新型車比較・ライバル車対決
更新日:2020.10.26 / 掲載日:2020.10.26
ヤリスクロス・魅力大研究【2】ライバル5車と徹底比較
強力ライバルとの違いを一発即答激戦が続くコンパクトSUV市場に挑戦状を叩きつけたヤリスクロス。先行するライバル車も実力モデルが揃うが、ヤリスクロスも決して負けていない。今回はライバル関係になる6モデルを比べてみよう。
コンパクトSUVはいずれも実力モデル揃い
TOYOTA ヤリスクロス

価格帯:179万8000~ 281万5000円
完成度の高さは、後発モデルゆえの大きな強み 後発の強みを活かした完成度の高さは、ライバルたちにとって大きな脅威になるのは間違いない。特にヤリス譲りの走りの良さは、走り自慢が揃うこのクラスでもトップクラスだろう。また、ハイブリッド車でもかなり安価に設定されている価格も見逃せない強みだ。
NISSAN キックス

価格帯:275万9900~ 286万9900円
強力な飛び道具を武器に激戦市場に殴り込み この夏に日本に導入されたキックスは、e-POWERとプロパイロットを武器に、好発進を決めたようだ。装備充実の上級グレードのみという設定のおかげで、パッと見た価格は少々割高にも映るが、注がれている内容を見れば人気を集めるのもうなづけるだろう。
TOYOTA C-HR

価格帯:238万2000~ 314万5000円
今夏の改良で運転支援機能を大幅強化 ここ数年続いているコンパクトSUV人気を決定付けた立役者。ハイブリッド車はプリウスのSUV版という立ち位置で、スペシャリティカー的な人気も併せ持つ。この夏の一部改良でLTAなどの運転支援機能も強化。最新世代のトヨタ車と同じ武器を手に入れている。
HONDA ヴェゼル

価格帯:211万3426~ 298万186円
使い勝手とコスパに優れる実用SUVの優等生 先代フィットをベースに設計されたコンパクトSUV。広めのキャビンに多彩なユーティリティが与えられていることが特徴。登場は2013年とそろそろ次期型の噂も耳にするが、実用SUVとしての高い資質とこなれた価格で、まだまだ安定した人気を持っている。総合力では未だにトップクラスだ。
DAIHATSU/TOYOTA ロッキー/ライズ

価格帯:170万5000~236万7200円(ロッキー)/167万9000~228万2200円(ライズ)
今年上半期のベストセラー。ヤリスクロス登場でどうなる? 小さなクルマ作りを得意としているダイハツが、昨年末に発売した小型SUV。このクラスとしても最小サイズのボディに1Lターボという組みあわせは、まさにヤリスクロスの弟分といったところだ。今年上半期に爆発的に売れていたが、ヤリスクロスの登場でどうなるか気になるところ。
MAZDA CX-3

価格帯:189万2000~ 316万2800円
走り自慢の小型SUV。今春に1.5L車を追加 マツダ2(デミオ)をベースに開発されたコンパクトSUV。ハイブリッドは用意されないが、その代わりにこのクラス唯一のディーゼルターボが用意される。走り重視のユーザーに人気だが、この春には1.5LNA車を追加。価格の面でもライバルに対してアドバンテージを得た。
キャビン&ラゲッジ比較
各車それぞれに使い勝手は異なる。スタイル優先モデルはやや不利
同格の2BOX車よりもキャビンスペースを広めにとったパッケージングを採用することが、コンパクトSUVのセオリーの一つ。スペシャリティ志向が強いC-HRとプレミアム志向のスタイリングにこだわるCX-3以外は、多様なシーンで使いやすい、優れたシートアレンジが与えられている。
スペース効率で6車を見ていくと、一回り小さな車体寸法で実用的なキャビンを実現したロッキーは高く評価できる。駐車場などで車体寸法の制限があるユーザーには魅力的だろう。
絶対的な広さや開放感ならばキックスだが、荷室に多段ボードを用いてスペースを稼ぐヤリスクロスも優秀。またハンズフリーのパワーテールゲートもあると便利な装備だ。一方、積載の多様性を重視するならヴェゼルが圧倒的。ダイブダウンとチップアップの二通りの後席格納は、買い物からレジャーまで積載物に応じたアレンジが可能。多様な使い勝手を求めるなら最適だ。
【ナンバー1はこれ!】ヴェゼル
クーペ的なサイドウインドウデザインを採用するが、キャビン空間は見た目以上に広々としており、積載性を配慮したパッケージングが持ち味。多様な積載性を発揮する後席格納を持つなど、日常用途からレジャーまで柔軟に対応できる懐の深さは大きな武器だ。

