車の最新技術
更新日:2022.06.30 / 掲載日:2022.04.08
トヨタ 新型ノア・ヴォクシー【ニュースキャッチアップ】人気モデル開発の舞台裏

文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、トヨタ
※ナンバープレートは、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグー本誌 2022年4月発売号掲載の内容です)
8年ぶりの全面改良で大きく進化した新型ノア・ヴォクシー。今回はそのなかでも安全と安心に関わる先進装備に注目。トヨタ初の技術も採用した注目の「Toyota Safety Sense」と、それらが採用された背景について深掘りする。
なぜ新型ノア・ヴォクシーが異例の「トヨタ初」づくしになったのか
ミニバンだからこそ安全に知恵と工夫で新技術を採用
新型ノア・ヴォクシーが、ミニバンの常識を覆そうとしている。
ミニバンというジャンルは費用対効果が厳しくジャッジされるため、これまでは既存の技術を上手にアレンジして価値の高いモデルにするという手法が定番だった。ところが新型ノア・ヴォクシーには、「トヨタ初」の新技術が積極的に搭載されているのだ。第5世代に進化したHVシステムもそうだし、渋滞時のハンズオフ機能を実現した「アドバンスト ドライブ(渋滞時)」やスマホ操作によって無人での駐車・出庫を行う「アドバンスト パーク」などは「トヨタ初」の新機能となる。
このような機能は部品を取り付ければいいというものではなく、適合させるための膨大かつ地道な作業が必要だ。そのため、特に先進機能はミニバンでは後まわしにされがち。だが、今回開発体制が改革されたことで、新技術を積極的に採用できた。
エンジニアは、家族を乗せるミニバンだからこそ、最新技術をできるだけ安価に導入したかったと語る。たとえば「安心降車アシスト」もそのひとつ。車内からスライドドアを開けるときに後方から車両が接近すると音で警告、必要に応じてドアの開閉をストップする新機能だ。これもブラインドスポットモニターのセンサーを活用しているため追加部品はゼロ。アイデアと工夫の勝利だ。
[CLOSE UP]段違いの進化を可能にさせた開発体制の改革

驚くべきほどの進化を遂げた新型ノア・ヴォクシー。それを実現したのには理由がある。
遡ること4年前、トヨタはバン事業(バン、ミニバン、小型バス)の企画・開発から生産までの業務をトヨタ車体に移管している。従来はトヨタが企画したものをトヨタ車体が実現化させていたのを、トヨタ車体がすべて行うことになったのだ。
結果として開発スピードがあがり、これまで以上に作り込むことが可能に。新技術についてもタイムリーに取り入れることができるようになったという。

[安全]新型カメラとレーダーで見通す力がアップ
ミリ波レーダーとカメラの性能アップによって、検知範囲の広角化と遠距離化を実現。さらにディープラーニングによる機械学習を採用することで、交差点での認識性能も高まった。ドライバーによる回避操舵をきっかけとした車線逸脱抑制もサポートする。

[快適]自動運転技術を活用しドライバーを積極的にサポート

注目は2つの「トヨタ初」。高速道路・自動車専用道での渋滞時にハンズオフを実現した「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」は、ロングドライブの強い味方。そして車外からスマホ操作で遠隔で駐車、出庫を可能とする「アドバンスト パーク」のリモート機能。自動運転技術を積極的に活用している。

新たなるステージに到達した「Toyota Safety Sense」

「Toyota Safety Sense」が第3世代に進化したのが2021年春の新型MIRAIと新型LSから。高度運転支援「トヨタ チームメイト」を搭載し、高速道路や駐車場での運転支援が大きく機能向上。ハンズオフにも対応する。
選べることに価値がある
新技術を積極的に採用した新型ノア・ヴォクシー。運転支援技術を採用した装備の多くはメーカーオプションで、その価格は決して安価ではない。だが、選べるのと選べないのとではまったく意味が違う。ユーザーに選択肢を用意したその姿勢に拍手だ。