、CEV補助金は98万円である。
メルセデスの新たな1歩

CLAは2013年のデビュー以来、「お客様との接点を広げてきた重要なモデルだ」と位置付けを語るのはメルセデス・ベンツ日本社長兼CEOのゲルティンガー・剛氏だ。累計販売台数は6万台を突破し、「まさに日本市場におけるメルセデス・ベンツの成長を牽引したモデルといえる」と紹介。
今回導入するCLA with EQ Technologyは内燃機関のCLA同様、「これからのメルセデス・ベンツの幕開けを担う非常に重要なモデル」といい、「メルセデス・ベンツは自動車を発明してから140年にわたり、技術革新によって自動車の価値を進化させてきた。その革新の積み重ねをいま最も分かりやすい形で示すのが、新型CLAではないか」とコメントした。
プラットフォームはMMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャ)に刷新され、これは内燃機関も対応するものだ。また、パワートレインや足回りも一新された。さらに先般日本で発表された新型Sクラスへの搭載がアナウンスされたMB.OSも採用されている。
最新の電動パワートレイン

新世代の電動パワートレインはリアアクスルに永久磁石同期モーターを搭載。CLA 250+ with EQ TechnologyおよびCLA 250+ Shooting Brake with EQ Technologyには、最高出力200kW、CLA 200 with EQ TechnologyとCLA 200 Shooting Brake with EQ Technologyには最高出力165kWのモーターを搭載する。
さらに、リアアクスルには2速EVトランスミッションを採用。1速は発進時や市街地走行における扱いやすさと力強い加速に寄与し、2速は高速走行時の効率性と快適性を高め、街中でのスムーズな走行と、長距離移動時の効率的な走行を両立するという。
バッテリーは新たに開発された新世代の高電圧リチウムイオンバッテリーを採用。CLA 200 with EQ TechnologyおよびCLA 200 Shooting Brake with EQ Technologyには58kWh、 CLA 250+ with EQ TechnologyおよびCLA 250+ Shooting Brake with EQ Technologyには、85.5kWhのバッテリーを備え、セルにはニッケル・マンガン・コバルト系の化学組成を採用している。また、負極にはグラファイトとシリコンオキサイドを組み合わせ、従来型と比べて重量あたりのエネルギー密度を最大 20%向上させるとともに、体積エネルギー密度680Wh/Lを実現。

さらに、このバッテリーの温度管理のために、メルセデス・ベンツとして初めてマルチソースヒートポンプを採用。これは、「電気駆動システムと、バッテリーから発生する熱、そして外気という3つの熱源を活用し、これらの熱を効率的に利用することで、バッテリーの電力消費を抑える。走るための電力だけでなく、車内を快適に保つためのエネルギーまで無駄なく活用する設計だ」とCLAプロダクトマネージャーの石田京太郎氏は説明する。
これらの結果、CLA 250+ with EQ TechnologyはWLTPモードで771キロの一充電走行距離を実現し、日本におけるメルセデス・ベンツの電気自動車ラインナップでは最長となる。
また新世代プラットフォームMMAの採用により、先代のCLAから車体構造やシャーシ設計も一新。フロントには新開発の新3リンク式アクスルを、リアは中上級モデル由来のマルチリンク式アクスルを採用したコンフォートサスペンションとなる。
因みに現状ではEQ Technology、ガソリンモデルとも2WDのみで、EQ Technologyはリア、ガソリンモデルはフロントが駆動輪となる。
内外装とも大幅変更

デザインも刷新された。新型CLA with EQ Technologyのフロントは、Aシェイプのフロントグリルをベースに142個のLEDによるスターパターンを採用したイルミネーテッド・メルセデス・ベンツ・パターンパネルを装着。
またシームレスドアハンドルを標準装備し、走行中の空力特性を向上させ、電費にも貢献。なお、メルセデス・ベンツらしく安全性も踏まえており、エアバッグなどが展開する事故等の場合は電源がシャットダウンされると同時にドアハンドルがせり出し、電気を使わずにワイヤーケーブルにてドア開閉が可能となっている。
リアはスターマークをモチーフにしたテールライトとライトストリップにより、一目で新世代メルセデスとわかるデザインに仕上げられた。

