新車値引き情報
更新日:2019.12.24 / 掲載日:2019.12.24
【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

えっ、前代未聞の生産停止! ホンダの大混乱に思考停止!! どうする、どうなる納車停止!!!
【プロローグ】 愛車・インサイトは10年目に突入したが、まだまだ快調。買い替えは1年後の車検切れが近くなったら考えよう……。
と思っていたら、8月某日、玉突き事故に巻き込まれてしまった。
幸い怪我はなく、クルマのダメージもさほどではなかったが、「修理するなら思い切って買い替えたほうがいいのでは……」との気持ちが沸き起こってきた。
そこで、試しに月刊自家用車のX氏に応募してみたら、なんと採用の知らせが舞い込む。
X「こうなったら買い替えるしかないよね」
嫁「10月から消費税が上がるけれど、あと1か月くらいあるから、まだ間に合うよね」
X「いや、クルマの場合、契約した日じゃなくて、登録した日が課税対象になるそうだ。つまり、いますぐに契約しても納期に時間がかかるクルマは残念ながら10%になっちゃうらしい。もっと早くから商談すればよかったけれど、まさか追突されるとは思ってなかったからなあ……」
嫁「そっか……でも、突発的な事情なんで仕方ないね」
X「今回は経済性を優先して軽自動車にしようと思うんだけど……」
嫁「え~、私も軽自動車に乗っているから、中古でもいいから普通車にしようよ」
X「いやいや、最近の軽自動車をなめたらいかん。へたに中古の普通車を選ぶくらいなら、最先端の軽のほうがずっといいよ」
嫁「へ~、そうなんだ」
X「なんたって、最新の安全装置が付いているからね」
嫁「今回の玉突き事故も自動ブレーキが付いていたら避けられたかもしれないね。でも、新車だと軽自動車でも高いよね」
X「そこはそれ、X氏に選ばれたんだから値引き交渉をしっかりやってお得な値段で買うよ」
本命はデイズ、対抗はN-WGN。どちらもフルチェンしたばかりの新型車なので苦戦しそうだが、当たって砕けろ! 頑張ります!
【交渉1日目】 ときは9月上旬。巷では「消費増税前に買おう!」という駆け込み需要が盛り上がっているが、新車は間に合うかどうか、微妙だ。ともあれ、商談を開始する。
現在は茨城県に住んでいるが、実家は隣の栃木県。そこで、まずは我が故郷に越境作戦を仕掛けてみることにした。
これまで3台を購入している日産A店にアポをとってから乗り込んだ。10年間でセールスマンが4人も変わったため、現在の担当さんとは初対面。オタク系の若い人で、ちょっと頼りない。こちらが「こちらではいままで3台、お世話になっているんです」と切り出し、思い出話をしても、反応はいまひとつ鈍い。
デイズの見積もりには頼みもしない付属品がてんこ盛り状態。しかも値引きは2万7696円。
セ「10月から消費税が10%に上がります。でも、この場で決めていただけるなら8%でいけます」
X「値引きが3万円にもならないんでは買う気にはなりませんよ」
セ「デイズは新型となったばかりなので、値引きはほとんどできないんです。だから消費税8%で買えたら大変お得ですよ」
8%OKということはどうやら在庫車のようだ。それなのに値引きは3万円弱って、いままでの付き合いはなんだったのか……。
【交渉2日目】 仕事帰りに地元・茨城の日産B店を訪問。50歳代の管理職が応対してくれた。
セ「いやぁ~どぉ~も!」
茨城弁のイントネーション、全開! 親しみやすくて好感が持てる。まずはお互いの仕事の話(愚痴?)で盛り上がる。
ところが、松本さんのアドバイスに従って「オプション/付属品なし」、「下取り車なし」、「ローンなしの現金購入」で見積もりを申し出ると、和やかだった雰囲気が一変。セールスさんのにこやかな表情が凍り付いてしまった。
セ「う~ん……その状態だと、値引きが出せません。デイズは新型なので車両本体からの値引きは厳しいんです。ただし、いますぐに契約してくれるなら消費税は8%のままにします」
