新型車比較・ライバル車対決
更新日:2022.03.25 / 掲載日:2021.11.09
LEXUS 新型NX vs TOYOTA ハリアー【プレミアムSUV対決】
プレミアムSUVの勢力図が変わる!? まさに全面刷新という言葉がふさわしい進化を遂げた新型NX。プレミアムSUVの勢力図が大きく変わるのは間違いないが、その中でも最も大きな影響を受けるのがトヨタ・ハリアーだろう。成り立ちやメカニズム構成でも近い関係にある2台の違いを改めて確認してみたい。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部

【CHECK01】エクステリア比較
プレミアム志向は共通だが NXはよりスポーティを強調 プレミアム志向のSUVという点では共通しているが、プレミアムの内容や度合いに違いがある。 ハリアーは長いフロントオーバーハングを活かし、スラントしたロングノーズが外観の特徴。クーペを思わせるスペシャリティ感がセールスポイントである。 新型NXも同様にロングノーズのプロポーションを採用しているが、リヤオーバーハングはハリアーより短い。ルーフエンドの位置はほぼ同じだが、リヤゲートやリヤバンパーの張り出しを抑えて、キャビン後半のボリューム感を減らしている。伸びやかさでハリアーに及ばないが、SUVらしい軽快な印象を強く感じる。 装着タイヤはハリアーは225/55R19までの設定だが、NXは235/50R20まで用意。ハリアーの19インチ仕様はZ系に限定されるが、NXの20インチ仕様はバージョンL/Fスポーツに標準装備、他グレードもOPで選択可能。 なお、NXのエクステリアの細かな仕様はグレードによって異なるが、主な違いはヘッドランプとホイール、バンパーモール。Fスポーツはモールもホイールも専用設定だが、スポーツ性の殊更な演出はなく、外観のグレード間格差が少ないのもNXの特徴だ。
LEXUS 新型NX

ロングノーズで車格感と 走りのイメージをアピール SUVとしては長いフロントオーバーハングでフロントマスクの存在感を強めるとともにロングノーズの車格感も高めている。大きく開口したスピンドルグリルはレクサス車の象徴だ。一方、リヤプロポーションのオーバーハングは短めに設定。ロングノーズとの対比で軽快な印象を与えている見せ方も、レクサスの走りをアピールする部分に思える。




TOYOTA ハリアー

上級ワゴンを彷彿させる 落ち着いた雰囲気が楽しめる 基本的には流行りのロングノーズデザインだが、フロントグリル前縁まで連続感を持たせていた先代に比べると、ロングノーズの演出は控え目になった。伸びやかにラインを描くリヤルーフ後端のデザインも印象的。GA-KのSUVとしては最も全長が長いモデルでもあるためか、SUVというよりも上級ワゴンのような雰囲気も感じられる。



【CHECK02】パワートレーン&メカニズム機能比較
NXは走りを意識した 贅沢な造りが際立つ ハードウエアのスペック面において、ハリアーとの車格差を最も意識させてくれるのがパワートレーンのラインナップだ。両モデルともエントリー仕様のガソリン車には4気筒のダイナミックフォースエンジンを採用するが、排気量は2ℓのハリアーに対して、NXは2・5ℓを基準としている。ミッションもハリアーはダイレクトシフトCVTを用いるが、NXは8速ATを採用。ハイブリッド車に関しては、エンジンが2・5ℓであることは共通だが、駆動用モーターが異なり、NXは高出力型を採用している。 ハリアーに設定のないPHVとターボが選べることも、NXのセールスポイント。PHVはRAV4にも採用されているためNX独自ではないが、ターボはNXのみのユニット。エンジンは完全な新設計ユニットで、現時点ではNXのみに搭載されている。 前ストラット/後ダブルウィッシュボーンを配したサス周りの構造はハリアーと共通だが、NXは車体剛性を向上させる工夫も盛り込まれる。また、NXのFスポーツにはハリアーには設定がない電子制御サスのナビAI-AVSも採用。走行状況に応じて減衰力を自動制御するシステムだが、ナビの道路情報から先読み制御をする最新機能も備わる。 4WDシステムは、ガソリン車に機械式電子制御型、ハイブリッド車にE-Fourという組み合わせは共通だが、NXは350Fスポーツにオンロードの操安性向上のため前輪へのトルク配分を最大75%としたフルタイム制御型を採用している。また、ハリアーは全グレードにFFと4WDが設定されるが、NXは350FスポーツとPHVが4WD専用モデル。NXのほうがオンロード性能向上に4WDを積極的に活用しているとも解釈できる。 安全&運転支援機能は基本機能は共通だが、細部の先進機能の導入に関してはNXが一歩先をいく。プリクラッシュセーフティは右左折時の歩行者や対向車に対応。路側歩行者の回避操舵支援や前方交差路の車両を検知するFCTA。降車時に側方を通過しそうな二輪車を検知した場合、ドアラッチ開放のキャンセルや警報を発して事故を予防する安心降車アシストなど、生活の場のリアルな状況に対応した安全装備を充実させている。 さらにNXで注目したいのは駐車支援システム。駐車枠を指定するだけで自動運転で駐車/出庫を行うアドバンストパークにスマホを用いて車外からリモコン操機能を追加。ハリアーには自動制御型の駐車支援装備は設定されていない。
新型NX