モニターを中央に配するオーソドックスなレイアウト。スペース効率の高いフィットの流れを汲むだけあって、キャビンは広がり感がある。後席のゆとりもクラス最大級だ。
後席の座面はチップアップ式。座面を跳ね上げれば高さのある荷物を積載することが可能。シートアレンジを含めたユーティリティは、ライバルたちを大きくリードしている。
キックス
サイズを活かしたキャビンスペースや後席の居心地を配慮したウインドウグラフィックなど快適性向上の工夫が盛り込まれている。4名乗車時の居心地は同格の2BOX車以上だ。荷室はシートがシンプルな前倒式と工夫は乏しいが、深さも奥行きも十分に確保されている。

上位グレード限定なこともあり、キャビン周りは華やかで所有欲を掻き立ててくれる。後席周りも広々としていることも強みだ。荷室はアレンジこそ平凡だが、広さは十分。
ヤリスクロス
後席格納はバックレスト前倒式だが、4/2/4分割による4名乗車時の長尺物対応や、ゴルフバッグに対応した荷室後部幅設定など、一般的なレジャー用途で使いやすい設計が与えられている。2名乗車ならばアウトドアレジャーでも活躍できるだろう。

質感で秀でた部分は少ないが、開放感溢れるキャビン空間は魅力十分。特に後席のゆとりや荷室アレンジなどは、このクラスとしてはトップレベルだ。
ロッキー/ライズ
4m弱の全長サイズとは思えないほど、キャビンスペースは広々としており、後席周りの広さも開放感も優秀。荷室の奥行きはほどほどだが、床面ボードを外せば背の高い荷物の積載も可能だ。1サイズ上のクルマに匹敵する実用性が宿っている。

インパネセンターに大型モニターを設けているが、キャビン周りはシンプルな設計。実用優先の感が強い。荷室容量は平凡だが、前席と後席周りのゆとりは十分に確保されている。
CX-3
上級モデル譲りのプレミアム志向でデザインされたインテリア内装は大きな魅力。一方、パッケージ面は狭めで、特に後席のレッグスペースと荷室奥行きは、同サイズのライバル車より余裕がない。さらに死角的な圧迫感も強く、アレンジ機能も一般的だ。

良質な素材を用いて構成されるフロントキャビンは大きな武器だが、後席と荷室はデザイン優先の影響もあって、広さもアレンジ性もライバルに劣る印象を否めない。
C-HR
比較6車の中では最上級に位置し、キャビンの平面寸法も最大級。しかし、後席は圧迫感が強く乗降性も悪い。また、荷室床面は高いこともあって、大きな荷物を載せる時の作業性も今ひとつだ。スタイルの割には使える、と考えるべきだろう。

スペシャリティを意識した内装質感は上位モデルらしい仕立て。前席は開放感も感じられるが、後席は手狭でやや圧迫感も否めない。荷室は広さは十分だが、高い床面が気になる。
走り&ドライバビリティ比較
総合力に優れるヤリスクロスはこのクラスのベンチマークだ
車格が1クラス上となるC-HRは、余剰性能をスポーティ感や車格感に振り向けた印象。オンロードでの安定感は高いが、悪路適性性はSUVとは言い難い。ロッキーは軽量小型車らしいスポーティな味わいはあるが、比較6車の中では、快適性や走りの質感にやや見劣りを感じてしまう。
キックスは乗り心地や低中速域の力強さは魅力的だが、路面からの振動抑制がやや強く、このあたりに古さを感じてしまう。ヴェゼルはファミリーユースに適した日常域の穏やかな乗り心地が見所だが、動力性能の余裕や乗り味の洗練感が今ひとつ。CX-3はディーゼルターボ車を筆頭に高速ツーリングではクラス上の実力を持つが、一般路での乗り心地はやや硬めだ。
ユーザー側が嗜好や用途で選び分ければいいのだが、コンパクトSUVに求められる走りを幅広くカバーできるという点では、ヤリスクロスが一番しっくりとくるだろう。
【ナンバー1はこれ!】ヤリスクロス