インテリアは、「日本の禅の庭に着想を得た本質的なものだけを残すというデザイン思想のもと、複雑な造形を削ぎ落とし、象徴的なデジタルエレメントを際立たせたミニマルで精神的な空間へと進化させた」と石田氏。その中心となるのは、これまでEクラスやSクラスのみに装着可能だったダッシュボードの幅いっぱいに広がるMBUXスーパースクリーンで、「センターディスプレイを中心としたシンプルな構成と、ダッシュボード全体をスッキリとさせることで先進的な空間へと進化している」という。同時に「浮遊感のあるドアセンターパネルやセンターコンソールなど、それぞれのエレメントをまるで宙に浮いているかのようにデザインすることで、軽やかさと開放感を演出し、デジタル時代の新世代メルセデスにふさわしい室内空間を実現している」とのこと。
また、大型のパノラミックルーフを標準採用。ガラスには、「UVカット率99.9%の機能に加え、赤外線反射及び高い断熱性能を備えたLowEコーティングを採用。夏場の車内温度上昇を抑え、冬場には室内の熱が逃げることを抑えることで季節を問わず快適な室内環境になる」。

マルチファンクションステアリングスイッチは一新された。音量調整用のローラーやディストロニックなどを操作するロッカースイッチを採用することで、「運転中に手元で行う主要な操作については、触覚的にも分かりやすく安心して操作できる設計となった」と石田氏はいう。
Sクラスと同じくMB.OSを搭載

さて、Sクラスと同様にMB.OSを全面採用。これは。「車載の高性能チップとクラウドをつなぐアーキテクチャにより、インフォテインメント、運転支援、快適性、パワートレインや、充電に関わる機能まで、車両全体を統合的に制御するものだ。これにより新型CLAは購入した時点で完成するクルマではなく、ソフトウェアアップデートによって進化し続けるクルマになる」と石田氏。

さらにマイクロソフトとGoogleのAIを組み合わせたマルチAIエージェント技術を活用したMBUXバーチャルアシスタントにより、クルマとのやり取りもより自然で直感的なものへと進化。またエレクトリックインテリジェンスによるナビゲーションは目的地の設定だけでなく、「現在のバッテリー残量や、ルート上の高低差、気温、さらに充電ステーション情報などを考慮し、必要に応じて充電スポットを含むルートを提案。これにより充電のストレスを感じることなく、安心で快適な旅を楽しめるだろう」。

安全性も大幅に向上

安全性も進化している。衝突時に乗員を守るボディ構造、先進の乗員保護システム、新世代の安全運転支援システム、そして電気自動車における高電圧システムの保護まで、車両全体で安全性能を追求。プレセーフ機能装着車では衝突の危険を察知すると、シートベルトやシートの調整などにより乗員をより保護しやすい状態へ整え、もしもの衝突時には衝撃を吸収するボディ構造、強固な乗員スペース、シートベルトやエアバッグなどの乗員保護システムによって、重大なリスクの低減を図っている。そのエアバッグではセンターエアバッグを採用。側面衝突時に運転席と助手席の間に展開し、前席乗員同士が接触するリスクを低減することで乗員保護をさらに強化している。
同時に安全運転支援システムも大きく進化した。前方の状況を捉えるため、望遠カメラを新たに追加したほか、車両の左右側面に2機のマルチファンクションカメラを追加し、8個のカメラ、5個のレーダー、12個の超音波センサーを備え、レーダーや各種センサーから得られる情報をMB.OSが処理し、車両周辺の認識能力を高め、先進的な運転支援及び駐車支援機能を支えているという。
最後にゲルティンガー・剛氏は、「今後3年間で50以上の新たなモデルを導入していく。新型CLAはその先陣を切り、140年にわたる技術革新とこれからのメルセデス・ベンツを分かりやすく示すモデルだ」と述べた。
MB.OSをはじめ、最新の安全運転支援システムなどほぼ新型Sクラスと同じ機能を満載したCLAなので、そこを踏まえると価格は安く感じてしまう。そして今回のトピックの中で、何よりも興味深いのは同じMMAを使いながら、BEVはリア、ICEはフロントを駆動する点だ。果たして乗り味はどう違うのか、実際に乗るのが楽しみな1台だ。