他のTNGAモデルと同様に 走りの劇的進化は間違いない 試乗前になるが、先代のMC系シャシーから最新のGA-Kシャシーに変わることで、動的質感の大幅向上は間違いないだろう。従来よりNXは走り自慢のSUVとして人気を集めていたが、パワーユニットの刷新も行われた新型は、先代以上に走りが楽しめるSUVに仕上がっていることが予想できる。
パワーユニット/駆動方式 2.5ℓ直4NA 201PS/24.5kg・m 2.4ℓ直4ターボ 279PS/43.8kg・m 2.5ℓ直4ハイブリッド(HV) エンジン:190PS/24.8kg・m モーター:134kw/270N・m(4WD車のリヤモーター:40kw/121N・m) 2.5ℓ直4プラグインハイブリッド(PHEV) エンジン:185PS/23.2kg・m モーター:134kw/270N・m(フロント)/40kw/121N・m(リヤ)




TOYOTAハリアー

現行型でメカニズム一新 走りの魅力を大きく向上 先代から走りの質感を大きく向上させた現行ハリアー。操安性や乗り心地も向上しているが、車体周りの振動が全体的に抑制され、厚みを感じさせる乗り味となった。動力性能はハイブリッド車が1枚上手だが、ガソリン車もエンジン回転を抑えたプレミアムモデルらしいドライブフィールが楽しめる。実用域の力感を高める味付けだ。
パワーユニット/駆動方式 2.0ℓ直4NA 171PS/21.1kg・m 2.5ℓ直4ハイブリッド(HV) エンジン:178PS/22.5kg・m モーター:88kW/202N・m(4WD車のリヤモーター:40kw/121N・m)


【CHECK03】キャビンパッケージ比較
NXのキャビン設計には 次世代テイストを注入 これまでのレクサスモデルのインパネは、贅を尽くした造り込みが目立つ印象もあったが、新型NXには先進的なIT感覚を意識した設計思想が新鮮だ。特に9.8インチもしくは14インチを採用するセンターディスプレイは、メーターパネルと一体化することでドライバーと対峙するような感覚を強く受ける。一方、ハリアーのセンターディスプレイは、中央操作パネル上に載せるような独立したデザイン。デザインのトレンドとしてはハリアーが今風だが、NXのほうが個性やドライバーズカーらしさを感じられる。ハリアーのディスプレイは12・3インチと8インチが設定されるが、NXより一回り小さいサイズになる。 キャビンスペースと荷室は、座った印象や目視比較ではほぼ等しく思える。大柄な男性でも膝前や頭上には十分なゆとりがあり、後席座面高を高く設定しているので、前席の視角的圧迫感も少ない。NXの方がハリアーよりも後席の側方視界は多少広く感じられるが、両モデルともに大人4名が寛いで長距離走行を楽しむに十分な居心地を備えている。 荷室長もほぼ等しく、幅も高さも大きくは変わらない。両車ともにパワーリヤゲートを採用するが、NXはハンズフリーまで全車標準に対して、ハリアーはG以上に装備、ハンズフリー機能はZ系のみ。 ユーティリティ面に大きな隔たりはないが、両モデルのインテリアの一番の違いは質の部分。内装材や細かな建て付けの精度感など視覚触覚で得る質感や、メーターパネルやヘッドアップディスプレイの表示機能の充実ぶり、ベーシックグレードから楽しめる数々のプレミアム装備など、NXが圧倒的に優れる。目指すプレミアムが違うと言っては大袈裟だが、ハリアーはデザインの工夫でプレミアム感を楽しませているように思える。もっとも、この質の部分の差は両モデルの価格差を考えれば当然であり、プレミアム性も含めたコスパで見れば、ハリアーのバランスの良さも際立っている。
新型NX
バランスの良いキャビン設計 内装質感の良さのみにあらず 内装の仕立てが良いのは当然だが、デザインやパッケージングにプレミアムとかスポーティの押しつけがましさがなく、居住性や積載性はミドルSUVらしくバランスよくまとまっている。レジャーユースに用いるにもいいキャビンユーティリティを備え、SUVの実用性の中にプレミアム感を巧みに織り込んでいる。