X「でも、値引きゼロじゃなあ……」
セ「では、特別に2万円引きます。これで決めてください」
X「N-WGNとかも考えているので、もう少し検討させてください」
セ「わかりました。もしも付属品を追加してくれれば、さらに2万円の値引きができますよ」
合計4万円引き……本命のデイズ、想像以上に渋い。
超・強気なデイズに身も凍り付く。アラレちゃんは後出しジャンケン(笑)
【交渉3日目】 例のごとく電話でアポをとってからスズキA店へ。
応対してくれたのは若いセールスレディさん。どことなく、ドクタースランプの主人公、アラレちゃんに似ている。そういえば、ハスラーのCMキャラはアラレちゃんだった。意識してやっているとしたら、素晴らしい!(笑)
ワゴンRスティングレーとハスラーの見積もりを出してもらう。どちらも値引き額の記入はなし。
X「まさか、値引きゼロってことはないでしょ?」
セ「付属品なし、下取りなしだとあまり出せないんです」
X「デイズは新型だけど頑張ってくれそうですよ。ワゴンRとハスラーはモデルが古いんで大幅な値引きを期待してきたんだけど……」
セ「では、ほかをまわって最終条件が出たら、もういちどご来店いただけないでしょうか? 店長に相談して、うちも頑張ります」
これがX氏のレポートによく出てくる後出しジャンケン戦術か。この人、外見はかわいいアラレちゃんでも、中身はひと筋縄ではいかない大人だった(笑)。
スズキを後にして三菱に電話。アポをとろうとすると「いつでもどうぞ」で終了。名前も聞いてくれなかった。不安が過る。
三菱に到着。展示してあるeKクロスを拝見。デザインが昭和のガンダムのようで心躍る(笑)。
しかし、いつまで経っても声をかけてくれない。ショールームを10分くらいウロウロ……。奥の扉から口をもぐもぐさせた女性が一瞬チラッと登場して消えた。お昼休みに訪ねたのが悪かったようだ。
それから待つこと10分、ようやくセールスさんが登場。こちらがeKクロスを見に来たことを伝えると「ご自由にどうぞ!」。またまた放置プレイ(笑)。まったく相手されず、途方にくれる。不安が的中。どうやら三菱には縁がないようだ。ガンダムチックのデザインに一瞬心ときめいたが、それもすっかり冷めてしまった。
【交渉4日目】 ホンダA店へ。前日にN-WGNの試乗予約をとっておいた。応対してくれたのはサッカー界のレジェンド・三浦カズさんに似たイケメンだ。
セ「ほかにはどんなクルマをお考えですか?」
X「デイズやワゴンRとかを検討しています」
セ「ぜひ乗り比べてください! 正直(負けない)自信があります」
試乗車が戻ってくるまで商談を進める。
X「まだ消費税8%でいけますか? デイズはOKでしたよ」
セ「すみません。新型N-WGNは発売以来、売れ行きが好調で、納期は1か月以上かかってしまいます。したがって、消費税は10%になってしまいます」
X「残念ですね」
セ「本来なら値引きはほとんどできないんですが、増税分をカバーさせていただくということで、5万円引きます。ただし、これ以上は無理です」
きっぱりと言われてしまった。
そうこうしているうちに試乗車が……あれ、戻ってこない。三浦カズ氏は焦って、しきりに「すみません」を連発。どうやらタイミングが悪かったようだ。次の商談予約時間が迫ってきたので、残念ながら引き上げる。
スズキB店に到着。元AKBの秋元才加似のセールスレディさんが応対してくれた。
早速、ワゴンRに試乗。走りは元気だが、エンジン音がちょっと気になる。戻って商談開始。
セ「来週末にキャンペーンがあるので、もういちどご来店ください。きっといい条件が出せます。内緒ですが、うちの店長、女性スタッフに弱いんですよ」(笑) 期待しよう。
先日、商談した日産B店とは経営の違う日産C店へ。ここでもセールスレディさんが登場。日テレの水卜麻美アナに似ている。
