新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.08.23 / 掲載日:2025.08.23
《2025最新版》コンパクトSUV勢力図〜新型カローラクロスほか〜
2025夏最新版・コンパクトSUV勢力図
軽自動車を除く国内新車販売の主戦場とも言える激戦区がコンパクトSUVカテゴリーだ。販売トップの常連であるカローラクロスが改良でさらに競争力を増した今、車格や価格が真っ向ライバルとなるモデルを集め、改めて見比べてみた。
●文:川島 茂夫
最新版・コンパクトSUV《概要》

タウンユースに止まらず、レジャーにも活躍できる
このカテゴリーはセダンやワゴンでは1.5〜1.8ℓ級に相当する車体サイズとパワートレーンを採用したSUVが対象となる。プラットフォームやパワートレーンの基本構成は上級コンパクトと共用しているモデルが大半であり、込み入った都市部でも扱いやすいサイズと高速長距離走行に十分な走行性能を備え、汎用性と経済性のバランスのよさが見どころだ。
SUVは基本的に悪路走行を前提としたユーザー向けと考えがちだが、コンパクトSUVはセダン系に対してキャビン実用性で発展したカテゴリーでもある。高い全高設定は悪路対応の結果のひとつだが、それ以上に室内高の拡大に寄与。見晴らしを含む居住性の向上だけでなくかさのある荷物積載でも有利。本格ワゴンに比べると荷室奥行きで劣る部分もあるが、ハイトワゴン的なキャビン実用性を備えている。他カテゴリー車に比べてアウトドアレジャー用途適性に優れるのは、このパッケージングによるところも大きい。もちろん、そういった用途ならば4WDにこだわる必要もない。
ハードウェア面ではHEVの充実が見どころだ。というよりクロストレックにストロングHEVが追加、カローラクロスはHEVのみの構成に変更され、ヴェゼルもベーシックグレード以外はHEV。主流は完全にHEVである。ここで採り上げた4モデルで本格HEVをラインナップしていないのはCX-30のみ。もっとも、CX-30はクラス唯一のディーゼルでHEVに対抗。なお、カローラクロス以外はガソリン車をラインナップし、排気量設定はヴェゼルが1.5ℓ、CX-30とクロストレックが2ℓを採用している。
駆動方式はいずれもFFと4WDが設定され、4WDシステムはカローラクロスがツインモーター式で、他は多板クラッチの電子制御式を採用。ハードな状況への対応力ではクロストレックがリードしているが、いずれの4WDシステムも生活四駆とは一線を画した悪路踏破性を備え、一般的なアウトドア趣味には十分だ。
いずれのモデルもセダン系に比べると高めの価格設定であり、経済性重視のユーザーには厳しい部分もある。ただ、キャビン実用性と悪路まで含めた走行性能の汎用性の高さを考えるなら多様な使い方を求めるユーザーには投資価値が高い。また、ここで採り上げたモデルを比べても分かるようにデザインや走りの志向も多様。幅広いニーズに対応できる少数精鋭の品揃えと言ってもいい。ファミリー&レジャー用途の新たな基準を構築したカテゴリーなのだ。
TOYOTA カローラクロス【NEW】

高水準の使い勝手や燃費にプラスアルファの魅力を加えた
カローラのバリエーションとして相応な価格やサイズ、車格感を念頭に開発。カローラ系らしいデザインや走行性能を備えつつもSUVらしい機能性が与えられている。MCによりガソリン車が整理され、現在は1.8ℓと2.0ℓを搭載するスプリット式HEVモデルのみとなった。4WDシステムは30kWの後輪駆動用モーターを配したE-Fourを採用。WLTCモード燃費はコンパクトSUVでも最高水準にある。最低地上高は通常モデルで160㎜。ハードな悪路には厳しいが未舗装路や雪路には十分である。
HONDA ヴェゼル

タウンユースにハマる車格で機能的なキャビンが見どころ
基本ハードウェア設計ではフィットと姉妹車の関係にあり、コンパクトとスモールクラスの中間的な位置付け。同カテゴリーでは比較的コンパクトであり、タウンユース適性が高い。フィット同様の高スペース効率設計や室内機能により優れた、キャビン実用性が大きなセールスポイント。排気量設定はHEV、ガソリン車ともに1.5ℓだが、高出力モーターを採用するHEVが動力性能面でも上位設定となる。また、HEVにはFFと4WDが設定されるがガソリン車は4WD限定となる。
MAZDA CX-30

実用一辺倒ではなく上級志向のドライバーズクロスオーバー
マツダ3のプラットフォームから発展したSUVであり、コンパクトSUVとしては上級志向が強い。他のマツダ車同様に「魂動デザイン」と「人馬一体」による内外装や走りがセールスポイント。半面、居住性や使い勝手などのキャビン実用性では見劣る。どちらかと言えばドライバー志向の強いモデルだ。走行性能面では1.8ℓディーゼルの設定が大きな強味。カテゴリー唯一のディーゼルであり、大トルクを活かした高速での余力や燃費は高速長距離派には魅力的である。
SUBARU クロストレック

クラス超えの悪路性能に注目。S:HEVを得て燃費もランクアップ
コンパクトSUVでも異色の存在。基本ボディシェルはインプレッサと共通。室内寸法も同じ。それでいて最低地上高は本格SUVと同等の200㎜。FFベースの4WDながら後輪の駆動容量を大きく取った設計でハードな悪路走行にも対応。本格オフローダーには及ばないがコンパクトSUVの水準を超えている。オンロード&ラフロード二刀流のツアラーといった感じだ。また、追加されたS:HEVはモード燃費と実燃費の乖離が比較的少なく、省燃費面でのスバルの看板車種でもある。

ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。