■主要諸元(ハイブリッドZ FF)●全長×全幅×全高(mm):4810×1765×1590 ●ホイールベース(mm):2560 ●車両重量(kg):1190 ●パワーユニット:1490cc直3DOHC(91PS/12.2kg・m)+モーター(59kW/141N・m) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):27.8km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:215/50R18
ガソリン車もハイブリッド車も 間違いなくトップレベル
高速走行まで含めた性能と、燃費のバランスが取れた走りが見所。パワートレーンと駆動方式で悪路対応力や乗り味の違いがあるが、安心感のあるフットワークや実用燃費と余力感を軸とする走りの汎用性の高さは、間違いなくこのクラスのトップレベルだ。
ヤリスに比べてホイールベースが延長された最新のGA-Bプラットフォームを採用。優れた操縦安定性を発揮できるのは、最新シャシー&サスによる恩恵が大きい。
1.5L直3のダイナミックフォースエンジンは、熱効率に優れるトヨタの最新ユニット。省燃費に優れるほか、低中速域から豊かな力感を示してくれる。
ACCは全車速型を採用している。操舵支援のLTAや最新駐車支援システム「アドバンストパーク」が設定されるなど、ドライバーが便利に使える機能の充実も大きな強みだ。
CX-3

■主要諸元(XD プロアクティブ Sパッケージ FF)●全長×全幅×全高(mm):4275×1765×1550 ●ホイールベース(mm):2570 ●車両重量(kg):1300 ●パワーユニット:1756cc直4DOHCディーゼルターボ(116PS/27.5kg・m) ●トランスミッション:6速AT ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):20.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R)●タイヤ:215/50R18
抜群の高速安定性は大きな長所。オンロードでこそ真価を発揮
引き締まったフットワークは、荒れた路面で乗り心地に難を感じることもあるが、クラス上のモデルも凌ぐ高速安定性は大きな長所。特にディーゼルターボは格別の存在だ。ただし、ロングドライブで重宝する車線維持支援機能に少々弱さがあるのが残念。
3タイプのパワートレーンが用意されるが、看板は1.8L直4ディーゼルターボ。低速域から力強く盛り上がる出力特性は、ライバルたちでは味わえない最大の武器だ。
大トルクが生み出す悠々としたドライバビリティは高速道路で重宝するが、車線維持支援機能が操舵支援系ではなく、車線逸脱警報レベルなのが惜しい。
C-HR

■主要諸元(ハイブリッドG)●全長×全幅×全高(mm):4385×1795×1550 ●ホイールベース(mm):2640 ●車両重量(kg):1440 ●パワーユニット:1797cc直4DOHC(98PS/14.5kg・m)+モーター(53kW/163N・m) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):25.8km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/50R18
SUV離れしたフットワーク。ハイブリッドでも走りは楽しめる
快適性を損ねない程度に引き締められたフットワークがもたらすスポーティな乗り味は、C-HRのアドバンテージ。ハイブリッド車の動力性能はプリウスとほぼ同じ。またターボを採用するガソリン車は、実用域での力強さを軸に回して楽しむドライブフィールも兼ね備えている。
1.8Lハイブリッドのパワーユニットは、プリウスと同システム。最新仕様はラバーバンドフィールも解消されているなど、リニアな走行感覚も大きな武器としている。
路面追従性をさらに高めたGRスポーツも設定されるなど、走りの質感向上を貪欲に狙っている。
キックス

■主要諸元(X ツートーンインテリアエディション)●全長×全幅×全高(mm):4290×1760×1610 ●ホイールベース(mm):2620 ●車両重量(kg):1350 ●パワーユニット:1198cc直3DOHC(82PS/10.5kg・m)+モーター(95kW/260N・m) ●WLTCモード燃料消費率(総合モード):21.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)トーションビーム式(R)●タイヤ:205/55R17
電動走行がもたらす独自の走り味は他のライバルでは味わえない
踏み増し加速も極めて自然。e-POWER車の中では大人びたドライブフィールを示す。耳障りなロードノイズも少なく静粛性も良好。路面からの振動抑制に設計の古さを感じてしまうが、実用志向のプレミアム系SUVとしては満足できる走りが与えられている。
全車に最新のプロパイロットが標準装着されることも見逃せない。車線認識や車線維持性能は、このクラスとしてはトップレベルだ。
1.2Lエンジンは発電担当。そこで発生した電気でモーターを動かすことで駆動力を発揮する。リニア感溢れる電動走行はとても楽しい。
ヴェゼル

