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更新日:2026.06.12 / 掲載日:2026.06.12
「未来の当たり前」を搭載した新型Sクラスが登場。メルセデス・ベンツ140周年の節目に

文●内田俊一 写真●ユニット・コンパス
メルセデス・ベンツ日本はメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルとなるSクラスの大幅改良を発表し、予約の受け付けを開始した。価格は1598万円からで、納車は9月以降を予定されている。
世界で最も魅力的なクルマを作るため

新型Sクラスについてメルセデス・ベンツ日本社長兼CEOのゲルティンガー剛氏は今回の改良で、「車両全体の50%以上にあたる約2700の部品を新規開発、または再設計。エンジン、サスペンション、デザイン、インテリアなど様々な技術が進化し、いままでにない乗り味を届ける」とコメント。
同時に、「進化は目に見える部分だけではなく、クルマの頭脳、メルセデス・ベンツが自社開発したオペレーティングシステム、MB.OSを搭載」したことを挙げ、独自開発した理由について、「世界で最も魅力的なクルマを作るため」と説明する。
これまでの多くのクルマはシステムやソフトウェアの集合体だったが、MB.OSは、「インフォテイメント、車両制御、安全運転支援、自動運転、さらにはドライビング性能までをひとつの知的なシステムで統合する。クルマがより賢くなり、より安全になり、そしてお客様一人一人に最適な設定ができるのがMB.OS」とした。
当然ソフトウェアの進化だけでなく、「オーナーのデータと信頼を守ることにも強い責任を持っている」と強調。そこで、「自社クラウドとMB.OSによって、重要なデータインフラを自ら管理し、高いセキュリティと透明性を実現した。これをデジタルトラストと呼び、AIやデータ活用が進む時代だからこそ、技術への信頼が不可欠だ。メルセデス・ベンツはその信頼を守りながら、本来のモビリティ社会、CASEを創造していく」といい、「新型Sクラスは単に完成されたクルマではなく、ソフトウェアによって進化していくフラグシップだ。我々はこれからも次の当たり前を作り続ける。その未来を象徴する一台が新型Sクラスだ」と紹介した。
V8ツインターボ搭載のロングと6気筒ディーゼルターボを導入

今回導入されるのは、S450d 4MATICと9月に正式発表予定のS580 4MATIC longだ。S450dには、新型6気筒クリーンディーゼルエンジン(OM 656 Evo)を搭載。将来の排出ガス規制に対応するために開発されたこのエンジンは、より迅速かつ効率的な排気後処理を実現するため、電気加熱式触媒コンバーターを量産車として 初めて採用。さらに、排気ガス再循環(EGR)、冷却システムおよびクランクケース換気システムの堅牢性を向上させることで、耐久性と効率性をさらに高めている。

S 580に搭載されるV型8気筒ガソリンエンジン“M177 Evo”は、 最高出力395kW(537ps)、最大トルク750Nmを発揮(欧州仕様数値)。エンジニアリングの改良とマイルドハイブリッド技術により、最新の排出ガス規制基準と高い静粛性を両立。インジェクションシステムや吸気カムシャフト、最適化された吸排気ポート、新しい点火順序を採用したフラットプレーンクランク、さらにはコンプレッサーホイールとターボチャージャーハウジングの改良によって、より迅速かつ効率的な レスポンスを実現している。特にフラットプレーンクランク採用により、回転質量と内部振動を低減し、エンジンがより自由で軽やかに回転し、レスポンスを高めるとともに、よりダイレクトで洗練されたパワー供給を可能にしているという。
また、全てのエンジンに17 kWのインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター (ISG)が搭載され、エンジンスタート時に乗員が振動やショックを感じさせず、低速域でトルクを補い、減速時のエネルギー回生を可能にしている。

新型Sクラスではインテリジェントダンパー備えた AIRMATIC サスペンションを装備装備。インテリジェントなダンパー調整が有効になると、スピードバンプ直前で電子制御によるダンピングが調整される。
このシステムは、垂直方向の車体移動を引き起こすスピードバンプなどに対応し、積極的なダンピング調整によって快適性を向上させる。このスピードバンプは専用の車両センサーで検出され、メルセデス・ベンツ・インテリジェント クラウドに最大14日間保存。この情報共有により、同じ場所に接近する他の車両がサスペンションを事前に調整もする。
インテリジェントダンパーコントロールは、 メルセデス・ベンツの自社開発で、特許を取得。この減衰調整は他のメルセデス・ベンツ車両からのCar-to-X情報に基づいており、 これらの車両はリアルタイムでメルセデス・ベンツ・インテリジェントクラウドにデータを送信し、他車のセンサーを活用することで、車両自身のレーダーやカメラシステムのカバー範囲を大幅に拡大する(日本仕様は近日搭載予定)。
オプションのE-ACTIVE BODY CONTROLはコーナリング時に車体をカーブの内側へ傾けることで、特に後席乗員の乗り心地を大幅に向上させている。
なお、V型12気筒エンジンを搭載するメルセデスマイバッハSクラスは9月に導入予定だ。

