新車値引き情報
更新日:2019.01.26 / 掲載日:2019.01.26

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

25年前……あのときの小学生が参戦! ママからもらったDNAが覚醒!! 部長決裁がキタ~、実質66万円!!!

【プロローグ】 8月の某日、第二子出産直前の夫婦の会話です。
X「家族が増えると、いま乗っているキューブだと手狭だね」
主人「2列シートじゃ使い勝手が悪いんで、そろそろ3列シートのミニバンに買い替えるか。キューブの車検が切れるのが1年後なんで、それまでに決めよう」 
 買い物の帰りにこんな話をしながら走っていると、トヨタA店の店先に並んでいた新古車(録済の新車で法的には中古車となる。)のプリウスαを発見。
「ちょっと見てく?」と軽い気持ちで入店すると、若いイケメンのセールスさんがお出迎え。
主人「家族が増えるので買い替えを考えています。そこに並んでいるプリウスαの新古車なんていいかな?と思って寄ってみました」
セ「新古車は新車とそんなに金額が変わりません。だから新車をお勧めします。ご家族が増えるのであれば、プリウスαよりエスクァイアのほうがいいですよ」
 プリウスαとエスクァイアを見比べると、主人は「値段は高くてもエスクァイアのほうが広くていいね」とのこと。試しにエスクァイアの見積もりを作ってもらう。
X「え~っ! 370万円!」
セ「ここから下取り額と値引き額を差し引くので、実際の支払い額はもっとお安くなりますよ」
X「でもねえ……ともかく、出産後、落ち着いてから考えます」
 安くなるって言っても300万円以下にはならんやろ!
 ちなみに日産A店でセレナの見積もりを出してもらったら値引き/下取りなしの総額は377万円でした。家計からすると、予算的にはシエンタクラスが妥当でしょう。でも、主人の「新車を買うなら長く乗りたい。子供たちの成長を考えると、セレナやエスクァイアクラスのほうがいい」という希望を叶えてあげたいという気持ちもあります。どうしよう?
 無事出産を終えた9月某日、産後の手伝いに来てくれていた私の母(兵庫県在住)にクルマの買い替えの話をしました。
X「ミニバンにしたいねんけど、新車、けっこう高いねんなぁ。これ見てよ、トヨタは370万円、日産は377万円やで。300万くらいやったらいいけど……」
母「あんた、交渉しだいで新車はいくらでも安くなるんやで。車両本体だけやなく、付属品からも値引きさせなあかん。納車費用はカットやで」
X「え~、そんなん言うなら、ママ、交渉してよ」
母「あかん。ママは忙しい。そうそう、ママよりずっと“すごい人”がおるから紹介するわ。ほら、これ見てみ!」
 といって、スマホで月刊自家用車のWebサイトを開いたら、ママのいう“すごい人”が笑顔でガッツポーズをしていました。
 値引きの神様・松本隆一さんって、誰???
母「あんた、小2くらいのときにこの人に会ってるんやで!」
X「ええ~っ、うそぉ」
母「ママがX氏に採用されたんや。家族で写真撮ってもらったん、覚えてないん?」
X「あ、なんとなく覚えてる! インテグラ、買ったときやね」
母「X氏になったら、神様が値引き交渉のやり方、しっかり教えてくれるわ。賞金ももらえるし」
X「ええやん、ええやん! 『あのときの小学生です』って書いたら、採用してくれるかも♪」
 というわけで、応募したら……
 見事に採用♪ ママがX氏になったときは31歳! 奇しくも、いまの私と同年齢です。

