新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.08.18 / 掲載日:2025.08.18
新型CX-5《先取り比較》vs 現行CX-5/ハリアー/フォレスターほか
新型の登場でライバルとの関係はどうなる?
全方位で大きな進化を遂げた新型CX-5。特に装備面での進化は相当なものになりそうなだけに、これまでしのぎを削ってきたライバルたちとの関係性が大きく変化するのは間違いなさそうだ。ここではミドルSUVのライバルを中心に、その影響を確認してみたい。
文:川島茂夫
新型CX-5 vs ライバルモデル先取りチェック

MAZDA 新型CX-5


MAZDA 現行CX-5

鍵を握るのはパワートレーン。ディーゼル車の動向に注目
新型CX-5で注目したいのは、居住性や後席の乗降性、そして荷室の使い勝手といったキャビン実用性の改善がなされていることだ。
基本的には歴代モデルが持つ魂動デザインや人馬一体がもたらす運転の楽しさなど、独自の魅力を重視するキープコンセプト路線を貫いているが、インターフェイス面を含めたキャビン機能を強化することで、実用面を向上。SUVとしての魅力を、一段と高めようとしている。
この変化は、全長とホイールベースの拡大に明確に表れている。新型(欧州仕様)は現行型より全長が115㎜長く、ホイールベースも同様に伸びており、これがそのままキャビンスペースの拡大にあてられている。スペース効率の抜本的な改善とまでは言えないが、ファミリー層やレジャー用途においてキャビン実用性が課題だったCX-5にとって、この改善は競争力強化とターゲットユーザー層の拡大に大きく貢献するだろう。
国内ユーザーにとっては、パワートレーン構成がどうなるのか?も気になるだろう。現時点で国内ローンチ時(2025年度内か?)にスカイアクティブZを搭載したストロングハイブリッドモデルは間に合わず、さらに発表された欧州仕様車ではディーゼルターボが廃止されている。ディーゼルターボは日本で人気が高いパワーユニットだけに、ディーゼルの設定があるかどうかは、今後の新型のセールスを大きく左右する理由になるはずだ。
ちなみに価格は、欧州では2.5ℓMハイブリッド車&上級グレードが中心になるとはいえ、ドイツでの価格は3万5000ユーロ(日本円で約600万円)からとアナウンスされている。国内ではライバルとの関係もあって、価格を安く設定できる2ℓガソリンのMハイブリッド車や、内装加飾レベルを控えめにしたベーシックグレードも設定されるだろうが、それでも300万円を切るグレードが設定されている現行型と比べると、大幅に価格が上がるのは間違いない。
そんな事情も考えると、モデル末期とはいえ、ディーゼル派は現行型を狙うのも一考の価値あり。現行CX-5の性能と価格のバランスの良さは、いま購入できるミドルSUVの中でもトップクラスだ。





MAZDA CX-60

FR駆動がもたらす走りの違いがポイント
CX-60と新型CX-5を比べると、CX-60の方が全長で約50㎜、ホイールベースで約55㎜ほど長いサイズだが、外寸はほぼ同等と考えていいレベル。CX-60のキャビン容量は現行CX-5と大差がないので、ユーティリティ性能は新型CX-5の方が優れている可能性が高そうだ。
ただ、実用性では新型CX-5が優位に立つとしても、マツダ車のセールスポイントであるプレミアム感と運転の楽しさという点では、FRプラットフォームを採用しているCX-60に軍配が上がる。四輪駆動ならば同じだと考えるかもしれないが、主駆動輪の違い(CX-5はFFベース)は乗り味や操縦性に明確な影響を与える。直列6気筒ディーゼルエンジンの搭載も恩恵のひとつになる。シャシーの熟成次第では逆転もあり得るが、純粋なプレミアム性や運転の楽しさを求めるなら、現時点ではCX-60の方が優位だろう。