デイズに試乗。走りは思ったより重く感じるが、乗り心地はいい。内装も好みだ。
例のごとく付属品なしで見積もり依頼すると、消費税は8%にしてくれたが、値引きは3万円。
X「本気で購入を検討しています。思い切って10万円以上の数字が出せませんか?」
セ「デイズは3万円と決まっているんですが……相談してきます」
いったん奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきた。
セ「10万円は厳しいですが、付属品を付けていただければ8万円引きにします。新型ではいままでの最高額になりますよ」
スズキの「秋元才加」さんと比べると日産の「水卜アナ」さんはテンションが低い。売り込みの意欲に温度差を感じながら店を後にした。
次はホンダB店へ。
ようやくN-WGNに試乗できた。ボディデザインはデイズのほうが好みだが、走りはN-WGNのほうがいい。軽自動車ながらトルクフルでスムーズに運転できる。ホンダのセールスさんが「自信あり!」と胸を張ったのも頷ける。
値引き交渉を開始。
X「デイズが本命だったんですが、乗り比べたらN-WGNが急上昇してきました。正直、どちらにするか迷っています」
セ「ありがとうございます! 契約していただけるなら、車両本体から9万円引きます」
あれ? さっきのホンダA店とは違ってノリがいい。発売からまだ2か月も経っていないのに、いきなり9万円引きだ。
セ「ただし、N-WGNは納期にかなり時間がかかります。いますぐ注文をいただいても納車は12月になってしまいます。ご迷惑をおかけして申しわけありません」
なんと3か月待ち! 好調とは聞いていたが、この店はすごい売れ行きのようだ。だから、値引きを緩めているのかもしれない。
クールな「三浦カズ」が豹変! X氏のムチャぶりに右往左往!!
【交渉5日目】 クルマ選びも中盤戦に入る。次回からはいよいよ下取り車を含めて最終的な条件を出してもらうことにする。
下取り車のインサイト(G)は初年度登録1998年、走行距離は約9万km。
試しに複数の買い取り専門店をまわってみると、最高額8万円が付いた。ただし「9月中の引き渡し」が絶対条件となっている。
本日は夜勤明け。自宅に戻ってうとうとしていたら、ディーラーさんから売り込みの電話が立て続けに3本入った。そこで、電話が入った順番に出向くことにする。
まずはスズキB店。例の秋元才加似さんがにこやかに登場。
X「夜勤明けで眠いのにやって来ました。だから、頑張ってね」(オヤジ的な煽りだなあ) 対象はワゴンR。大幅な値引きを期待したが、提示してきた値引きは5万6000円。インサイトの下取り額は……まさかのゼロ査定……完全に期待を裏切られた。和やかだった雰囲気が凍り付く。
そんな空気を察したのか、店長さんが商談の席に現れた。
X「キャンペーンなので思い切った数字が出せると聞いて、やってきました。でも、これではまったく買う気になりません」店長「うちでは下取り車に値が付けられません。インサイトみたいなクルマは買い取り専門店のほうが強いと思います」
結局、値引きの上乗せもなし。
帰り際、半べそをかいた秋元才加似さんが「また来てくださいね!」と言って、キャンペーンのプレゼント(洗剤)をくれた。
次はホンダA店。三浦カズ似のセールスさんが出迎えてくれた。ここでも「夜勤明けで眠たいのにきたよ!」とアピールする。
セ「先日は試乗車が戻ってこなくて失礼しました。今回はすぐにご試乗できます」
せっかくなので試乗。N-WGNの良さを再認識。いまやデイズを押しのけて本命となっている。
お店に戻って商談開始。
X「眠たいから駆け引きなしでいきましょう」(笑)セ「わかりました! Xさんのご希望額をお聞かせください」
あれ? 前回はかなり強気の売り方だったのに、今回は明らかに低姿勢になっている。まさに君子豹変という感じだ。ともあれ、ここはこちらが強気で攻める番だ。
