新車値引き情報
更新日:2021.02.10 / 掲載日:2018.08.25
【新車値引き購入事例】粘りに粘ってアルファードを40万円以上値引き?

絶賛!ヴェルが徹底抗戦! 暴挙!?アルは戦いを放棄? 降参?X氏、まさかの棄権……
【プロローグ】 2年ほど前、憧れだったヴェルファイア(ゴールデンアイズ)をとうとう手に入れました。「これ以上、かっこいいクルマはない!」と満悦していましたが、最近「何かが足りない……」と思うようになってきました。
そうなんです! 世界に冠たるトヨタの高級ミニバンなのに、先進の安全機能が付いていない……自動ブレーキすらない……。
これじゃ、万一のとき、愛する家族を守れません。
いくら慎重な運転を心掛けていても、たまにはミスもするし、ちょっとした油断もします。やっちゃってから「安全機能が付いていたら……」と悔やんでももう遅い。
そんな心配をしていたら、昨年暮れにアルファード/ヴェルファイアが“ビッグ”マイナーチェンジを実施。果たせるかな、新型には、あの「トヨタセーフティセンス」が搭載されたのです。
しかもアルファードの顔が滅茶苦茶、自分好みに変貌! もう完全にひと目惚れ。連日、私の耳には(この出会いは運命、運命、運命……)との悪魔の囁きが聞こえてくるようになりました(笑)。
しばらくはなんとか耐えたのですが“ミニバンの季節”夏が近づいてくると、もう居ても立ってもいられない……折しも、ネットを見ると「海外でアル/ヴェルの中古車が異常な人気を博し、日本での買い取り価格が高騰している」との情報が流れてきた。
よし、今がチャンス! 現有のヴェルファイアを高額で売却し、さらに大幅な値引きを獲得すれば、なんとかいける!
新車は高くても家族との楽しい思い出はプライスレス! みんなで一緒に居る空間を守るため、安全機能の充実したクルマに買い替えることにしました。
【1日目】 本命はアルファードですが、下取りは姉妹車のヴェルファイア。作戦会議で松本さんから「アルファードを攻略するためにはヴェルファイアから好条件を引き出して先行させるのがセオリーです」とのアドバイスをもらったので、まずはネッツA店へ。下取り車を購入したお店です。担当の営業さんが出迎えてくれました。
X「やっぱり自動ブレーキは必需品ですよね。ビッグマイナーで安全機能が充実したんで、気持ちが動いています。でも、まだ2年しか乗っていないんでねえ……金額しだいで決めるつもりです。ぶっちゃけ、値引きどうですか?」
セ「次もウチで買ってもらえるように頑張ります! Xさん、今回もナビは汎用品ですか? 純正ナビを買ってもらえるなら40万円引きは出しますよ」
おー いきなり上客扱いしてくれました。俄然、テンションが上がる。やっぱりヴェルファイアにしようかな……。
セ「ただひとつ問題がありまして、納車まで4か月待ちなんです」
X「4か月は長いねえ。ところで、下取り車の査定額は?」
セ「ぶっちゃけ、買い取り店さんにはまったく敵いません。アル/ヴェルは中古車で人気が高く、買い取り店は高額で仕入れても損はしないっていうんですよね。でも、うちは標準的な査定しか出せないんです」
X「前回、ステップワゴンから買い替えたときも買い取り店に売却したんで、今回もそうするつもりですが、一応、どのくらいになるか、出してみてください」
セ「かんべんしてください。こないだのお客さんなんか、うちの査定額を聞いたら『なんだ、そりゃ、買う気がなくなった』って、帰っちゃいましたからね。それに納期が4か月も先なんで査定を出しにくいんです。納車直前になったら買い取り専門店に高値で売っちゃってください。そのかわり、いきなり大幅な値引きを出して勝負しました! 40万円引きはお得意さんだけの破格値ですよ」
まさか販売元のネッツA店で下取りを拒否されるとは思ってもみなかった。それにしても新型ヴェルファイアは顔がイカツイ。アルファードの顔が付いていたら、即決だったかも……。
ネッツさん、いきなり破格の40万円! トヨペット、いきなり白旗。限界です!
