新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.05.31 / 掲載日:2025.05.31
新世代クラウン4兄弟乗りくらべ!
ユーザーのライフスタイルに合わせて進化発展を遂げた現行クラウン。いずれもしっかりとした個性を持つことで、おのおのの強みをアピールするが、選ぶ立場からすると分かりにくい部分があるのは間違いない。ここでは魅力や強みを明らかにすることで、ベストな選択をお教えしよう。
●文:まるも亜希子
乗り比べて分かった《新世代クラウン4モデル》

現行クラウンは変革の世代。いずれも際立つ個性が宿る
4つのタイプに生まれ変わった、新時代のクラウン。そこにはユーザーの多様化するニーズに応えるためだけでなく、ユーザーの年齢層を若返らせたいという目的もあるという。
そうした視点でそれぞれの違いをみていくと、まず先陣を切って登場したクロスオーバーは、「セダンを超えるセダン」として、現代の新定番となったSUVの良さを取り入れながらも、上質感と堂々とした存在感のあるクラウンらしいスタイリングを実現。すべてHEV(ハイブリッド)ながら2.5ℓ直4エンジンだけでなく、2.4ℓ直4ターボエンジン搭載のRSグレードもラインナップし、後輪に搭載したeアクスルを組み合わせた新開発の「デュアルブーストハイブリッドシステム」をトヨタブランドとして初採用している。RSは、パワフルなだけでなくリニアで爽快な加速フィールも魅力で、操る楽しさも備えたモデルとなっている。また、リフトアップしたボディは視界のよさと乗り降りのしやすさも手に入れ、セダンでは物足りなくなったユーザーや、新しい価値観を求めるユーザーに響いているようだ。
続いてスポーツは、クロスオーバーよりさらにスポーティな走りとスタイリングを求める人に、クラウンらしいSUVのカタチを提案する1台。こちらは2.5ℓのHEVとPHEVを設定し、PHEVのEV走行距離は90㎞(WLTCモード)。堂々としたフロントマスクから躍動的なリヤへとつながるデザインと、赤いステッチやホールド性の高い形状を採用したスポーツシート(PHEV専用)などで、走り出す前からアクティブな気持ちにさせてくれる。インテリアではPHEVに赤が標準設定。走りもスニーカー感覚の俊敏さが強調されており、ワインディングの楽しさがピカイチ。実際スポーツは20〜30代のユーザーも増えているそうで、クラウン若返りの立役者といえるモデルになっている。
そしてセダンは、ニューフォーマルと呼ぶにふさわしくFCEVありきで開発され、FRレイアウトをベースとして2.5ℓのHEVも用意する新世代セダン。ショーファーカーとしてのニーズにも対応すべく、外観にはクラウンらしい精悍さと上質感が両立し、インテリアにはビジネスシーンにも似合う品格が漂う。14スピーカーのプレミアムサウンドシステムや、64色切替のマルチカラーインフォメーションといったおもてなし装備も充実。走りにもさすがの安定感と重厚感があり、ここぞというところではパワフルさとスポーティさも披露する、正常進化した令和のクラウンの威厳を感じさせるモデルとなっている。
エステートを含め、1日で4タイプを試乗してみて、こんなにもキャラクターが異なるのかとあらためて驚いたが、4タイプが互いにほかのモデルの魅力を引き立てあっているようにも思えた。そしてすべてに静粛性・快適性・上質感を備える”クラウンネス“が息づいており、タイプは違ってもどれもが新しいクラウンだと感じることができたのだ。
クラウンエステートのオススメは?
エステートRS[810万円]

HEVも魅力十分だが走りも実用性もPHEVが一段上
HEVとPHEVで180万円ほどの価格差をどう捉えるかにもよるが、長距離走行が多い人なら外部充電ができるPHEVの方がEV走行が最大89㎞、ドライブモードの選択が多く設定され、賢い使い方が広がって結果的に維持費を抑えられるほか、後席シートヒーターが標準装備されるなど快適性もアップ。ただ外観やインテリアはほぼ同等となっており、多少の静粛性や乗り心地の差はあるものの、HEVも魅力的だ。
クラウンクロスオーバーのオススメは?
クロスオーバーRS[670万円]

バランス重視ならHEVだが、走り視点ならRSは別格の存在
Z、G、Xと3グレードが揃うHEVもバランスのよさが魅力的だが、クラウンシリーズで唯一の2.4ℓターボエンジンを搭載するRSの楽しさと余裕の走りはまた格別。新開発のデュアルブーストハイブリッドと相まって、292Nmという高トルクを活かした力強さと、レスポンスのいいスポーツモデルに近い意のままの走りが手に入る。また、後席に4:2:4分割リクライニング式がオプションで選べるのもRSのみとなっている。


クラウンスポーツのオススメは?
スポーツRS[765万円]

走りも見た目もRSは特別なグレード
PHEVとなるRSは、インテリアがブラック&センシュアルレッドが標準装備となり、シートにも赤いステッチが入ってコーディネートされるところが特別感満載。ハイブリッドはスポーティシートとなるのに対し、PHEVではしっかりとしたホールド性が得られるスポーツシートとなり、少しハードな走りにも対応。後席左右にシートヒーターがつくので、同乗者も快適。EV走行距離が最大90㎞と長いのも魅力的だ。


クラウンセダンのオススメは?
Z(HEV)[730万円]

FCEVは先行投資が否めない。現実的な選択ならHEV
同じZグレードに水素を燃料とするFCEVとHEVはあり、装備に関してはほとんど差がないため、価格的にも使用環境的にもまだHEVがベスト。シートヒーターやシートベンチレーション、ハンズフリーパワートランクリッドといった便利・快適装備もほぼフルで装備されており、ディスプレイオーディオも標準装備。パノラマルーフはどちらもオプションとなっている。より高い静粛性や重厚感があるのはFCEVだ。



ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。