TOYOTA ハリアー

モデル末期になりつつあるがバランスに優れる優等生モデル
プレミアム&スペシャリティに特化したキャラは、ハリアーの大きなアピールポイント。設計年次はそれなりに古くなってきたが、日常用途での乗り心地や高いキャビン実用性を持つなど、バランスよく纏められている。完成度の高いハイブリッド車が選べるなど、パワートレーンの充実ぶりもアドバンテージだ。新型CX-5は、キャビン機能の進化などで大きく商品力を強化してくるが、ガソリンのMハイブリッド車のみのラインナップだと、ハリアーに対抗するには少々厳しい。ディーゼルもしくはストロングハイブリッドといった上級パワートレーンは必須だ。
LEXUS NX

走りも内装もトップレベル、プレミアムSUVの代表モデル
レクサスNXは、プレミアム志向のミドルSUVの頂点に位置するモデル。プラグインハイブリッドから2.4ℓの高性能ターボまで、車格を超えた多彩なパワートレーンを展開する。キャラクターはオンロード志向が強いが、改良時にオフテイストを強めた「オーバートレイル」を設定するなど、アウトドア志向の強いユーザーにも対応している。現行CX-5との比較では、設計年次の違いもあってライバルとは言いにくい関係だったが、総合力が大きく向上する新型CX-5ならばその差はかなり縮まる。上級パワートレーンの設定が鍵を握るが、好勝負を演じる可能性は十分だ。
NISSAN エクストレイル

e-POWERの力強い走りは大きなアドバンテージ
エクストレイルは全モデルにシリーズ式ハイブリッドシステムのe-POWERを採用している。電動駆動ならではの力強さと洗練されたドライバビリティに対抗するには、新型CX-5にはディーゼルエンジンの設定がやはり必須となるだろう。キャビン機能は、新型CX-5の進化が著しいこともあって、内装質感&装備面は優劣がつけ難い好勝負となりそうだが、エクストレイルは国産ミドルSUVとしては珍しく3列シート仕様も選べることが大きな強み。多人数乗車への適性では、エクストレイルに軍配が挙がる。
HONDA ZR-V

性能とコスパのバランスが秀逸。走り重視なら有力ライバルに
ZR-VはCR-Vから発展したクーペフォルムのミドルSUV。低全高ながら効率的な後席格納を備えるなど、高い実用性を確保していることが特徴のひとつ。走りはCX-5と同様にオンロードで勝負するタイプ。ストレスフリーな感覚と運転の楽しさのバランスが取れていることが特徴だ。パワートレーンは1.5ℓターボと2ℓのe:HEVの2タイプが用意されるなど、300万円台前半という手頃な価格帯から選べることも大きなメリット。キャビン質感は、本革仕様なども充実する新型CX-5に分がありそうだが、走り視点ではハイブリッドが選べるZR-Vの方がコスパが良さそうだ。
SUBARU フォレスター

装備と機能も最新仕様。レジャーユースに最適な一台
フォレスターは、ファミリー層やレジャー用途向けのミドルサイズSUVとしてバランス良くまとまったモデル。新型CX-5に比べると、プレミアムのアピールはほどほどで、レジャーユースに対応できる王道SUVとして、要点をきっちり押さえた優等生タイプだ。また装備や機能面の充実度も強みで、部分的な自動運転を可能にしたアイサイトXや、燃費と動力性能に秀でるS:HEVなど、ライバルに勝るアドバンテージは多め。SUVとしての総合力では新型CX-5と好勝負となるモデルだが、目指すターゲットユーザーはかなりの違いがある。
MITSUBISHI アウトランダー

価格の高さはネックだが唯一無二の走りが魅力
アウトランダーは、プラットフォームをエクストレイルと共有する姉妹車の関係にあるが、ハイブリッドシステムが異なり、アウトランダーはプラグインハイブリッドのみで構成される。3列シート仕様が設定されるなど、実用面でのセールスポイントもあるが、最大のアピールポイントは、短距離用途ではEVのようにも使えるプラグインハイブリッドであることだ。四輪駆動制御「S-AWC」がもたらす、操る醍醐味感も魅力で、運転の楽しさを求めるユーザーにとっては、アウトランダーはかなり魅力的。価格が少し高めなだけに、新型CX-5の上級グレードがライバルになるだろう。

ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。