次は憧れのレクサス。ひそかに「いつかは乗りたい!」と思っています。今回、もしかすると……。
レクサスNXに試乗。やはり乗り心地は上質。妻は助手席でうっとり。ドアの閉まる音でさえ気品に溢れて高級感が漂います。
セ「レクサスは値引きがない分、お客様の下取りを高額で買い取って対応したいと思います」
しかし、下取り額は240万円。
ええ~っ!? 最低でも300万円は付くと思っていたので、言葉を失いました。値引きもゼロ。
X「……う~ん……これでは買い替えは無理です……」
セ「ご購入いただけるなら、多少は上乗せできます」
正直、完全に戦意喪失です。
気になっていたCX-8を見にマツダへ。思ったより高級感があり、しかもカッコイイ! ただし、試乗すると、数分で妻に異変が……「ちょっと酔っちゃったみたい」。
マツダの売りである走り重視の硬めのサスペンションと相性が悪いようです。ともあれ、ショールームに戻って交渉開始。
値引き条件は20万円。とても熱心な営業さんで最初から頑張ってくれました。しかし、妻の浮かない顔が気になってこれ以上、突っ込んだ話はできませんでした。ちなみに、下取り車に関してはここでも「買い取り専門店に売却したほうがお得です」とのこと。
続いてホンダA店へ。アル/ヴェルでは予算的にガソリン車しか選べませんが、オデッセイならハイブリッドがいけます。
車高が低いため安定感は抜群。その割に乗り心地もOK。妻もご満悦。ハイブリッドなら燃費がいいので、維持費を考えると、この選択もアリ! 営業さんは若くて、やる気いっぱいのイケメンです。
セ「私の出せる限界は30万円引きですが、上司に話せばもっといけます」
お~、凄い数字が飛び出しそうな気配です。ちなみに、下取り額は280万円でした。
トヨペット店に乗り込む。本命のアルファードはとにかくカッコイイ! 旧型の落ち着いたイメージからちょっと悪っぽくなってバランス的にちょうどいい!
顔見知りの営業さんと商談開始。買い替えの理由を説明すると、
セ「話はわかりました。本気なんですね。前回はネッツさんに負けちゃいましたけど、今回は頑張りたいとは思うのですが……相手はやっぱりヴェルファイアですよね……となると、ちょっと無理かな……」
X「えー何でですか?」
セ「昨年暮れに新型となって以来、アルファードは凄く売れてるんです。販売店の数はネッツさんよりトヨペットのほうが少ないにもかかわらず、売れ行きはアルファードのほうが上なんです。だから、正直、値引きは少ないんです。それでもいいというお客様にアルファードを選んでもらっています」
X「え~そうなんだぁ」
セ「……とかいっても、それなりには頑張ります。Xさんは常に新しいクルマを購入されるので、うちもお付き合いしたいとは思っているんですよ」
X「値引きはどのくらいですか?」
セ「35万円ですね。Xさんが相手となると駆け引きできないので、最初から限界を出しました。うちではこれ以上はできません」
あれ~、強気なことを言ってくるので、20万円程度でストップかと思っていたが、意外に出してきた。こちらとしては「もう限界」からが勝負と思ってますけど……。
夜、夫婦会議を開催。
X「CXー8はないね?」(笑)
妻「絶対にない」(笑)
X「レクサスもないよね?」
妻「ないない。オデッセイって、試乗してみたら、想像より凄く良くて印象が変わったけど、やっぱりアル/ヴェルだね」
X「じゃ、どっち?」
妻「今まではヴェルファイアのほうがカッコよかったけど、今回のアルファードは本当にカッコイイよね。思ったより高くなりそうだけど、そこはそれ、Xくん(私のことです)が頑張ってなんとかしてくれるんでしょ?」(笑)
X「はい、頑張ります(笑)。でも、凄い条件が飛び出したらヴェルファイアでもいいよね?」
妻「異議なし!」
【2日目】 下取り車の相場をつかむため、付き合いのある買い取り専門店に出向きました。
店「Xさん、もうご売却ですか?正直、うちとしては大歓迎なんですけど……」(笑)
X「どのくらいになりますか?」
店(オークションの売買データを見せながら)「ぶっちゃけ、300~340で動いています。うちは直販もやっているんでオークションより高く買い取れますよ! 夏前がミニバンの中古車が一番売れる時期なんで、すぐに引き渡してくれるなら350万円で買い取りましょう」