TOYOTA ハリアー
レザーパッケージ車の内装は スペシャリティも楽しめる GA-KシャシーのSUVでは最も全長が長いが、キャビン寸法は大差ない。ファストバック風のキャビンを採用するが、後席頭上やリヤサイドウインドウを広く取っているので後席の居心地も良好。スペシャリティなスタイリングを実用スペースの犠牲なくパッケージしているのはお見事。ポストワゴンとしても対応できる実用性の高いキャビンだ。




【CHECK04】利便&実用装備比較
車載ITは同等レベルだが NXは次世代装備も充実 NXが採用した新機能のひとつがドアラッチ開放を電動化したe-ラッチ。外ドアハンドル操作ではそれ程使いやすいように思えなかったが、内ドアハンドルはスイッチを押しながらドアを開けるような操作で使い心地がいい。しかも、後方監視と合わせて降車時の二輪車衝突事故予防機能もあって安全面からも注目できる。 エレガントな使い勝手という点ではタッチトレーサーオペレーションも惹かれる。タッチパッド化したステアリングスイッチだが、その操作状況をヘッドアップディスプレイにも表示できることがポイント。運転視線で目視確認できるのも安全面でのメリット大。これもハリアーにはない装備だ。 逆にハリアーが先行しているのがデジタルルームミラー。NXは標準的なタイプが全車OP設定。ハリアーは前後の録画機能を備えてG以上に標準、SでもOP装着が可能である。あおり運転対策等で録画機能は有り難い。 車体周辺監視は両車ともに俯瞰型の全周モニターのパノラミックビューモニターも設定。ともにサイドクリアランス/コーナリング/床下透過表示等の機能を備える。ただし、NXは全車OPで選択が可能だが、ハリアーはZ系にのみOP設定されている。 両モデルともに車載ITは標準装着。モニターサイズは異なるが、スマホ連携などの基本機能に大きな違いはない。上級オーディオシステムとしてNXはマークレビンソンをバージョンL系にOP設定、ハリアーはJBLをZ系標準/G系OPで用意する。 最近のモデルを中心に普及が加速しているオペレーターサービスやエアバッグ連動緊急通報、リモートエンジン始動、車両位置確認の基本サービスは両モデルとも対応。NXにはOPで車内WiFiとデジタルキーも用意している。NXはリモコン式のアドバンストパークも含めてスマホと連携した機能が多いのが特徴だ。
新型NX




TOYOTA ハリアー


【結論】
キャラの違いは明確だが コスパを含めた総合力は甲乙つけがたい ハリアーの最上級グレードになるハイブリッドFF車のハリアーZの価格は452万円。NXのハイブリッド車のベーシックグレード相当になる350hのFF車は520万円。この2モデルを比べるとその価格差は70万円ほどになる。機能や装備を比較すると、パワートレーン性能はNXが優位だが、ハリアーはJBLオーディオが標準になるなど装備内容ではハリアーに分がある。 ならば内外装の質感でそれほど大きな違いがあるかと言えば、NXがやや優位だが、ハリアーもこのクラスの中ではトップレベル。トヨタとレクサスというブランドの違いはあるが、雰囲気の演出も含めてハリアーはプレミアムSUVとしてバランス良くまとまっている。人気があるのも容易に理解できる。 問題は走行性能と走りの質感でNXがどれほどの差を付けられるかだ。スペックを見れば動力性能が勝るのは間違いなく、車体周りの構造や先代のNXの出来からしても走りの質感も期待できる。ただ、現行車になってハリアーも走りの質感を向上しており、さらに快適性を軸とした味付けも強まった。NXがパフォーマンス重視で仕上げすぎていると下克上も十分にあり得る。 走りやスポーティを重視するユーザーはともかく、上質感や寛ぎの空間を重視するなら、ハリアーの方に魅力を感じるユーザーもいるはずだ。


この記事の画像を見る