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更新日:2022.05.10 / 掲載日:2022.05.10
M・ベンツ レベル3の自動運転システムを独でオプション販売開始へ

メルセデス・ベンツは現地時間の5月6日、SAEレベル3*の条件付き自動運転システム「DRIVE PILOT」のドイツでの販売開始について詳細を発表した。
5月17日より、Sクラスに5,000ユーロ(日本円でおよそ69万円)、EQSに7,430ユーロ(同103万円)でオプションとして注文することが可能となる(消費税抜き)。
メルセデス・ベンツのレベル3自動運転システム「DRIVE PILOT」

メルセデス・ベンツはこれまで、先進運転支援システム(SAEレベル2)を車両に搭載してきたが、昨年12月に条件付自動運転に関する国際的に有効なシステム承認を世界で初めて取得した自動車メーカーとなった。そして、この有効認証を取得している自動車メーカーとしては世界で初めて、同システムを量産車にオプションとして提供することになるという。
DRIVE PILOTは、ドイツ国内の高速道路において、渋滞時や混雑時に時速60kmまでの一定の条件下でドライバーがシステムに運転を委ねることができるもの。
起動すると、同システムがスピードと距離を制御し、車線内に車両を誘導。ルート情報やそこで起こる事象、交通標識はすべて分析し判断される。また、予期せぬ状況にも反応し、車線内での回避行動やブレーキ操作など、独自に対処することができるという。
この条件付自動運転システムは、ドライビングアシストパッケージの車両感知技術をベースに追加センサーを搭載。それは主にレーダー、LiDAR、カメラなどだが、超音波センサーや水分センサーも重要な情報を伝えている。
メルセデス・ベンツは今後、ドイツでの発売と並行して米国カリフォルニア州およびネバダ州において、法的状況によりシステム運用が可能であれば年内の認可取得を目指すとしている。
*SAEレベル3:自動運転機能が特定の運転作業を代行するが、ドライバーは車両から介入を促された場合、常に車両を制御できる状態でなければならない。
安全な条件付き自動運転のための冗長性
SAEレベル3の条件付き自動運転では、単純な故障から重大な故障まで、安全に対処できるシステム設計が求められる。DRIVE PILOTでは万が一故障が発生した場合でも、冗長化されたシステム設計により車両の操作性を維持し、システムがドライバーに安全に引き継ぎを行うことができるという。また、ドライバーが最大10秒以内に引き継ぎ要求に応じない場合は、DRIVE PILOTはすみやかに自車と後続車にとって安全な緊急停止を開始するようになっている。
センチメートル単位の精密な位置情報を実現する高精度測位システム

同システムを搭載した車両の正確な位置は、従来のGPSシステムよりもはるかに強力な高精度測位システムによって決定される。LiDAR、カメラ、レーダー、超音波センサーによって収集された匿名データに加え、デジタルHDマップが道路とその周辺の3次元画像を提供し、道路形状、ルート特性、交通標識、交通特別イベント(事故や道路工事など)の情報も提供。この高精度地図は、ナビゲーション機器用の地図とは異なり、メートル単位ではなくセンチメートル単位のもの。詳細な交差点やルートモデルを備えていることが特徴で、地図データはデータセンターに保存され、常に更新される。各車両はこの地図情報の画像を車載し、バックエンドデータと常に比較しながら必要に応じてローカルデータセットを更新することで、影やセンサーの汚れなどの要因に左右されず安定した正確な測位を可能とする。