X「こんど買うクルマが納車まで4か月もかかるんです。その間、クルマなしでは過ごせないので、即引渡しはできないんですよね」
店「なるほど。じゃ、とにかく引き渡せる時期が来たら、ぜひ、もういちど査定させてください」
作戦会議で松本さんが「このヴェルファイアは下取りには出さないで、納車が近づいた時点で買い取り専門店を集めてガレージオークションをやったほうがいいですよ。おそらくかなりの高値が付きます」と言っていたけれど、おっしゃる通りです。ガレージオークションのやり方もしっかり伝授してもらったので、4か月後が楽しみになりました。ともあれ、今後は下取りなしで商談します。
ネットのニュースサイトを見ていたら「アル/ヴェルの勢力図がマイチェンで逆転。中古車市場にも変化あり!」と題した記事を発見。要約すると「昨年末のビッグマイナーを機にアルファードの人気が急上昇。販売台数はヴェルファイアを引き離している。この傾向は将来、中古車市場にも波及して買い取り相場はヴェルファイアよりアルファードのほうが高くなることは間違いない」というもの。どうやらアルファードの営業さんが言っていたことは本当のようです(編注 1~6月の累計販売台数=アルファード2万7407台、ヴェルファイア2万2685台)。
これまで2~3年のサイクルで買い替えている私にとって、この情報は看過できません。こういうときは松本さんだ。早速、電話を入れて意見を聞いてみました。
松本「もともと中古車市場ではヴェルファイアより高級感のあるアルファードのほうが値段は多少とも高くなっています。今回のビッグマイナーによって、その傾向はさらに強くなる可能性がありますね。中古車業者には“こうしたプレミアム感を大げさに煽って商売につなげる”という風潮があるんで、今後はアルファードの後期モデルは高値で取引するって流れになると思います。将来の買い取り価格にどのくらいの差がつくかは難しいところですが、3年以内なら最低でも10万円、もしかすると20万円を超えるかもしれません」
なるほど! だとすると、ヴェルファイアより多少高くアルファードを買っても売るときに取り返せるってことになるじゃないの! でも、こんな情報が流れると、ますますアルファードは値引きが渋くなっちゃうよなー。
松本さん、ゴメン、やめます…… 大逆転! 営業マンが燃えた!!
【3日目】 ネッツA店から電話。
セ「Xさん、緊急情報が入ったのでお知らせします。実は、ヴェルファイアが今年の年末に一部改良することになりました」
X「え~っ、年末って、まだ半年も先のことですよね」
セ「普通ならお客様にお知らせするのは1か月前とかなんですけれど、ヴェルファイアは納期に4か月もかかるので現行車両はあと半月ほどでオーダーストップとなってしまいます。一部改良後の新型の受注開始時期は未定ですが、納車は来年ってことになりますね」
X「改良って、もっとカッコよくなるんですか?」
セ「いや、外見はまったく変わりません。現行車両ではオプションだったデジタルインナーミラーが標準装備になるくらいです。これによって価格は5~6万円上がると思います。値引きも新型は引き締めることになるでしょう。だから、今が現行車両をお安く買う最後のチャンスです!」
オプションのデジタルインナーミラー(6万4800円)は付けるつもりだったので、一部改良を待つ必要はない。一瞬、購入を延期しようかと思いましたが、このまま継続することにしました。
ネッツA店とは経営資本の異なるネッツB店へ出向きました。一部改良を確認して商談開始。
セ「正直、アルファードにはお客さんを何人も持っていかれているので値引き競争となったら本気で頑張りますよ!」
ここで、例のネットニュースのコピーを見せると、営業さんの顔色がみるみる変わっていく。
セ「……こんな記事が出ているなんて知りませんでした……でも、実は、これって本当のことなんですよね……上司に相談させてください」
しばらくして戻ってきました。提示してきたヴェルファイアの値引き条件は……50万円! 支払い総額は490万円とのこと。
