新型車比較・ライバル車対決
更新日:2023.03.01 / 掲載日:2023.02.27

新型プリウスとライバル車を比較検証 ノートオーラ/シビック/C-HR/カローラ

全方位に強みを持つだけに比較モデルはかなり多め

新しい時代を切り開くセダンとして、これまでの路線から大きく舵を切った新型プリウス。個性的なキャラは、単なる“セダン”の枠組みを超えているだけに、ライバルとなるクルマも幅広くなりそう。ここでは幅広い視点から絞り込んだ、多くのライバルたちとの関係を解説したい。

●文:川島茂夫


TOYOTA 新型プリウス 

TOYOTA 新型プリウス 価格:275万〜392万円

新型プリウス vs ライバル車

共通の強みを持つ
トヨタ勢がライバル筆頭

 新型プリウスのライバルとして一番近いと思い浮かぶのはC-HR。SUVながらスペシャリティ方向に思い切り振ったモデルであり、SUVをモチーフにした現代版セリカともいえるキャラが特徴。プリウスとはボディタイプが異なるものの、クーペライクなスタイリングを特徴としている点で近いキャラといえる。
 実際に両車を比べると、キャビンユーティリティはSUVのC-HRが勝ると思うかもしれないが、C-HRは後席居住性と荷室積載性を削ってスタイルに回したモデル。それに比べて、新型プリウスはスペシャリティ志向を強化しながらも、従来型相応の実用性を確保している。後席居住性や積載性にも気を使っている分だけ実用性で勝っている。
 またハイブリッドもC-HRは1.8ℓユニットとなるが、プリウスは動力性能に優れる格上の2ℓユニットを選ぶことができる。走りの余裕を求めるユーザーにとって、大きな武器になるのは間違いない。ちなみにサスチューンは硬めよりのC-HR、快適性を考慮したプリウスと方向性は異なっている。
 さらに、C-HRはSUVだから悪路踏破性はプリウスより上と思われそうだが、悪路走行向けの設計や機能は採用されていない。しかも、ハイブリッド車はFFのみの設定。雪道等の滑りやすい路面での走行性能を求めるなら、後輪駆動力が大幅アップした新型プリウスのE-Fourのほうが圧倒的に有利である。
 実用性という面を重視していくと、カローラハイブリッドのセダン/ワゴン(ツーリング)は見逃せない。一定の工夫を注いだとはいえプリウスのパッケージングは効率的とは言い難い。当然、キャビンや荷室のゆとりや使い勝手は、カローラには及ばない。ただ、カローラに搭載されるハイブリッドシステムもC-HRと同様に一世代前のもの。動力性能の面ではプリウスの2ℓ車が上だ。

2BOXのオーラも
検討するべき価値あり
 キャビン実用性はほどほどでOK、重視するのはエコ性能というならば、一つ下のカテゴリーとなるコンパクト2BOXも検討すべき。同門のトヨタはアクアやヤリスハイブリッドが対象となるが、キャビンの仕立ては明らかに格下で明確な車格差を感じてしまう。ライバルとしては明らかに力不足だ。
 コンパクト2BOXでプリウスのライバルとなり得るのはノート オーラだろう。ベース車のノートと比べると、内外装のリデザインとモーター出力を向上した上級発展仕様。キャビン実用性はノートと同じだが、オーソドックスな2BOXパッケージングもあって、居住性を含めたキャビン実用性はプリウスと同等といっていい。もう少し細かく言えば、後席の開放感や見晴らしはオーラに分があり、荷室スペースやアレンジ面はプリウスが勝る。評価はユーザーの使い方次第だが、総合的には大差はないだろう。
 走りの余裕や質感をもう少し重視したいならば、シビックe:HEVや、まもなく発売予定のプリウスPHEVも魅力的だ。
 新型プリウスは、このように様々な方向から多くのモデルに絡むことができる。言い方を換えるなら王道にも標準にもならないモデルだが、キャビン実用性の制約が少ないユーザーならば、比較検討に加えるべき存在なのだ。

NISSAN ノート オーラ

価格:265万4300〜299万6400円

上位モデルとも“質”で勝負
できるプレミアム2BOX

 ボディ形状と車格は異なるが、価格的に近いこともあって比較するユーザーも多いはず。ハイブリッド(e-POWER)のタイプとしては燃費よりも動力性能の良さを売りしており、走りの面でも好勝負となるのは間違いない。プレミアムな内装仕立ても見逃せない強みだ。

荷室まわりのアレンジ性はハッチバック相当。使い勝手はプリウスには及ばないだろう。
e-POWERがもたらす爽快な加速フィールは、コンパクト級の中ではトップクラス。操る楽しみはプリウス以上と言えるかも!?

HONDA シビック(e:HEV)

価格:394万200円

スポーティを求めるならば
こちらの方が有力候補

 2モーター式のe:HEVを搭載するハイブリッド車は、動力性能や燃費性能はプリウスとガチンコでぶつかるモデルだが、穏やかな走りを目指すプリウスに対して、シビックは操る楽しみを追求したスポーティ路線と走りの志向が異なる。走り重視のユーザーにオススメだ。

シビックに搭載する2ℓのe:HEVは最新仕様。エンジン直動機構を備えるなど高速長距離適性が高いことも強み。

TOYOTA C-HR(ハイブリッド)

価格:275万5500〜315万5000円

SUVの枠組みを凌駕する
スポーティモデル

 見た目はSUVだが、その本質はスポーティモデル。1.8ℓハイブリッドは1世代前のユニットになるが、煮詰められたシャシー性能で走りの質感は良好。サスチューンをハードに仕上げたGR系グレードが選べる。ユーティリティ性にこだわらないならば選択肢に入れる価値は十分ある。

TOYOTA カローラ(ハイブリッド)

価格:238万〜299万8000円

実用性能に優れるベーシックセダン
 セダンにユーティリティ性を求めるならば有力候補。“カローラ”らしい生真面目な設計で、キャビン/荷室のゆとりや使い勝手は、プリウスよりも明らかに上だ。1.8ℓハイブリッドは1世代前になるが、燃費性能はほぼ互角と考えていい。装備機能と価格のバランスの良さも魅力だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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