新たな知能を持ったSクラス

新型Sクラスの中心にあるのが専用設計のメルセデス・ベンツオペレーティングシステム、MB.OSだ。
「これはクルマの神経系であり、Sクラスだけでなく将来の全てのメルセデス・ベンツに向けた次世代のデジタル基盤だ」と紹介するのは、Sクラスを含むメルセデス・ベンツの大型車両の総合車両試験を担当するフランク・ヴンドラック氏だ。
MB.OSは、インフォテイメントから運転支援、さらにはドライビングパフォーマンスに至るまで、車両のさまざまな機能を統合し、より高速な処理性能とよりシームレスで統合されたユーザー体験を実現。さらに、メルセデス・ベンツ・インテリジェント・クラウドへの接続により、OTA(Over-The-Air)による無線アップデートを通じて、多数の車両機能に対するソフトウェアアップデートを継続的に提供する。

また標準装備のMBUXスーパースクリーンと最新世代のMBUXが、「AIベースのバーチャルアシスタントを現実した」とヴンドラック氏。MBUXバーチャルアシスタントは自然な会話を理解。「家族に話しかけるように、クルマに話しかけることができる。ChatGPT4.0とMicrosoft Bingによる短期記憶付きの複数ターン会話を可能にし、話題に応じてGoogle GeminiとChatGPTを切り替える知能も備えている」という。
そして、MBUXサラウンドナビゲーションは、Google mapsに基づくルートガイダンスをリアルタイム交通情報と皆様の移動を先読みし、変化する状況にシームレスに適応しながら状況に合った最適なルーティングを提供するとのことだった。
室内の快適性もより向上

さて、今回の新型Sクラスでは快適性も向上。そのひとつがヒーテッドシートベルトだ。最高44度まで温めることができる。
「最初に聞いた時はそれでいいんだろうか、少し熱いのではないかと思ったが、とても快適だ」とヴンドラック氏。同時に「厚手のジャケットを脱ぐことを促すので、ベルトがしっかりと体に密着し、安全性が高まるという利点もある」と説明。空調そのものも見直され、電動フィルターとデジタルベントコントロールによって、空気の流れは乗員一人一人の好みに合わせて最適化される。
当然Sクラスであるから、後席も進化。サイズが拡大された13.1インチディスプレイを2枚、内蔵カメラ、取り外し可能なMBUX、リアリモートコントロール、そしてビデオ会議機能の統合により、「Sクラスはオフィスにも会議室にも、そして安らぎの空間にもなる」という。

そしてこれら全てがMB.OSを通じてシームレスに統合される。その結果として、「後席は単にユーザーニーズに反応するだけではなく、ユーザーの使い方の傾向を学習し、リアルタイムで適応することで、安全性や快適性がより向上する」とした。
能動的な安全性も向上

メルセデス・ベンツのフラッグシップであるからには安全性も重要だ。その安全性とは、「受動的な保護以上のもの。事故が起こる前にそれを防ぐ能動的なインテリジェンスが重要」とヴンドラック氏。それを実現したのがMB.DRIVEだ。
これは、「次世代の先進運転支援システムおよび駐車支援システムを表し、10台のカメラ、5台のレーダーセンサー、12台の超音波センサー、そしてMB.OS上で動作する高性能制御ユニットによって可能となった」。
標準のMB.DRIVEアシストには、ディスタンスアシストディストロニック、レーンチェンジアシスト、そしてステアリングアシストが含まれており、MB.DRIVE PARKING ASSISTは、車両の両側の駐車スペースを早い段階から検知し、パーキングアシストによるスムーズな駐車をサポートする。さらに、MB.DRIVE PARKING ASSIST 360 は、360°カメラシステムによるサラウンドビュー表示に加え、駐車時のホイールのダメージを避けるためのリムプロテクション警告を備えている。
また、最大150mまで対応する後退時に走行経路をたどる機能、リバースマニュアリングファンクション機能も備えている。
オーナーの好みをさらに受け止めて

これまでSクラスでは、マニュファクトゥーアプログラムを以前より展開しているが、今回からさらに細やかなカスタマイズが可能となるパーソナライゼーションプログラム、マニュファクトゥーアメイドトゥメジャーを9つのメルセデス・ベンツ正規販売店で開始する。
このプログラムでは、担当者のコンサルテーションを通じて、色や素材など多彩な選択肢が備わる。過去のメルセデスのメイン車と同じ色を14色含めた100色以上の外装色のほか、インテリアは400色以上のカラーバリエーションに加え、80色のステッチカラーを用意することでクルマ全体で統一感のあるコーディネートが可能だ。
また、ヘッドレストクッション、フロアマットなどに希望する文字やロゴを刺繍することも可能だ。さらに、イルミネーテッドステップカバーのカラーは70色以上から選べ、文字の変更にも対応している。新型Sクラスを皮切りに今後Gクラス、メルセデスAMG、メルセデスマイバッハを中心に拡大していく。
最後にゲルティンガー氏は、「2026年はCLAやGLCの電気自動車など5つ以上の新型モデルを導入予定で、さらに向こう3年間で50以上のモデルを導入し、ライアンアップを一層強化していく」とコメントした。