■主要諸元(ハイブリッドZ Honda SENSING)●全長×全幅×全高(mm):4330×1770×1605 ●ホイールベース(mm):2610 ●車両重量(kg):1320 ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(132PS/15.9kg・m)+モーター(22kW/160N・m) ●トランスミッション:7速AT ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):19.6km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)車軸式(R) ●タイヤ:215/55R17
実用モデルらしい穏やかな走り パワートレーンは少々役不足
1.5Lターボを搭載するツーリングを除けば、乗り心地に優れた実用モデルの走り。穏やかなフットワークが印象的だ。運転支援機能は充実しているためロングドライブも楽にこなすが、上位パワートレーンのハイブリッド車でも余力は少なめ。物足りなさも否めない。
ハイブリッド車も選べるが、他に比べるとモーター出力は控えめ。負荷のかかるシーンでアシストの恩恵を感じにくい一面もある。
2019年に追加されたツーリングは、CR-V譲りのターボエンzジンを搭載する上位グレード。最高出力172PSと1ランク上の走りが楽しめる。
ロッキー/ライズ

■主要諸元(Premium FF)●全長×全幅×全高(mm):3995×1695×1620 ●ホイールベース(mm):2525 ●車両重量(kg):980 ●パワーユニット:996cc直3DOHCターボ(98PS/14.3kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード燃料消費率 (総合モード):22.8km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディング・トレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:195/60R17
リッタークラスと侮るなかれ 想像以上に走りはスポーティ
やや誇張気味の踏み込み加速や素早い操舵追従反応でスポーティな味わいを演出しているが、1Lターボの特性は低中回転域のトルク重視型。先進運転支援機能も備えて、リッタークラスとしては高速長距離適性にも優れる。走りの質感は車格相応だがコスパ面は優秀だ。
1L直3ターボは98PS/14.3kg・mを発揮。発進ギヤ付のD-CVTのおかげもあって、数字以上に元気よく快活に走ってくれる。
トヨタ・ライズはロッキーのOEMモデル。グレード展開が異なるが、基本的に同じクルマと思っていい。ただ販売台数はこちらが圧倒的に上。
コストパフォーマンス比較
性能と価格のバランスは、ヤリスクロスが最も優秀
各モデルの最上級仕様の価格で比べると、最も安く入手できるのはロッキー。ただし、ライバルと比べるとパワートレーンと車格の差が大きい。ロッキー以外は性能面のプレミアム設定というべきパワートレーンを用意する。ロッキーは確かにお手頃価格なのだが、他モデルが実質クラス上ということを考えるなら、買い得感はほどほどだ。
ハイブリッドのような上位パワートレーン車ならば、ヤリスクロスが最もコスパが高い。車格上のC-HRを別格にすれば、ライバル車よりも10万円以上安い見当となる。次いでヴェゼルが買い得感が高い。ただ、CX-3は高速巡航性能で1クラス以上上の出来を持つので、ツーリング性能重視ならばトップクラスだ。
レジャー向けの実用性を加えた総合的な評価で比較した場合も、走りや実用性も先進機能でも満遍なく高水準で纏まっているヤリスクロスが、ライバル車を一歩リードしている。
【ナンバー1はこれ!】ヤリスクロス
走りや実用性能で秀でているヤリスクロスだが、装備機能に関してもかなりの優等生。最新のディスプレイオーディオやトヨタセーフティセンスを積極的に導入するなど、買い得感の高さは相当なレベルだ。

C-HR
ヤリスクロスと比べるとプラットフォームは1つ上になるGA-Cを採用。この差はキャビン&荷室の広さや居住快適性よりも、走りの部分に大きく表れている。高速安定性などは明らかにC-HRが上だ。

