新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.07.25 / 掲載日:2024.07.25

新型フリード vs ライバル比較《シエンタ/従来型フリード/フィット》

全方位に進化したことでライバルからも熱視線!

歴代フリードは、手ごろなサイズの使えるミニバンとして高い人気を集めているが、新型は最新パワートレーンと装備機能を備えたことで、歴代屈指の人気を集めるのは確実。そうなるとそわそわしてくるのが、フリードと競合関係となるライバルモデルたちだろう。ここでは新型とガチンコ勝負になりそうな3台をピックアップしてみたぞ。

●文:川島茂夫

《CHECK 1》従来型オーナーは急いで買い替えるべき?《vs 従来型フリード》

実用性能は大差ないが走りの進化は見逃せない
 フリードはコンパクトクラスながら1BOX型の基本機能をしっかり備えていることが特徴。すでに従来型でもパッケージ面は完成の域に達していたため、不満なく使えているユーザーにとっては、新型は大きく変わらないモデルに見えるかもしれない。
 だが実際に新旧のフリードを乗り比べてみると、走りの印象はかなり異なる。特にハイブリッド車は圧倒的な違いを感じてしまうほどだ。
 従来型のハイブリッド車に搭載されていたi-DCDは、デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)特有の小気味よい変速感覚が楽しめることが魅力だったが、新型のe:HEVは多くの領域でシリーズ制御を行うこともあって、i-DCDと比較すると走りのメリハリ感は薄め。いかにもCVTらしい変速感覚を嫌ってi-DCDモデルを選んだユーザーは、新型のe:HEVのドライブフィールに物足りなさを感じる可能性もある。
 ただ、e:HEVとなったことで、ドライバビリティは確実に良くなっている。特に高速域での余力感は1クラスは上がったように感じるし、負荷のかかる状況でトルク不足で変速が忙しくなることもない。ロングドライブでも心地よく運転することが可能だ。
 さらに新型は動力性能だけではなく、操安性や乗り心地も1ランク上。ファントゥドライブよりも、ゆったりと過ごせる走りの質を求めるならば、新型はかなり魅力的な存在だ。
 結論としては、多人数乗車を含めた、フリードの実用性の高さに満足しているならば買い換えを急ぐ必要はない。ただ、長距離用途が多く、さらに快適に走りたいと願うユーザーならば、新型に乗り換える価値はある。特にハイブリッド車の進化ぶりに驚くはずだ。

新型フリード

ハイブリッドにe:HEVを採用した恩恵は明らか。高速域での力強さが増したことに加え、運転しやすさや燃費も向上している。

従来型フリード

ハイブリッド車同士の動力性能の違いに加えて、従来型はフットワーク面も少し硬さが目立つ。乗り心地を中心にすると、少し見劣りしてしまう。

《CHECK 2》永遠のライバルとの関係はどうなる?《vs シエンタ》

経済性はシエンタが優位だが、総合力ではフリードがリード
 コンパクトクラスでリヤスライドドアの3列シート車は、フリード以外ではシエンタのみで、エンジン排気量も1.5ℓクラスとほぼ同じ。ただ、ボディ形状はシエンタはワゴン型で、フリードは1BOX型と若干の違いがある。
 車体設計やプロポーションからしても、シエンタはステーションワゴンから発展したことが明らか。スライドドアの採用や、サードシートの居住性の改善などによりキャビン実用性を高めているが、サードシートの格納作業の手間や、荷物の積載性などの使い勝手全般はフリードには及ばない。
 ただ、サードシートは緊急用で大半は格納しているというユーザーにとっては、ワゴン的な使いやすさが際立つシエンタのほうが好みというユーザーも多いだろう。
 走行性能も両車は方向性が異なっている。e:HEVの採用でロングツアラーとしての性能が高まったフリードに対して、シエンタはタウンユースでの扱いやすさを重視したファミリーカーらしいセッティング。細かな振動は若干感じるが、低中速域での柔らかな乗り心地の良さが印象的だ。
 一方で速度が高まると挙動やラインコントロールの収束性の甘さが目立つことが弱点。高速長距離用途で積極的に使いたくなるタイプとは言い難い。
 主力のハイブリッド車は、トヨタ得意のスプリット式を採用。動力性能に不満はないが、高速域ではエンジンの高回転使用頻度が高めで余力感はそれほど高くないタイプ。実用燃費が大きなセールスポイントになっている。
 キャビン実用性も走りも方向性が異なるというのが正直な印象。タウン&ファミリー用途に限定するならシエンタに軍配を挙げてもいいが、高速走行を含めた幅広い状況を考えるならば、フリードの方ができることが多い。

TOYOTA シエンタ

フリード以上に乗り心地を意識したセッティング。ハイブリッドはスプリット式なので燃費重視。街中中心ならばこちらの方が好みというユーザーも多いだろう。

《CHECK 3》普段使いの実用性は甲乙つけがたい《vs フィット》

フィットのキャビン&荷室はクラスを超えた広さ
 2BOXハッチバックと1BOXミニバンというボディタイプや乗車定員に違いはあるが、室内高を比較すると意外とフリードとの差が少ない。それもそのはず、ハイトパッケージングを採用しているフィットは、コンパクトクラスの中ではトップクラスのキャビン容量と実用性を武器にしたモデルで、3列シートにこだわらないユーザーにとっては、フリードのライバルになる存在だ。
 1.5ℓガソリンとe:HEVというパワートレーン設定も同じだが、車両重量はフィットの方が圧倒的に軽量で、動力性能も燃費も優れている。多人数乗車の機会が少ないならば、わざわざ大きく高価なフリードを選ぶ意味はない。
 ただ、沢山の荷物を積み、クルマをベースキャンプのように使いたいというならば、2列シート仕様でもフリード(クロスター)のほうが実用的。フリードは床面形状がフラットで車内移動もしやすく、荷室の容量も段違い。フィットだと、積載荷物の多いレジャー用途では2名乗車が基準になってしまうが、フリードなら4名乗車でも不足を感じない広さの余裕がある。

HONDA フィット

標準車は穏やかな乗り心地を武器とするが、走り自慢のRSも設定されるなど、走りの幅が選べることがフィットの魅力になっている。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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