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更新日:2025.04.07 / 掲載日:2025.04.07
電動マカンが上陸! ポルシェはやはり話題が尽きない 【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ポルシェ
先日、東京の芝公園にある増上寺でポルシェの発表会が行われました。電動化された新型マカンのお披露目です。ワールドプレミアは昨年1月のシンガポールでした。その部分では日本上陸は少し時間がかかった気がします。日本のEV比率が高くないのは世界的に有名ですからね。優先度からしたらそれほど高くないのかもしれません。
それとワールドプレミアから時間が経ったのにはもうひとつ別の理由も考えられます。それはポルシェの戦略。2025年3月にポルシェ本社が発表したプレスリリースにはこう書いてありました。「E-モビリティへの移行が世界的に長期化している今、ポルシェは今後数年間のうちに内燃機関を持ったプラグインハイブリッド車を増やしていく予定です」というものです。
これは大きな方向転換と言えます。なぜなら、彼らは2030年までにモデルラインナップの80%をフルEVにするとアナウンスしていましたから。新たな声明では、エンジンをつくり続けるということになります。
もちろんこの背景にはマーケットがフル電動モデルを受け入れる速度が遅くなったことがあります。鈍化したというか、何なんでしょうね。ヨーロッパのとある国では補助金がストップしてしまうと、皆さんフルEVの購入をやめてしまいました。けっこうあっさりしています。メーカーはドライブフィーリングまで細かく開発しているのですから、少々残念に思えます。

それはともかく、新型マカンが無事上陸しました。第二世代となったそれは、マカン 4とマカンターボから始まり、そこにマカン、マカン 4Sが追加されています。最高出力はそれぞれ、マカンが360馬力、マカン 4が408馬力、マカン 4Sが516馬力、マカン ターボが639馬力。このサイズのSUVで600馬力オーバーはすごい。駆動方式はマカンのみRWDで他はAWDです。ちなみに、通称はマカンエレクトリック。しばらくはガソリンエンジンと併売されるからそう呼ばれるようです。
特徴はBEV専用プラットフォームのため、空間をうまく利用しているところ。バッテリーを床下に敷き詰める長いホイールベースでレッグスペースは広がり、ラゲッジスペースも拡大されています。ボンネットの下には“フランク”と呼ばれるセカンドラゲッジコンパートメントが用意されるのも恩恵ですね。なんかリアエンジンの911みたいです。収納スペースが増えるのは好都合。これまで以上に実用性が高まり、アウトドアレジャーを含め使い勝手は上がりました。



また、EV専用プラットフォームはボンネットを低くすることができますが、このクルマの場合フロントシートで28mm、リアシートで15mm従来型よりも低くなります。スポーツカーフィーリングを意識したポルシェらしい配慮ですね。スポーティな走りを予感させます。
とはいえ、全体的なプロポーションはこれまで通りで、遠くからでもマカンであることは容易にわかります。カイエンよりも低く構えています。それでもヘッドライトユニットは進化していて、タイカンの流れを汲む4灯のデイタイムランニングライトとその下にあるメインヘッドライトモジュールで構成されます。ポルシェは新しさを表現するのがじつにうまい。光もので新鮮さを表現します。まぁ、911シリーズを筆頭にどのモデルも大きくデザインを変えられませんからね。そういったディテールで勝負です。


増上寺でのイベントは和太鼓の演技と書道のライブパフォーマンスで始まり、その後ポルシェ本社から来た生産ラインの責任者イェルク・ケルナー氏などのトークへと進みました。夜の闇に浮かぶマカンの前でのプレゼンテーションはいい雰囲気。新型マカンがお寺とマッチングするんですから不思議です。この世界観は外国人にハマりそう。もしかして一番酔いしれていたのは、イェルク・ケルナー氏だったかもしれませんね。
そんなポルシェは今後ハイブリッドになった911 GTSを投入するなどまだまだ話題は尽きません。この辺りは個人的にとても気になります。18歳で免許をとってからのカーライフのおよそ半分の年月を911と過ごしてきましたから、電動化の911は気になります。