作戦会議で松本さんから「相手が『ご希望額は?』などと聞いてきたらチャンスです。ダメもとで、ムチャぶりしてもかまいません」とアドバイスされていたので、X「値引き15万円、下取り20万円で、お願いします」
セ「え~っ……(絶句)……う~ん……しばらくお待ちください」
カズ氏は「大変だ、大変だ」とつぶやきながら奥へ。しばらくして戻ってきた。中古車相場の一覧表みたいな書類を見せながら「あのインサイトに20万円はあり得ない」ことを説明。さらに「新型N-WGNから15万円引きもあり得ない」とのこと。
そこで、妥協案を提示する。
X「付属品はいっさいなしでしたが、純正ナビ(15万6310円)を付けます。これなら15万円引き、いけるでしょ?」
またもや「大変だ、大変だ」とつぶやきながら奥へ。
再び戻ってきて、セ「上司と相談した結果、車両本体から9万8722円引き、ナビから3万円引きの合計12万8722円引きにします。ご希望の15万円引きにはとどきませんが、その分、下取り額を頑張りました。17万円で下取ります。これで支払い総額は160万円です」
X「……う~ん……」
セ「新型N-WGNとしては破格の数字です。決めてください!」
値引きはともかく、たしかに下取り額は破格だ。ここまで出してくれたらよしとしよう。この後、ホンダB店に行くつもりだったが、カズ氏の心意気に免じて、X「わかりました。契約します」
セ「ありがとうございます!」
X「ところで、納期は1か月以上って言っていましたが、納車まではどのくらいかかりますか?」
セ「しばらくお待ちください」
もしかして、この店も3か月待ちか? となると、下取り額の17万円はどうなるのか? 通勤にクルマを使っているので下取り車を先に引き渡すことはできない。
しばらくして困惑した表情でカズ氏が戻ってきた。
セ「Xさん、すみません。実は、部品供給のトラブルで納車は12月になってしまいます」
X「えっ、部品のトラブル? 聞いてないよ」
セ「こちらもつい最近、知らされたんです。不具合が見つかったんで一時的に生産をストップしているとのことです。もちろん不具合を完全に解消してから生産するんで、Xさんにお届けするクルマは問題ありません」
X「3か月後の納車ってことになると下取り額はどうなりますか」
セ「すみません。ちょっと本部に確認してきます」
またまたカズ氏、奥に。
今回は待てど暮らせど戻ってこない。ここまででトータル2時間が経過している。夜勤明けにはきつい。疲労困憊して「いったん引き上げよう」と思ったら「すみません、すみません」と言いながら、カズ氏が戻ってきた。
セ「3か月後となると、通常は再査定となって下取り額が下がるのですが、今回はこちらの事情なので下取り額の17万円は納車まで保証することになりました」
X「支払い総額160万円は変わらないってことですね」
セ「その通りです。不測の事態で混乱しています。申しわけございません」
なんかホンダは大変なことになっているようだ。この後、ホンダB店へ出向いて、トラブルをネタにしながらさらに上乗せを迫れば、A店より好条件が引き出せたかもしれないが、弱みにつけ込むようなことはしたくない。カズ氏の真摯な態度にも好感が持てたので、にっこり笑って契約した。
【後記】 11月下旬の段階で、ホンダA店から連絡が入り、「生産ストップが長引いたため年内の納車は難しくなりました。年明けになってしまいます。大変申しわけありません」との連絡が入りました。もちろん支払い総額160万円はそのままでOK。下取り車にも乗っていられます。ここまで待ったら新年登録のほうがいいので、ふたつ返事で了解しました(笑)。
購入データ
From茨城県
HONDA N-WGN
カスタムLホンダセンシング
トータル値引き 12.9万円
値引き採点 4
車両本体から9万8722円引き、ナビ(15万6310円)から3万円引きで合計12万8722円引き(値引き率7.1%)。買い取り店で8万円だった下取り車に破格の17万円の値を付けている。