X「頑張ってくれたと思いますが、アルファードの支払い総額は510万円くらいなので、差額の20万円は将来の買い取り額で埋まってしまいますよ。正直なところ、60万円以上の値引きが出ないと、ヴェルファイアには傾きません」
セ「では、あと10万円引けば買っていただけるんですね」
う~ん……どうする? ヒートアップしてきた営業さんを前にして、返答に困っていると、妻が助け舟を出してくれました。
妻「せっかくなんですけど、もう一度アルファードの顔を見てから考えますね」
妻が潔く言い切ったことで、営業さんも冷静さを取り戻したようで「わかりました。ヴェルファイアで決めていただけると思ってお待ちします」とのこと。妻のおかげで、なんとか窮地を脱出できました。
この後、妻と話し合った結果「アルファードがどこまで近づけてくれるか?を見極めて決定しよう」ということになり、トヨペット店へ。これまでの経過を伝えて最終条件をお願いしました。
セ「アルファードは前回出した35万円引きがぎりぎり限界で、これ以上はどうやっても出せません。ヴェルファイアのほうが確実に安く買えますよ」
X「ネッツ店はおそらく60万円引きまではやってくれそうです。ここまで差が開くと、ヴェルファイアにしようかって気持ちになったんですが、デザインが気に入っている分、アルファードにも心残りがあります。で、その差がどこまで縮まるかで決断しようと思っています。こちらの希望は支払い総額500万円ジャストです」
セ「すみません、絶対に無理ですよ。そんな金額、アルファードでは出せないんです」
X「やっぱり無理か……何だか急にクルマを換えなくてもいい気持ちになってきたなあ。今回は見送って気長に次回のフルモデルチェンジまで待っちゃおかな~」
実は本気でやめようと思いました。となると、残念ながらX氏はリタイアです。松本さんに謝罪しなくちゃ……ここで、突然、営業さんが立ち上がった。
セ「よし! 少々お待ちください。相談してみます。でも、どうなるかわかんないですよ」
しばらくしてがっちり体型のベテランが登場。店長さんでした。
店「お話は聞きました。Xさんはとてもクルマがお好きで、早いスパンで上手な買い替えをされるんですね」
X「決してお金があるわけではありませんし、浮気症でもないんですが、乗り潰してメンテナンスなどの維持費に費やすよりも価値のあるうちにうまく売却し、最新機能を備えた新型車に乗りたいと思っています。クルマは命を乗せて走るものなので、とくに安全性能は重要ですからね」
店「クルマと上手なお付き合いをしてくださっているんですね。正直なところ、アルファードは新型になってから値引き条件の制限がとても厳しいので、ご希望の金額で販売した実績は今までありません。しかし、Xさんのカーライフにぜひ、私どもを加えていただきたいので、ピッタリ500万円でやらせていただきます」
X「よしゃー!」(笑)
セ「Xさん、店長はまた次も買ってもらおうと思ってますから、よろしくお願いしますね!」(笑)
X「もちろん! ただし簡単には買いませんけどね!」(笑)
店「覚悟しておきます」(笑)
最終的な条件は車両本体とメーカーオプション33万1560円から25万円引き、付属品46万4400円から18万2436円引きの合計43万2436円引きとなっていました。
ちなみに、納車(11月頃)が近づいたら、松本さん直伝のガレージオークションでヴェルファイアを売却するつもりです。いくらになるか、今から楽しみです。
値引き採点 5
スリリングな展開はまさにX氏シリーズの真骨頂です。またクルマ好きの興味をそそる情報も満載でした。とくに注目したいのは“姉妹車”の差。アル/ヴェルは基本的に“同じクルマ”ですが、値引き条件やリセール価値に違いがあらわれています。これについては「ワンポイントアドバイス」と、今月の「特報」に掲載されたヴェルファイアのレポートを合わせて読んでいただくと、よくわかると思います。さらに「商談の途中で一部改良の情報が入る」「納期に4か月もかかるため下取り額の売却先や価格が決められない」といった異常事態にも遭遇しています。しかし、そこはそれ、これまで11台もの購入経験によって、冷静かつ上手に対応してくれました。
提供元:月刊自家用車