【交渉1日目】 まずはトヨタB店へ。とりあえずシエンタをみせてもらいましたが、やはり主人は「3列シートだけど小さすぎる」と却下。
 ヴォクシーに試乗。乗り心地は素晴らしい! 主人も大いに気に入った様子です。
 お店に戻って、見積もりを出してもらう。最初が肝心! 作戦会議で松本さんから教えてもらった通りに伝えます。
X「予算的に厳しいので必要のないものはなるべく削ります。付属品はナビとETC、それにフロアマットだけ付けてください。ボディコーティングとかメンテナンスパックはいりません。クルマは取りに来るので納車費用はカットしてください」
セ「う~ん……わかりました」
 心なしか顔がひきつっているようにみえました(笑)。
 ヴォクシーの値引き条件は車両本体と付属品(約49万円)から36万円。最初から好条件が飛び出しました。なお、キューブは13年落ち(走行距離約12万km)のため、下取り額は5万円。差し引き支払い総額は313万円です。
セ「決めていただけるなら、まだ頑張れますが?」
X「ディーラーまわりを始めたばかりなんです。だから、今日決めるのは難しいです」
セ「他店の条件が出たら、ぜひご相談ください」
X「正直なところ、どれくらいまでいけそうですか?」
セ「う~ん……どれくらいかまでは言えませんが、とにかく頑張りますので、お願いします!」
 お店を出た後、
主人「さっき顔ひきつっとったね~。ああいう露骨な表情をするセールスさんはちょっと嫌やな」
 我が家のクルマ選びは性能や値引き額だけでなく、セールスさんの人柄も重要な要素になります。

本命を選ぶ理由がわからなくなった!? セールスさんの人柄って大事ですよね

【交渉2日目】 朝から気合を入れて動きます。松本さんから「出向く前にアポイントをとってホット客(欄外※3)をアピールしておくと効果的ですよ」とのアドバイスを受けていたので実行しました。
 最初はノアを扱うトヨタC店。アポを取ってあったので、試乗車を用意しておいてくれました。
 主人はこの素早い対応にご満悦。試乗中の雑談から、セールスさんには小学生の息子さんがいらっしゃることがわかる。そのせいか、子供の扱いがとても上手です。この接客には私も大満足。夫婦ともにファンになってしまいました。
セ「後席モニター、どうします?」
X「それって必要? タブレットでよくない?」
主人「いや、子どもたちのためにあったほうがいいね」
セ「ゆったり見られますよ。タブレットのように目に近いこともありません。アニメでも流しておけば、お子さんはおとなしくなります」
X「じゃ、付けましょう」
 メンテナンスパックや納車費用のカットを申し出ても顔をひきつらせることなく、了承してくれました。さらに「不要なものがあれば外すので遠慮なく言ってください」。とても紳士的で親切です。
 ノアの見積もりには値引き26万円と記入されていましたが、
セ「決めていただけるなら40万円引きにします」
 初回なので、これ以上は攻めないで引き上げました。
 スズキ版のランディも商談してみようと思ったのですが、ディーラーに問い合わせると「展示車も試乗車もありません」とのこと。
主人「いくらセレナと基本的に同じといっても、実物が見られないんじゃ買う気にならん。お店も売る気がないんじゃない」。
 ごもっともです。結局、候補から外すことにしました。
 自宅に一番近いホンダへ。例のごとく、必要ない付属品や納車費用のカットを申し出ます。
セ「値引きですが、ステップワゴンは10万円です。フリードはさらに厳しくて5万円です」
X「それって最初の数字ですよね。本格的に話を進めると、もっと違った数字になりますか?」
セ「決めていただけるのであれば、頑張ります」
 フリードを見せてもらったが、やはり小さいのでボツ。ステップワゴンは、荷室も使いやすそうで、いい感じ。ただし、こちらが買う気をみせても、セールスさんはあまり押してきません。盛り上がらないまま商談は終了。主人は「なんか、ここも売る気がないみたいだな」と引き気味です。
 次は日産B店。先日、見積もりを出してもらった日産A店とは別の販売店です。
セ「お子さんがいたらどんなクルマを選ぶかって大事ですよね」
主人「うちは帰省先が遠いから、ゆったり帰れるクルマがいいんです。セレナは有力候補ですよ」
セ「お子さん、二人とも男の子なんですね。もう少し成長したら、お友達同士でクルマを比べたりしますよ? その際、セレナだったらかっこいいですよ! しかも安全性は高いし、選ばない理由が僕にはわかりません」
主人/X「……」
 ちょっとびっくり。“選ばない理由がわからない”って、なにそれ? そんなこと言ったらあなたを選ぶ理由がなくなるかも。
X「選ぶにしても予算が問題です。なるべく安くしたいのでオプションはナビと後席モニター、ETC、フロアマットだけでお願いします。ボディコーティングは外してくださいね。納車費用はカットです」
セ「お客様の場合、オプションが少ないのであまりお値引きができないのですが……」
 と言いつつ、31万円引きを提示してきました。
セ「これとは別に、只今、キャンペーン中なので10万円がキャッシュバックのかたちで上乗せできます」
 キャンペーンの10万円もプラスすると、支払い総額は319万円になります。
X「これって、300万円になりませんか?」
セ「そこまでは無理です。セーフティパックのランクを落とせば、何とかなりますが……」
主人「そこ、大事ですよ。安全装備はランクを落とせないな」
 本日はこれにて終了。
 自宅に戻ると、トヨタC店のセールスさんから「今日はお越しいただきありがとうございました。ノアはとてもご家族に優しいクルマですので、ぜひご検討ください」との電話が入る。やはり、この人、誠実さで攻めてくるな。でも、先ほどにおわせた40万円引きが限界のようです。
 ひと通り回ったところで、松本さんに報告すると「かなりいい条件が出ていますが、まだ攻めることができます。ご主人と意見が分かれていることを強調して『頑張ってくれたら主人を説得できる』といった感じで上乗せを迫るといいでしょう」というアドバイスをもらいました。

