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更新日:2025.03.05 / 掲載日:2025.03.05
MINI「ジョン・クーパー・ワークス」レーシング魂を受け継ぐ最強モデルの軌跡

新型JOHN COOPER WORKSを解説|伝説を受け継ぐスリリングなMINI![SPORTS MODEL INHERITS RACING SPIRIT]
文●ユニット・コンパス 写真●MINI
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年4号「[ますます進化して満足度大!]新世代MINIの魅力」記事の内容です)
「レーシングスピリットを秘めた最強モデル」と紹介されるJCW。3ドアハッチバックからスタートしたラインアップは、現行モデルではついに全ラインアップにまで拡大。あらゆるボディタイプを網羅する。ここではその歴史について掘り下げて紹介していく。
ふたりの天才によるコラボが生み出した傑作
MINIブランドで異彩を放つのがJCW(ジョン・クーパー・ワークス)。BMWにおけるMのような存在という説明を見ることもあるが、そんな軽い存在ではない。むしろ、MINIというブランドが成立するのに欠かせない重要なピースがJCWなのである。
1959年、ミニ(クラシック・ミニ)の設計者であるアレック・イシゴニスは、友人のジョン・クーパーに、ミニの試作車のテストドライブを依頼する。クーパー氏は天才エンジニアとしてF1でも活躍していた人物で、ミニが備えるポテンシャルを即座に見抜くと、共同でスポーツモデルを作ることを提案した。こうして誕生したのがミニ クーパー(1961年)だ。
公道で競われるラリー競技は、市販車の性能をアピールする場として最適であり、数多くの名車がラリーで名を馳せてきた。そして1964年、第33回モンテカルロ・ラリーでそのときはやってきた。軽くてコンパクトなミニは、狭くてうねるような道が続くモンテカルロに最適だった。V8エンジンを搭載するライバルを抑えたミニ クーパーSが総合優勝を果たしたのだ。この勝利は英国に大きな喜びをもたらし、ミニの人気は加速することになる。
現代のMINIラインアップにおけるクーパーやクーパーSの名前は、こうした歴史から受け継いだ大切なものであることがわかるだろう。
そして20世紀の末、ローバーからミニを手に入れたBMWは、新生MINIのチームにジョン・クーパーを迎え入れる。そこではネーミングに関するライセンスが締結されただけでなく、デザインに関する相談役がオファーされたという。2000年にジョン・クーパーがこの世を去ってからは、息子であるマイク・クーパーが会社とBMWとの関係性を受け継ぎ、JCWモデルの監修などを行っている。
そして2024年、現行型では3ドアハッチバックが「クーパー」と呼ばれるようになった。MINIとクーパーがひとつになった瞬間だ。3ドアハッチバックのMINI、そしてJCWには、ミニからの歴史とDNAが受け継がれているのである。

峠最速を競う伝説的ラリーで3度もの総合優勝

小さくて軽いミニを見たジョン・クーパーは、モータースポーツでの活躍を直感的に確信。1960年に初代ミニ クーパーを誕生させた。
それからわずか4年後、さらなるハイチューンが与えられたクーパーSが、第33回モンテカルロ・ラリーで総合優勝を果たした。アルプスの曲がりくねった峠を舞台にするこのラリーは、場所によって雪や凍結路面が顔を出すことから世界最高難度と言われる。
65年、67年にも総合優勝を果たしたミニは、大きくハイパワーなスポーツカーを打ち破ったことから、偉大な小型車として伝説になった。
機能を追求した迫力のエクステリアデザイン

現行型MINIのミニマリスティックなデザインに機能性を加えたJCWのスタイリング(純正オプション装着車)。モータースポーツで活躍してきたMINIのもうひとつの側面を強調する。
本国ではラインアップが完成!
MINI JOHN COOPER WORKS[3ドア ハッチバック・ガソリン]クラシックミニからの伝統を受け継ぐスポーツモデルのど真ん中

最高出力231馬力を発揮する2L直4ターボエンジンを搭載。強化したサスペンションシステムなどによりサーキット走行をも可能にするハイパフォーマンスを実現している。ホイールは17または18インチを装着。 新車価格:536万円(JCW 全グレード)
MINI JOHN COOPER WORKS(ELECTRIC)[3ドア ハッチバック・電気自動車]電気自動車になってもゴーカートフィーリングは健在

最高出力258馬力(欧州仕様)と「クーパーSE」よりもさらに高いパフォーマンスを発揮するJCWモデル。一時的に追加パワーを発生させるブースト機能を備える。エクステリアもスポーティな仕立てだ。[国内導入予定]
MINI JOHN COOPER WORKS CONVERTIBLE[3ドア ハッチバック・ガソリン]JCWのもうひとつの顔となる爽快でゴージャスなカブリオレ

カブリオレの爽快感にJCWのスパイシーなキャラクターを組み合わせた人気モデル。エンジン最高出力は231馬力。3ドアと同様に強化したサスペンションシステムなど、パフォーマンスへの妥協はなし。 新車価格:585万円(JCW コンバーチブル 全グレード)
MINI JOHN COOPER WORKS ACEMAN(ELECTRIC)[5ドア クロスオーバー・電気自動車]電気自動車としてのパフォーマンスを極めたエースマンの最上位モデル

3ドアと同様の最高出力258馬力(欧州仕様)を発生させるエースマンのJCWバージョン。0-100km/h加速は6.4秒。これは「エースマンSE」の7.1秒から大幅なタイムアップだ。電気ブースト機能も備える。[国内導入予定]
MINI JOHN COOPER WORKS COUNTRYMAN ALL4[5ドア SUV・ガソリン]JCWシリーズ最強のパワートレインを搭載する唯一の4WDモデル

2L直4ターボが発生する最高出力317馬力で四輪を駆動するカントリーマンの最強モデル。専用チューニングが施されたサスペンションは、スポーティな走りと快適性を両立。高級SUV的なキャラクターを併せ持つ。 新車価格:667万円(JCW カントリーマン ALL4)