CX-3
上級パワートレーン&上質内装を武器とするCX-3は、コンパクトSUVとしてはやや高めの価格設定だったのだが、今年春に1.5Lガソリン車を追加したことで、価格帯を大きく引き下げ。コスパでも戦えるようになった。

ヴェゼル
早くからホンダセンシングの標準化を進めるなど、ヴェゼルはコスパ優等生としても有名。現行フィットをベースとする次期型の噂もあるだけに販売台数は下降傾向だが、性能機能と価格のバランスは未だにトップクラスだ。

ロッキー/ライズ
価格帯はヤリスクロスとほぼ同水準。だが、ヤリスクロスは最廉価仕様を除けばフル機能のトヨタセーフティセンスが標準になるが、ロッキー/ライズは運転支援系は上位グレード中心。車格以外にも気になる部分がある。

キックス
機能装備の水準は上級グレード相当だが、標準ではオーディオレス仕様のため、ナビなどは別途OPで選ぶ必要がある。キックス専用ナビも用意されるため純正通信連携は可能だが、さらに費用がかかってしまうのは残念。


ヤリスクロス VS 5大ライバル車対決【結論】

全方位に強いヤリスクロス。クルマ選びの中心になるのは間違いない 上位クラスのSUVと比べると、コンパクトSUVは悪路対応力はあまり重視していない。例えばキックスはFFのみの設定だし、ヤリスクロスにしてもハイブリッド車は生活四駆プラスα程度。むしろコンパクトSUVはスペース効率や経済性、走りなど、実用車としてのバランスを重視している。
C-HRを除く5車はそんなセオリーを意識して設計されているが、そのキャラクターは微妙に異なる。例えば、ヤリスクロスはある程度の悪路もこなせる万能タイプ、キックスとヴェゼルは2BOX車の代替にもなる実用性の高さ、CX-3はツーリング性能、ロッキー/ライズは経済性がモデルの長所になっている。
ヤリスクロスは弱点が少ない秀才タイプとすれば、残りの5車は一芸に秀でる天才タイプ。それゆえ重視するポイント次第でライバルは変わるが、コンパクトSUVの本質である実用性で見れば、キックスとヴェゼルが一番近いタイプだろう。
ヤリスクロスの本命ライバルはこれ!
NISSAN キックス
価格的には少々割高感もあるが、十分な広さが確保されるキャビン空間は使い勝手も良好。優れた性能を持つプロパイロットも備わるなど、ヤリスクロスと十分戦える。
HONDA ヴェゼル
パワートレーンに弱さはあるが、居住性やシートアレンジなどのユーティリティはクラス随一。ホンダセンシングも標準と価格と性能のバランスの良さも見逃せない。
最新コンパクトハッチもヤリスクロスのライバルになるかも?
ヤリスはもちろん、フィットもライバルになりうる
コンパクトSUVの評価でもうひとつ欠かせないのは2BOX車との比較。特にハードウェア面で姉妹車の関係になるヤリスとの比較は避けられないだろう。
一般的にコンパクトSUVはキャビン容量がスモール2BOXより一回り大きく、荷室容量も勝る。ヤリスは標準的なスモール2BOXのため、後席居住性と荷室容量はヤリスクロスに遠く及ばない。また、ACCの全車速化もヤリスクロスの強み。長距離適性も格段に向上している。価格差はあるが、この性能強化だけでもヤリスクロスはかなり魅力的だ。
また実用志向の強いフィットもライバルになりうる。荷室容量はヤリスクロスが勝るが、フィットは多才な積載性である程度はカバー可能。悪路対応力はヤリスクロスが勝るが、SUVへの思い入れがないならば、お手頃価格のフィットをライバルとするのは悪くない選択だ。
TOYOTA ヤリス

価格帯:139万5000~249万3000円

ヤリスは車両重量が軽い分だけ、軽快さや動力性能は勝るが、ACCの全車速化や安定性の向上により、ロングドライブ適性はヤリスクロスに軍配が挙がる。
HONDA フィット

価格帯:155万7600~253万6600円
フィットにはリフトアップにより最大地上高を高めたクロスターも設定される。もちろん走破性能はヤリスクロスに及ばないが、広々としたキャビン空間やユーティリティは大いに魅力的。