駆け引きなしの勝負です! もうドキドキは最高潮……

【交渉3日目】 私一人でトヨタA店へ。
 エスクァイアは主人も私も見た目が一番好み。セールスさんも熱心で感じがいい。ただし、松本さんによれば「トヨタ三兄弟のなかではガードが固く、攻めにくい」とのこと。ノアやヴォクシーほど安くはならないかも?
 あのイケメンさんが満面の笑みで出迎えてくれました。
X「ほかのお店にも行き、いろいろ見てきました。正直、どれにするか、悩んでいます」
セ「ほかというと?」
X「セレナとノア、それにヴォクシーです。デザイン的には夫婦揃ってエスクァイアが一番なんですが主人は安全性の高いセレナも推しています。ともかく、問題は予算ですね」
セ「なるほど。ノアとかヴォクシーの値引きってどれくらいか、教えてもらえますか? 店長に相談するとき判断材料があれば値引きしやすいんです」
X「ヴォクシーは値引きと下取りを引いた支払い総額が313万円になっていて、セールスさんは『まだ頑張ります』って言ってくれています。もしかすると300万円になるのかも? って感じで、いまのところ一歩リードしていますね。日産派の主人も『ヴォクシーの煌はカッコいい。アリだ』って言っています」
セ「313万円ですか……やりますね。エスクァイアはヴォクシーに比べて車体価格が高いので、そこまでお安くできるかどうかわかりません」
X「私はエスクァイアの高級感がありながらもシンプルなデザインっていうのが気に入っています。だから、頑張ってください!」
セ「ありがとうございます。では、少々、お待ちください」
 しばらくして戻ってきました。提示してきたエスクァイアの支払い総額は320万円(付属品約57万円を含む)。逆算すると値引きと下取り額の合計は約50万円。
X「う~ん……320ですか……完全に予算オーバーですね」
セ「あんまり大きな声では言えないんですが、実は来月、うちのお店にXさんが希望しているシルバーのエスクァイアGiが入ってくるんです。新車には違いないのですが、要は在庫車です。これならかなりやれると思います。値引きはけっこう厳しいんですが、下取り車を高取りできると思います。ともかく、週末にもう一度、旦那さんとお越しください」
X「わかりました。主人にちゃんと候補に入れてもらえるように私から推します!」
 自宅に戻って、ネットで下取り車キューブの買い取り相場を調べてみると、5~13万円と差があります。ただし、買い取り専門店に直接問い合わせても反応は鈍く、ほとんどの店が買い取りたくないって感じです(泣)。結局、いくらになるのかは不明。松本さんは「13年落ちのキューブとなると、国内の中古車市場では値が付きにくいと思います。ただし、最近は中古車の海外輸出が盛んに行われているので、もしかすると10万円を超える値が付くかもしれません」とのこと。トヨタA店さんの「高取りできる」に期待します。

【交渉4日目】 私一人で日産A店へ。
 今回は必要のない付属品や諸費用をしっかり削って見積もりを出してもらいました。提示してきた条件は車両本体と付属品(約51万円)から30万円引きで、支払い総額は321万円です。
X「もっと値引きってできるんですか? ヴォクシーやノア、エスクァイアと迷っているんです」
セ「本部に掛け合ってみないとわかりませんが……ちなみに、Xさんのご希望はおいくらですか?」
X「300万とか……」
セ「厳しいですね。でも、310ならいけるかもしれません」
X「うちのキューブっていくらになりますか?」
セ「頑張って5万円ですね」
X「同じ日産車なのに、もっと高くならないんですか?」
セ「お客様のキューブは年数が経っていますので……」
 条件は日産B店と同レベルです。日産のセールスさんはどちらもノリがあまりよくありません。

【交渉5日目】 主人と相談した結果、セールスさんとの相性も考慮して狙いをノアとエスクァイアにしぼることにしました。
 まずはトヨタC店でノアの最終条件を出してもらいます。やはり値引きは「40万円が限界」とのこと。キューブの下取りは5万円で、目標の300万円には届きません。
 続いてトヨタA店へ。
X「エスクァイアは最終候補に残りました。問題は支払い条件です」
セ「お子様もまだ小さいですし、これからいろいろお金かかりますよね。じゃ、駆け引きなしでいきます。Xさん、いくらなら決めていただけますか?」
X「300万円です!」
セ「う~ん……正直、前回の320万円でもここまでやったことがないっていうレベルなんです」
X「それではまったく手が届きません。私たちはエスクァイアの高級感に憧れているんですけど……」
セ「実は、今日は本部より営業部長が来てますので決裁をお願いしてみます。う~ん……300万……いや~どうだろう……」
 と首をひねりながら、バックヤードに引っ込みました。
 ふと視線を感じて店内の奥を見ると、営業部長さんらしき人がこちらを見ています。なんかドキドキします。主人も緊張しているようで、言葉が出ません。
 しばらくしてセールスさんが戻ってきました。店長さんも一緒です。もうドキドキは最高潮……。
セ「お待たせしました。営業部長に限界を出してもらいました」
店長「ご希望通り300万円にします。この条件がOKであれば、いますぐ他店にお断りを入れていただけないでしょうか?」
 キターーーーーー!!
 ママ、やったよ。目標の300万円、達成!
主人「頑張ってくれましたね。ありがとうございます」
X(喜びを抑えながら)「……う~ん……どうしようか……」
セ「奥さん、もう限界ですよ。これ以上は赤字になります」
X「わかりました。じゃ、ハンコ、捺します♪」
 最終条件は車両本体35万5561円引き、付属品(57万3480円)20万8460円引きで、合計56万4021円引き! さらに下取り額は15万円!
 この場から他店に電話を入れて丁重にお断りしました。なお、注文書には納車費用1万260円が計上されていましたが、納車の際、クルマを取りに行ったら、その場で返金してくれました。

From広島県
TOYOTA エスクァイア
Gi(7人)
車両本体価格292万2480円
トータル56.4万円引き

値引き採点 5
 初めての値引き交渉とのことで苦戦を予想しましたが、商談がスタートするとお母さんから受け継いだDNAがすぐさま覚醒したようです。とくにセールスマンをその気にさせるトーク術は母上以上のうまさをみせてくれました。主婦ならではの「主人を説得します」という殺し文句に注目してください。また「ここが勝負どころ!」と思ったら予算を明らかにして一気に攻め込んだのも評価します。なお「性能や値引きだけでなくセールスさんの人柄もクルマ選びの重要な要素」に共感を覚える読者も多いでしょう。マイチェン前の在庫車ながら獲得した値引き額は文句なし。キューブの高取り分も含めると、超ウルトラCといってもいい条件です。


提供元:月刊自家用車


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